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街の景色と営みと

お待たせしてすみません!

お出掛けの最後に、と街を見渡せる高台にやってきました。


先程まであんなに活気に溢れていた街は夕暮れに染まり、家に帰る子供の笑い声、父親を迎える家族の灯り、たどり着いた旅人は体を休める宿を探し。

オレンジ色の中にある1つ1つの営みがまるで先ほどとは別な場所のように感じさせます。


実家では、夜にみんなで食卓を囲み温かな雰囲気で語り合う、それがわたくしの日常でもありました。



殿下は、何故此処にきたのでしょうか。




「何かあると来るんだ。街を見ていると王族としてもっとしっかりせねばと思えるから。シアにも、此処からの景色を見せたかった。」




こちらを見下ろす瞳がとても優しくていつもの殿下じゃないように見えるのは、夕暮れのせいでしょうか。



「とても……綺麗ですわ。普段わたくしは辺境の地におりますけれど。この国の営みの中の一員なのだと、そう感じます」



街を見下ろし静かに言うと、「シアならそう言うと思った」と殿下は目尻を下げました。



「殿下、本日はお時間をいただきありがとうございました。このような素敵な眺めまで見られて本当に楽しかったですわ」


何だか雰囲気が違ってドキドキするのを誤魔化すように口を開くと、片眉をあげ、

「呼び方が戻ってるぞ。ここはまだ外だ。また間違えたら何か罰でも受けてもらうかな」

そんな恐ろしいことを仰います。



「そ、そんな、殿下!あっ!!?」


バ、バカーーー!


パッと口を覆うも時すでに遅し。


イタズラが成功したかのように笑う殿下の顔が少年のように無邪気で、初めて見る表情に恐れよりも見惚れてしまいます。



「仕方ないな…………そんなに罰を受けたい?」



な ぜ 耳元で言うのですか!



耳に当たった吐息にカッと顔が熱くなるのを誤魔化すようにぶんぶんと懸命に首を横にふるも、殿下のニヤニヤは止まりません。うぅ。


「じゃあ、城に戻っても名前で呼んでもらうかな、アランって。」


「ええっ⁉︎そんな、無理です…」


「頑張ってもらうっていうのが罰だからな」



良い笑顔とは目の前の表情のことを言うのでしょうか。

とっても嬉しそうにされるので。

わたくしもそれ以上拒否はできませんでした。



「が、がんばり、ます……」



か細くなってしまった声でもしっかり耳に届いたようで、小さく笑う殿下の方を見ることができず、少し冷たくなってきた風に吹かれながらじっと町並みを見下ろしていたのでした。



亀更新ですが頑張ります!


お読みくださりありがとうございます。

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