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シアラバカ(アランディオール殿下視点)

お待たせしました!


私は兄のキャラが結構好きです。

今後もう少し詳しく書く機会があればいいなーと思っています


近衛隊の鍛錬部屋に近づくにつれ、何かがぶつかり合う音、怒声が聞こえてきて、シアラは少し緊張しているようだ。

顔を青くしてアデルの腕を掴んでいる。


…俺の腕を掴んでもらってもいいのだが。



「俺が先に行って、一言見学の断りをいれてこよう。いきなりだと驚くだろうから」


というのは建前で、シアラを連れて行く前にやらなければならないことがある。



なんとなく理由を察したであろうアデルに白い目で見られようと構わない。

少し歩きを早め、鍛錬部屋の扉を開ける。

ノックなどしてもどうせ中まで聞こえない。


「ノエル!」



「何してんだオラァ!!そんなヘボい剣筋で陛下をお守りできるかァ!!!基礎からやり直せ!全員腕立て1000回!」

「「ハイッ!!」」


聞いちゃいない。


「ノエル!!」


「いいか!いざという時に盾になれば良いなんて思うなよ!!いざという時盾にしかなれん者など必要ない!」

「「ハイッ!!」」


聞けよ!

と、そこで背後からの小さな声。


「お兄様……?」



ノエルの怒声が止み、腕立てをする隊員達の息遣いだけが鍛錬部屋に響く。



ノエルはゆっくり振り返りーーー破顔した。


コンマ数秒の出来事に、我が目をうたがいたくなるほどの変化だ。


「シアーっ!!!」

「鍛錬中お邪魔してごめんなさい、お兄様」

「いいさ、会えて嬉しいよ!でも珍しいなぁ」

「殿下に、近衛隊の皆様が鍛錬なさってると伺ったので、お兄様のかっこいいところを見たくなってしまいましたの」

「そうかそうかぁ」


「おい、ノエル!」

デレっとしきった横顔を睨みながら3度目の呼びかけをする。


「あれ、殿下いらしてたんですか!」

「さっきから呼んでるだろうが!なんでシアラの小声に反応できて俺には気付かないんだよ!」

「純粋に愛情の差であります!」

「堂々と言うなこのシスコンが!!!」


訓練中は鬼と化すノエルもシアラの前ではただの妹バカだった。


「隊長の妹君…」

「あの深窓の令嬢?」

「いや、土いじり令嬢だろ?」

「ちっさくて可愛い…!」


くそっ

こうなると思った!



「皆、鍛錬中にすまない。我が婚約者が兄の勇姿を見たいというのでな」


婚約者、のところを強調してざわつく近衛隊の連中にニコリともせず言う。


シン、と落ちる沈黙。


おい、なぜシアラまでキョトンとしているんだ?


「ええー!」

「本当ですか⁉︎」

「殿下おめでとうございます!」

「長く女性の影が見えないから、もうそっちのケがあるんだと思ってました!」


「おい!」


皆一気にワッと俺を取り囲んで口々に祝いの言葉を口にするが最後のは聞き捨てならないぞ!

そっちの趣味はない!


「まぁまぁ。まだ本決まりの婚約ではないからな!皆あまり騒ぎすぎないように」

「「ハッ!!」」


ノエルがサラリと『あんまり他言するな』と釘を刺したことにより、隊員達はなんらかの事情を察したのか、単にノエルがこの件に関して納得していないのがわかったのか、ピシリと姿勢と隊列を一瞬にして整えた。


「殿下、イアンは今所用で陛下の所にいますしあまりおもてなしもできませんが、もう少し見ていかれますか?」

「シアラ、どうす「見たいです!」」


目を輝かせ笑うシアラの姿に隊員達は表情を緩めたが、ノエルが振り返っていった言葉に凍りついた。


「よぉーし、じゃあ皆、この時間はオレが相手をしてやろう!死ぬなよー?」


ハッハッハーと快活に笑うノエルは、地獄からの使者だった、確実に。



………数十分後、死屍累々(いや生きてはいるが)の光景が目の前に広がった。



立つのは1人ーーーーもちろんノエル。



「あっという間に終わったなー。各々、弱い所を鍛えておくように」


そう言ってくるりとこちらを振り返る。



嫌な予感がする。



「殿下もどうですか?」



笑顔の鬼ノエルがそこにいた。



「いや、俺は用があって来ただけだ。また今度「シア、殿下は強いぞー」……おい」


く、おだてようったってその手には乗らん!ひたすらしごかれてこの後仕事にならないのは目に見えている。

一旦退却だ。



「シアラ、………ッ⁉︎」



キラキラキラキラ



そんな効果音が聴こえてきそうな瞳がこちらを見ている……だと⁉︎


「あー、真面目な話、シアは自分が握ることすらままならなかった剣の技に憧れているのです」



苦笑しながらアデルが言う。


そんな目で見るな、頼むから。



「………やるか」



嗚呼、単純な自分が嘆かわしい。



お読みくださりありがとうございました!

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