第6話「森、山、ゴブリン」
「これで、全部か」
「そうでございます」
もう外は夜だ。
俺達は明日この小屋を出るための準備をしていた。
部屋の中にある前の住人の持ち物を物色していた。
誰にも使われ無いよりは俺に使われた方が幸せだろう。
と勝手な解釈をしておこう。
ネクロもその方が良いと言うのでそうしておく。
さて、荷物の確認をしておこうか。
まず、衣類だがネクロが一式あるのでそれを着ろと言うので仕方なく着た。
「それがこれかよ……」
黒のパンツ、黒のインナー、黒の長ズボン、黒のワイシャツ……。
「って黒ずくしじゃねぇか!」
真っ黒だ真っ黒!
「仕方がありません。同じ魔物の素材できておりますので」
「なんだよその魔物って」
「ケロベロスという魔物であります。三つ首の黒い体毛で巨体の魔物であります」
「へ、へぇ~」
知ってるよ、地獄の番犬ね。
「で、その素材からできていると」
「はい、そうであります」
まぁ、いいけどそれが2セットある。
更に黒い外套もありこれには名前が付いていて、「ブラックパール」と言うらしい。
これもケロベロスの素材で作られているらしい。
そして今の俺は上からしたまで真っ黒だった。
魔法に耐性を持ち、更に少し破れた位なら元に戻るらしい。更に何と温度調節もしてくれるらしい。
着心地も悪く無い、むしろ良いと言っても言いくらいだ。
ありがたく着させてもらうことにした。
次にナイフまぁ普通のナイフだ。使いがって良さそうだから持っていくことにした。
次はランプだ。これは魔導器の一つで魔力で流し込むだけで火が灯る魔導器。更に虫除けの結界も張ることが出来る。便利だ今も使っている。
次のはすげぇぞ、次は魔力制御器だ。これは魔力のコントロールを補助するアイテムだ。金色をしたブレスレットの形をしている。
これのおかげどれだけ助かったか。
ラストにこの国、リーゼロッテ帝国の地図だ。
ラッキー知りたっかんだよ、ここら辺に街とか村があるのか。
で、あったんだよこれが、今ここにある森の向こうに大きな街があるらしい。これは行くっきゃないだろうな。
決定。
とゆう事で明日からそこに向かう事にした。
「ふぁ~」
「ほほほ、眠そうでございますね」
「まぁな、じゃ寝るか」
「そうでございますね」
挨拶を交わし俺は睡魔に身を任せた。
✵
五日目の朝――
「さぁ、行くか」
俺はブラックホバーボードに乗り森の中に入った。
かなり便利だなこれ。
小屋の中に靴が入って無かった為今、俺は素足だ。
あまり汚れたくないから俺はボードに乗っている。
ゆっくりだけどそれでいい焦る旅でも無いからな。
「なるほど、それが身体強化の魔法と」
「そうであります」
今俺達は森の中で俺でも使えそうな魔法を教えて貰っていたところだ。
「こんな感じか?」
と俺はアドバイス道理にすると。
「おぉ!」
俺は体が軽くなる感じがした。
「ほほほ、一回でこなしてしまうと流石であります」
「これが身体強化」
これは筋力等が上がるかなり基本的な魔法らしい。
だがこれでは体が丈夫になるわけではないらしい。
つまり、これで岩を殴るとする。もしかすると岩が砕けるかもしれないが腕も折れるてしまうかもしれないといった具合に欠点があるのも事実。
そこで俺はもう少し考えてみることにした。
体ごと強くしてみようと。
強化する魔法があった『黒漆』だ。
内部から『黒漆』する事にした。
血は肉となり力となる。
俺は血液に魔力を流し込むイメージをそしてその魔力は体を巡り細胞の一つ一つに辿りつく。
