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小さな蕾、不穏な影

お久しぶりすぎて誠に申し訳ありません…


全話までのあらすじ↓

病の王妃様のために花を育てる能力を持った「土いじり令嬢」シアラが、王子に連れられ王宮へ。


幻の花を育てるなか、王子との仲もすくすく育っていったものの、婚約者と名乗る令嬢の出現にすったもんだ!結局誤解とわかり…

で、今ココです(笑)


よろしくお願いいたします。

「……アラン様。なんでしょうか」



目の前からの視線に耐え切れず、つい尋ねてしまいました。きっと今わたくし、真っ赤な顔をしていますわ…


「いや?久々に食事を共にできたなとかみしめていただけだ、シア」


目を細めてくすりと笑うのをなぜわたくしは直視できないのでしょう?


昨夜のあの壮絶な色気のせいか、いまわたしくのアラン様に対する警戒心はMaxです。



部屋に来たアデルお姉様がわたくしをぎゅうっと抱きしめてくれるまで、アラン様の上機嫌、わたくしの警戒心は続いたのでした。






ここ数日とは打って変わってカラリと晴れ渡った空にギラギラとした太陽が居座り、庭に出てきただけでじんわり汗ばむほどの暑さ。



セイント・リリーフはどうなってるでしょう?



そぉっと覗き込むように近付き、それに気づいた瞬間、静かに飛び上がるというよくわからない動きをしてしまいました。



小さく、蕾をつけていたのです。


濃い緑の茎が伸びた先に、陽光を反射して輝くような白い蕾。



「なんて…まばゆい白…」



その美しさに見惚れかけてハッとします。



「アラン様に知らせてきます!」


「あっシアラ様お待ちください!アデル様が戻られてから…!」



ジェシカの声を背に受けながらも足は止まらず、淑女らしからぬ速さで殿下の執務室へ向け廊下を駆けていると、廊下の向こう側…執務室の方からご令嬢が歩いてくるのに出くわしてしまいました。



あれはーーーミリヤ・ゾディアーク様?



アラン様から事の顛末を聞いたのでもうモヤモヤした気持ちにはならないですが…

今日もアラン様にご用だったのでしょうか?



進む速度を緩めて少し廊下の端を歩いていくと向こうもこちらに気づいたようで、ミリヤ様が手にした扇をパチンとならし、不快そうに顔をゆがめられました。


「あんたは…っ、」


「え」


「何なのよ本当に…ッ!何であんたなんか!!」




つかつかと数歩で距離を詰めてきたかと思うと、手にしていた扇をふりかぶるのがスローモーションで見えて、思わず身を硬くしました。



叩かれる…!



咄嗟にぎゅっと強く目を瞑りましたが、いつまでたっても痛みはやってきません。


「…なっ、なによこれ…っ」


慌てたような声に目を開けると、振りかぶったその手には大きな水の塊。



「あらあら、どこのどなたかと思えばゾディアーク家のお嬢さんじゃない?先日の夜会以来ですわねぇ」



「っアデル…様…」

「お姉様!」


後ろから微笑みをたたえてそばに来たお姉様と対照的に、どこか憮然とした表情のミリヤ様。


「それで?あたくしの可愛い可愛い妹に何か御用でしたかしら?」


「いいえ…別に、少しご挨拶をしただけですので」


あれはご挨拶だったのですか…

言葉も交わしていないのですが…


「そうでしたの。妹はあまり領地から出たことがないから、仲良くしていただけると嬉しいわ」


「それはもう、アデル様が仰るなら…」


「そ、ありがとう」


ぱちんとお姉様が指を鳴らすと、ミリヤ様の手を固めていた水がパっと弾け、それが霧状になって消えきる前にミリヤ様は俯きながら足早に去って行きました。


窓からの光を浴びてキラキラと…雪国の物語で読んだダイヤモンドダストのよう。


少し見とれていたら、「シア、大丈夫?」とお姉様に覗き込まれ、心配ないと笑いかえします。


「えぇ、ありがとうお姉様。あれくらいのやりとりは、社交界では普通なのでしょうか…?」


だとしたらとても恐ろしい場所です。

夜会など絶対に出たくありません。


「うーんそんなこともないわよ?ただ、あの子はみんなが自分に傅かないと気にくわないタイプの人間みたいね。だからついこの間の夜会でコテンパンにして遊んじゃったのよねぇ」


「??夜会にはコテン・パン、という遊びがあるのですね…」


パンを使った遊びかしら?食べ物で遊んではいけませんと怒られそうなものだけれど。

今度本で調べてみましょう。



あれは楽しかったわぁと笑うお姉様に、よくわからないけれど何か黒いオーラが見えた気がしました。きっと気のせいですね。



その後一緒に執務室について来てくれたお姉様は、扉前の近衛の方々に挨拶をして扉が開いた途端、アラン様に詰め寄りました。


「失礼致します。殿下、今ゾディアーク家のご令嬢と廊下でお会いしたのですけれど、大層お冠でしたわよ!ご配下のお嬢さん、何とかなりませんの?シアが硬い扇で殴られるところでした!」


思い出しながら怒りが再燃したのか語尾を荒げながら話すお姉様に、難しい顔をするアラン様。


「ついさっきまた執務室に押しかけてきたから、婚約などのつもりはないし、仕事の邪魔になるから来ないでくれと伝えたんだが」


「完全にそれのとばっちりじゃありませんか!もっと上手くやってくださいまし!」



アラン様がしゅんとしてしまったので、慌ててわたくしからもいいニュースを。


「わ、わたくしはお姉様のおかげで怪我もありませんしお気になさらないでください。それよりもアラン様!例のモノですが無事蕾がつきました!」


「なに⁉︎本当か!!そうか…よくやってくれた…!無事に花が開くといいんだが…引き続きよろしく頼む、シア」


「はい、アラン様」


アラン様に頼っていただけていると感じると、なんだか胸のあたりが、ほわっと温かくなった気がします。

思わず笑みがこぼれました。



それを見たアラン様には物凄い勢いで顔をそむけられましたが…ふにゃりとだらしない顔をしたわたくしが悪いですわね…反省…。


その日はとても幸せな気持ちで過ごすことができました。


それなのにあんなことがおこるなんて。



お待たせしたあげく文章力が明らかに落ちるという…

マジで誠に非常に申し訳ありません…

ここからまた精進します……

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