出会い
「ただいま」
「お帰り。正。今日のお弁当どうだった?」
「…母さん、さやかと一緒に作ってるなんて初めて聞いたよ。」
「だって私が内緒にしてたんだもん♪」
「内緒にしてたんだもん♪ じゃない!僕はそのこと全然知らなかったんだから!」
「今日のハンバーグどうだった?」
「いつもとちょっと味が違ったかも…味付け変えた?」
「もぅ。さやかちゃんもはっきりと言えば良いのにね~。後でさやかちゃん宅に残ったハンバーグ差し入れに持っていかないとね!」
「さやかの両親って外国に居るんじゃないの?と言うか作りすぎ…」
「それは一週間前のことでしょ。今は帰ってきてるわよ?正、気づいてなかったの?さやかちゃんやっと形が成功した奴正のに入れてくれたんだから、他のもふつうにきれいな形だと思うんだけどな…」
もう何も言うまい。
「他に変な事とか無い?もうそろそろだと思うんだけど…」
「母さん。笑わない?」
「勿論よ。」
「さっきさやかのシロが喋った気がするんだ。」
「ソフト○ンクのお父さん的な?」
「そう。」
「正ももうそんな時期かぁ…感慨深いわねぇ…」
「違ーう! 何でそんなに僕をchuuni病にしたいわけ? もう良いや。疲れたよ…晩ご飯出来たら呼んでね。」
「わかったわ。 とりあえずそのペンダントだけは肌身はなさず持っておくのよ!」
母さんと居るとつっこみに回らないといけないから大変だ。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
部屋にはいると誰かの視線を感じた。
「誰?」
振り返っても誰も居ず。
結局財布から50円玉をそっと出してきれいに磨いた。
そしてコレクションケースに入れようとしたとき、
「ふぅ…またしばらくはコレクションケースの中かぁ…最悪だわ。」
と声が聞こえた気がした。どちらかというと頭に直接響くような…。
「聞こえてるなら出してちょうだいよ!ねぇ、きいてるの?」
気のせいじゃなかったようだ。
「君はどこにいるの? これは夢?」
「手元見なさいよ。あんたが持ってるその硬貨よ」
「50円玉なの?君は誰?」
「そう言うときはあんたから名乗るのが常識ってものでしょう? 私はエレン。十年ほど前からこの硬貨に入ってるわ。」
「…そ、そうなの? 僕は斉藤正。はっきり言って今の状況は理解できてないです。」
「えっ? あなたまだ覚醒したて? なのに私の声が聞こえているの? あなたどんだけすごいのよ…」
「すごいの? 僕にはわかんないけどな… それはそうと早く出て来なよエレン。」
「本当に何にも知らないのね… 気安く名前で呼ばないで貰いたいんだけど。 後、私一人で出れないからあんたに頼んでるんでしょうが。 あんた…」
「正だよ。」
「と言うか正はもう一人精霊を連れてるじゃない!」
「「そこから出たくば、使い魔契約をするしかあるまい。」」
「またなんか出たよ…」
「あんたは誰?」
『私はグレム。斉藤 康雄の使い魔だ。』
「父さんの? 使い魔?」
「なるほど、遺伝だったのね…」
『お前の父上には私の声が聞こえたことを今に報告を入れよう。 それにしても、エレンと言うのか? もう精霊を見つけだしたとは流石康雄の息子だな。 早く使い魔契約をするのだ。』
「父さん生きてるの? もうなにが何だか解んないんだけど… 契約ってどうやってするの?」
「あのおばあさんとは契約もせず普通に出れたのに…?」
『契約をすると、お前ほどの器の持ち主なら、その精霊を自分の好きなように操ることが出来るだろう。 相手の姿を想像し、我がペンダントに記されし呪文を唱えよ。 』
「なにも書いてないはずだけど…あっ書いてある。でも支配とかせずに出してあげる方法はないの? エレンの言うおばあさんみたいに
。」
『出来ぬ事は無いが…もう他の精霊に出会える可能性は限りなく低いぞ? ほれ、エレンとやらお前はどこの精霊だい?』
「どこの?どう言うこと?私は何も…」
