第4話「黒い獣と黒い竜」
俺は墜ちていた。
言葉のままの意味だ。
そう、俺は命綱無しのスカイダイビングをしていた。
体に掛かるGが半端ない。
「うぉぉぉぉっ!」
あの、オサッンわざとやりやがった絶対だ。
あーダメだ。
「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬぅぅぅぅぅぅぅーーーーーーーーーー」
そして、地面すれすれの所でボンっと空気のクッションのような物のおかげで九死に一生を得た。
あの野郎、ぜってー許さねぇ。
俺は心にオサッンに仕返しをすると心に固く誓いを立てながら当たりを見回す。
そこは、浜辺だった。
と言っても広くない。
前が少し坂になっていて両端には壁のようになっている。俺は制服に付いた砂をはたき落としながらたった。
「さーて、冒険しますか」
と俺は呑気にしていると。
俺に影が掛かった。
俺は何かと思い影の正体を見ようと上を見る。
すると、そこには黒い竜がいた。
「えっ?」
さっきはいなかったのに何処から……。
竜は俺の前に降り立った。俺の何倍だろうか少なくとも10メートル超えている。黒い鱗、金色の鋭い牙や爪、背中には大きは翼もある。
竜は俺も上から見下ろす。
刹那、竜が反転して尻尾が俺に向かって来た。
あまりにも理不尽で急な攻撃に俺は腕を前に交差することしかできなかった。
その直後、容赦の無い衝撃が俺の体に走る。
「おっ」
俺は水切りされる石ころの様に海面を跳ねる。そして何メートルぐらい飛んだだろうか。
俺は海の中に沈んでいった。
唐突で強烈な一撃、俺の腕は原型を留めていなっかた。
だが、俺は冷たい海水を感じながら体が厚なくっている事に気づく。
俺って奴はこんな状況に陥っても興奮しているらしい。
しかし、戦い方が分からない。
あいつと喧嘩りたい。
どうしようもなく非力で無力な俺を憎み怒った。
『戦いたいか?』
何処からともなく声が聞こえる。
あぁ戦いたい。
その力が欲しい。
俺が不甲斐ないばかりにあいつを退屈にしてしまう。
せっかく俺に喧嘩を売ったのに。
俺は喧嘩も買えない男に何かなりたくない!
『よかろう。だがこの力は今のお前には強すぎる理性を失うぞそれどもいいのか?』
なんだっていい。
俺はやられっぱなしは性に合わないんだ。
すると、俺の意識が飛んだ。
✵
意識がなくなったクロウを黒い靄が包み込む。
クロウの双眸が赤く光り出す。
その直後、海から黒い獣が生まれた。
「URRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRR」
獣から発せられる遠吠え。
黒い竜はそれに応える様に―
「GURRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRROOOOOOOOO」
と咆哮を返す。
そして、黒い竜と黒い獣の戦いの幕が下ろされた。
黒い獣は海面に四つん這いになり。後ろ足をける、けられた海面はそれにならう様に水しぶきを上げる。獣は200メートルを飛矢の如く駆け抜けた。
竜は大きな口を開けそこに紅蓮の炎弾を作り放つ。
小さな太陽如きその炎弾は海面を巻き上げ突き進む。
獣は避けることもせずにそのまま炎弾に飛び込んだ。
黒い飛矢と紅蓮の太陽は激しくぶつかりあう。
「URRRRRRRRRRR」
雄叫びを上げる獣。
すると獣はその炎弾を突き破り竜に顔面を前足で引っ掻いた。
これには竜も苦悶の呻きを漏らす。
竜は翼を広げ空に飛び上がる。
獣は遠吠えをするように天に顔を上げ口を大きく開ける。
そこに獣の顔と同じくらいの黒い塊が形成されていく。
獣はそれを竜に放つ。
黒い塊は閃光に変わり竜の肩を貫く。
竜はバランスを崩しながらも反撃をしようとするが獣を一瞥し、踵を返し空の彼方へ消えていった。
黒い獣―クロウはこれ以上動けないのか黒い靄が消えて裸のクロウがその場に倒れ込んだ。
いきなりどうした!?と思われてしまいそうですが。
これで主人公は自分の弱さ思い知ることができました。
成長の糧となると思います。はい(^_^;)