ちっ、こりゃ難しいな。まだ拳一つ分しか出来ない。しかも拳が黒く変色した。これには少々びびったが想像してなかったわけではない。
魔力コントールがなって無いな。
魔力制御器があってもこの程度か。
まぁいいか、一回試してみるか。
俺は一度ボード止め、降りる。
「どうかされましたか」
「いや、試したいことがあってな」
俺は黒くなった拳を構え近くにあった木を殴った。
殴られた所は凹みが出来ていた。
「これはこれは、ほほほ。たまげましたであります。まさか体そのもの強化してしまうとは」
「そりゃどうも」
成功だ。拳も痛くないこれはかなり使えるな、これを全身に使う事が出来ればあの黒い竜ともまともな喧嘩ができそうだ。
俺はあの時の緊張、場の空気を思い出して、笑みを浮かべた。
気を取り直しボードに乗り先に進んだ。
✵
暫くして――
「こっちでいいのか?」
「あっております」
慣れない地図を見ながら進む俺達。
「どの位の時間がかかるんだ?」
「そうでございますね。3日から4日程でありますね」
「かなりかかるな」
まぁいいけど。
俺は今荷物を持ってない、いやちょっと違うな。
手に持っていない、俺の魔法で荷物をしまっているのだ。
『黒水槽」と言う魔法を使っている。自分の影の中に空間を作る魔法だ。
これはかなり難しかったができた。空間を作ると言う感覚が上手く掴めなかったからだ。
でもそこまで広くない。2メートル四方の位の空間だ。これは作る時は少なく無い魔力を使うが作ってしまえば固定されるらしい。
開く時と閉まる時に少しの魔力使うがそれだけだかなり便利。
つーか暇だ、退屈だ。
早く何か起きねーかなぁ。
そんな事を考えていると日が落ちた。
「今日はこんなとこか」
「そうでございますね」
俺達は野宿の準備をした。
と言ってもランプを出して木に寄りかかるだけだ。
俺はまだ眠れなかったので工作をすることにした。
俺は影からナイフと木の角材を取り出し削り始める。
「ほほほ、今度は何を作っているのでありますか?」
「秘密だ、秘密」
まぁ秘密にする程のもんじゃねぇけどな。
「そうでありますか」
ただ作業するのはあれだったのでネクロと話すことにした。
「なぁ、この世界には魔族って言うのがいたんだよな?」
俺は作業を進めながら話しかける。
「はい、そうであります。魔界に住んでおります」
「魔界ねぇ~。面白なところだな」
「危険なところであります。全く持って面白くありません」
「さいですか……。魔物って奴もいるんだろ?」
「はい、そうであります。こちらもかなり危険な存在であります。ですが魔物にも絶対的な弱点があります」
「絶対的な弱点?」
「はい、人で言う心臓でありますね。魔物には魔石と言う物がありそれを破壊する事で魔物は息絶えます。ですが頭なども潰されば骸になること変わりませんが……。魔石は売る事も出来るので魔物を倒したら剥ぎ取る事をお勧めします」
「へぇ~、じゃあ魔物を倒したら魔石を取る事にするわ」
「それがよろしいかと」
とまぁこんな感じで夜は更けていった。
✵
あれから2日経った。
「そろそろ着いていい頃だと思うんだが」
俺は何事もなく森を抜け、山を中を進んでいた。
「この山を超えた所に街があります」
「もう少しで付くのか」
もう腹減って死にそう最近果実しか食っていない。
この果実は「パイム」と言うらしい。
不味くはないんだがさすがに飽きる。
俺達が道を進んでいると何か匂いがするうまそうな匂いだ。