『例えば 火の精 土の精 少し珍しくなって 雷の精とかあるだろう?』
「そんなの無いわ。前のおばあさんは屋敷妖精って言ってたわ。もうそろそろここから出してくれる?」
僕をほったらかしにして50円玉とペンダントが机の上で口論してる。なかなかにシュールな光景だ。
『なら自分が何から出てきたかはわかるか?』
「古~い本。そのおばあさんにその本もうあげたわよ?」
『む…。もしかしてグリモワールの精霊なのか。そうならばすごいが…。なぁ正。』
「ごめん。僕何聞かれてもわからないや…。」
本当にわかるとでも思ったのだろうか。
「「て言うか、グリモワールって何?」」
『はっはっは。ハモったわい。簡単に言えば現代に残った魔導書じゃな。その力は物によっては世界中の精霊に匹敵する物もあるという。私はグリモワールの複製書から生まれたんじゃ。』
「で、どうしたら エレンとグレムを契約せずに外に出せるの?」
『エレンは正と契約しないのであれば、このままで居る方が良い。他の奴に見つかるからの。もしくは出た後すぐにもう一度どこかに入るか。外に出ていたら一週間ほどで存在がばれるであろう。だがしかし一回これをすると、10年近くは自分の声は誰にも届かんぞ。私はこれが本体ではないので下手にいじらない方が良い。』
「だから僕に聞こえたんだ…。」
「おばあさんの時も一週間位だったわね。 2番目のにする。だから出して。」
『正さえ良いのであれば簡単なことだ。正、エレンに向かって手を伸ばすんだ。イメージしながらの方が良い。』
50円玉に手を伸ばすと小さな手でエレンが掴まってきた。大きさは…両足が50円玉の上にすっぽり入るくらいだろうか。
「ふぅありがとう、正。ねぇグレム、次の物に入るときはどうしたらいいの?」
『一回だけだから心して聞けよ。入りたいと思って近づけば入れるが、一回入ったら次に自分の声が周りに聞こえなくなるぞ。』
「それで良いのよ。正、グレムも今までありがと…。」
そこで僕は記憶を失った。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「正~晩ご飯出来たわよ。起きなさい。」
「うぅん…」
「グリモワールって知ってる?」
母さんまでおかしくなったのだろうか。さっきから頭痛が酷い。母さんにエレンの話なんか出来るわけ無い。
「知ってる…」
「どこで知ったの?」
「ウィキ○ディア…」
そう言うお年頃だもんね…とか言うんだろう。
「正もそう言うお年頃だもんね~。」
ほらやっぱり。
「何でそんなこと聞くのさ。」
「正を起こそうとしたら寝言で言ってたから…」
何それ恥ずいんだけど…
「そ、そっかぁ…」
「今日の晩ご飯は煮込みハンバーグよ。」
しばらくの間はハンバーグが続きそうだ。
「ごちそうさま。今日は色々あって疲れたから先に寝るね…」
「わかったわ。おやすみなさい。明日は朝風呂に入りなさいよ。」
「わかった。」
気が利くというか何というかである。
部屋にはいると聞き覚えのある声が聞こえた。
『正よ災難だったな。』
あれ、夢じゃなかったのかな…
(キーーーーーー)
「頭痛が痛い…」
『お主てんぱりすぎて日本語までおかしくなってるぞ。』
「あれ…エレンは?」
『…』
「えーっとグレム?」
『エレンよ聞こえていたら叫ぶのではなく普通に喋るんだ。』
「え…エレンが何を言っても聞こえないんじゃ…」
(キー…ってさっきから言ってるで…ーン)
「え”…」
(ちょっとー聞こえるの~?)
「…」
『正よ。そう言うことだ。』
まっまさか…
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「マドゥサ様に報告できるまではいかんが、作戦は順調だな…。」
「おい。めがね。お前喋れるのか?」
ギクッ!
…まさか準覚醒者だったの?
眠いっすね…
とりあえず投稿あげときまーす!^^




