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床の下

作者: ある

次の授業は移動教室で、教室から出ようとドアに向っていた。その途中、上履きのつま先が何かに引っかかり、足元を確認すると、木の床の四角形の一部が割れて外れていた。しゃがみこんで、その破片を四角形に戻そうと手に取ると、階下の様子が見えた。暗くてよく見えなかったけれど、使用していない教室のようで、色々な物が雑然と置かれている様子がぼんやりと見えた。近くにいた友人に声をかけ、二人で下を覗いた。床の厚さは1cmもないくらいで、自分達のいる教室がこんなに薄い板に支えられているなんて、とても恐いね、と話していると、下の部屋から猫の声が聞こえてきた。次の授業まで少し時間があったので、猫を探しに行ってみることになった。何だかとても愉快で、廊下を走り、階段を一段飛ばしに駆け下りた。自分達の教室の真下にたどり着くと、教室には電気がついていて、中からガヤガヤと人の声が聞こえた。ドアをわずかに開けて中を覗くと、おかしなことに、上から覗いた時と同じように教室は暗く、誰もいない。古い教材が雑然と置かれ、錆びた脚の古い机や椅子が高く積み上げられていて、教室は埃に覆われていた。不思議に思いながらも教室に足を踏み入れ、友人と一緒に猫を探していると、頭上から明かりが射し込んでいて、見上げると、天井の穴から人が覗き込んでいた。同じクラスの誰かだろうと思って、声をかけようとした時、友人が猫の鳴きまねをした。笑いながらそちらに目を向けたが、そこに友人の姿はなく、少しして天井の穴が閉じた。友人の名を呼びながら教室を見渡すと、黒板の横の壁に、国鉄時代の古い券売機が備え付けてあることに気づいた。ずらりと並んだ丸いボタンの一番左端を押して、入場券を買った。切符には「こくてつこくてつこくてつこくてつ…」と小さな文字がびっしりと書いてあって、懐かしく思いながら見入っていると、黒板の上のスピーカーから「まもなく電車がまいります、危ないですから白線の内側に…」と雑音交じりのアナウンスが流れた。どうやら電車は廊下に入ってくるらしく、教師達が慌しく生徒達を誘導する声が聴こえてきた。廊下に出ると大勢の生徒が電車を待って整列していて、私もそれに加わった。気がつくと、いつの間にか友人も隣に並んでいて、切符を買ったかと聞いてきたので「うん」と答えたが、入場券しか持っていないことを思い出して、冷や汗が出た。まもなく、足元に振動が伝わってきて、廊下に電車が滑り込んできた。果たしてこの廊下に、電車に耐えられる強度があるのだろうか、と心配になった。


そこで目が覚めた。



鮮明に覚えていた夢を、文章にしたもの。

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