「肉だ」
俺はその匂いの元まで林の中に入って行く。
匂いの元に着くとそこは少し広場になっていてそこには小さな緑色の醜悪な顔をした奴らが屯っていた。大きさは130センチくらいだろうか。
俺はボードから降り茂みに隠れる。
「ゴブリンでありますね」
小さな声で囁いてくるネクロ。
「魔物の中でも弱い部類に入りますが侮っていけません。集団で戦って来ると厄介な相手ですぞ」
なるほど情報ありがとう。
あいつら何か焼いてやがる。うまそうだなこの野郎。
その周りをゴブリン達が囲って騒いでやがる。
「何か作戦を立てた方が……あっ!」
ネクロが何か言ったていたが気にしない。俺は茂み中から出て行く。
さすがにゴブリン達も気づきこちらに敵意を殺意を向けてくる。
そして、お前も丸焼きにしてやると醜悪な顔が歪む。
「ギャギャギャ」
数は10体位だろうか。
「よう、食事前の体操に付き合ってくれよ。その肉俺が食ってやるよ」
俺は口角を上げる。
ゴブリン共との距離まで五メートル。
俺は「黒水槽」からある物を取り出す。
俺が夜な夜な作っていた物だ。
それは、黒い銃の形をした木だ。
俺はそれをゴブリンに向ける。
ゴブリン共は錆びた剣やら槍を持ち出す。
「黒弾丸」
銃の形した木――ブラックベレッタから黒い弾丸が飛び出す。
一匹のゴブリンの額の風穴を開ける。
「使えるなこれやっぱり」
俺はもう一度魔法を放つ。
だが、それはゴブリンの脇を通りすぎる。
「ちっ、しくったか」
ゴブリン達がこちらに向かって来る。
まだ、この魔法は慣れていない。
「やっぱり、これだよな」
俺は影にベレッタをしまい、拳を構え「黒血」発動する。更に身体強化。
これで動ける。
ゴブリンの群れ突っ込む。
錆びた剣を振り上げてくる
こんなのあの黒い竜の時と比べたら糞くらいだ。
「黒鉄」
俺は黒くなった拳に更に魔法をかける。簡単に言うとパンチが強くなる魔法だ。
俺は先頭に走って来るゴブリンに向かって拳を放つ。
ゴブリンもまた剣を振り下げてくる。
俺の拳と剣が交差する。
刹那、剣が折れゴブリンの頭蓋を砕く。
一匹目。
あと八匹。
次に二体のゴブリンが左右。
右足に「黒鉄」をかける。
左足に重心を置き後ろ回し蹴りを放つ。
二匹をゴブリンをなぎ払う。
これで三匹。
近づいて来た。近づいて来た。
俺は右腕を前に突き出し、新たな魔法を放つ。
「黒樹木」
刹那、掌から黒い樹木が前方に急成長するゴブリン共を巻き込み突き刺しながら。
これで八匹。黒い樹木が枯れ腐り落ちるように崩れる。
ラスト二匹、どちらも武器を持っていない。
ゴブリンの二匹は間合いを取るように後ろに下がる。俺は好奇と見て地面を蹴る。
そのまま拳をゴブリンの顔面に突き出す。
顔面を潰し後ろに吹っ飛ぶゴブリン。
そしてそのまま裏拳要領でもう一匹のゴブリンを吹っ飛ばす。
そして広場にいるゴブリンは全て倒したと思った所。
広場の奥に洞穴がありそこから一匹の先ほどのゴブリンよりも大きく――150センチくらい更に深い緑肌、脂ぎった頭髪、醜悪な顔がそこから現れた。
すると、ゴブリンの手に持たれている剣に俺は目を奪われた。
その剣は黒かった、刀身も柄もそして特別な装飾は無い。ただ斬るために作られた剣だった。
「あれは、ホブゴブリンであります。更に何と魔王の呪具でありますか」
「カースチェン?」
「あれは曰くつきの武器であります。持った物に負の感情を流し込み呪いをかけると言われております」
なるほど、それで目が血走っていて涎ダラダラな訳だ。
ホブゴブリンが剣を強く握る。
来やがる。
「行くぞこの野郎」
「グギャァァァ」
緑の魔物と黒の獣が駆ける。
「黒樹木」
俺は走りながら魔法を放つ右手から黒い枝がホブゴブリンを襲う。
ホブゴブリンは剣を振るう。
「なっ」
その剣は枝を斬った。
そして華麗な剣術で俺の魔法を切り崩す。
つ、強ぇ。俺の顔に笑みが生まれる。
間合いを取り直す。
ホブゴブリンの剣が俺に迫る。俺の喉仏に突きを放ってくる。俺は右に回りながら回避しながら拳を放つ。
「黒鉄えぇぇぇ!」
ドゴンと音がなりホブゴブリンが吹っ飛ぶ。
「グギャ」
空中で体勢を立て直し着地、そのまま駆けて来た。
ちっ、まるで怯んでねぇ。
腕をちぎるしかねぇな。
俺は再度「黒樹木」を放つ。
ホブゴブリンは先程と同じように剣を振うる。
全部の攻撃が塞がれているわけでは無い。
腕や顔に傷ができるが全く気になっていない。
俺はありったけの魔力を右手に集める。そして手刀を作る。
俺は剣の持っていな左に回り込みホブゴブリンの喉元に手刀を叩き付ける。
だが、ホブゴブリンも剣を顔に突かれる、俺は辞めない黒い剣と黒い手刀が交わる刹那、剣が俺の顔を掠める。掠めた所から血が出る。俺の手刀がホブゴブリンの喉元に吸い込まれた。
「ギャ」
小さく呻く。俺は止めない俺はそのまま首をへし折るまで押し込む。
ホブゴブリンの体が宙を舞う、俺はそれを追いかける。
そして、ホブゴブリンが地面に叩き付けられる。
腕をちぎるの止めた。頭蓋を砕く。
俺は手刀を拳に変え固める。そしてホブゴブリンが立ち上がる前に顔面に拳を叩き付ける。
「黒鉄ぇぇぇぇ!」
雄叫び共に拳が顔面を襲う、刹那、頭蓋が砕け、貫き地面に小さなクレーターが出来た。
顔には赤黒い血が俺の頬に飛び散った。
そして、俺のはじめての戦闘が終わった。
俺はホブゴブリンが持っていた剣に手を伸ばす。
「いけません!ご主人様!」
ネクロが叫びを上げるが俺は大丈夫と言ってその剣を握る。
その刹那、頭の中に負の感情が注ぎ込まれる。
殺――憎――悪
なるほど、でもこれは大丈夫慣れていた。
日頃の喧嘩の中でこんな物に会うのは必然。
俺はこの剣に魔力を注ぎ込む。
「お前は俺のもんだ」
こいつの呪いと俺の魔力は似ている気がした。
そしてこいつの呪いに勝てばいい俺の方が強いと。
そしてこいつ支配し、従えた。
「まさか、本当に大丈夫だとは思いも寄りませんでありました」
「結構、賭けだったけどな」
俺は洞穴方に向かいこの剣の鞘を見つけ出し剣を鞘にしまい、影の中にしまい込みそして俺はゴブリン共が用意していた。
肉をありあたく頂いた。
ゴブリンの死体が周りにある状態で。
✵
「あー食った食った」
俺は焼かれていた肉を綺麗に平らげた。
「ご主人様、魔石を剥ぎ取るのお忘れにならない様に」
「そうだったな」
俺はネクロに言われた通りに全ての魔石を手に入れ影へしまった。
さらにゴブリン共が持っていた武器なんかも一様、貰っといた。
一段落したところで俺は先程の剣を取り出す。
その剣の等身は100センチはあるバスタードソードだった。
するとネクロが説明をしてくれる。
「その剣の名は「黒剣「雅狼」と言います。刃に血を吸わせると強化するそうであります」
「へぇ、こいつ強くなるのか。これからよろしくな雅狼」
新しい武器を手に入れた俺達は少し先へ進み流石に疲れたので俺達は休むことにした。
クロウは武器を手に入れた。
かなりの無理やりですがご勘弁を。