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冒険者ライフ!  作者: 作者X
第一章 愉快な三人組
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第4話 魔物と書いて、獲物、もしくはお金と読む

やっと戦闘や魔法が出てきます。

ただ、魔物を『狩る』ので、

特に動物好きの方はお気を付け下さい……。



「さてと、ここからだな……」


ビスケット町を後にしてから二時間程歩き、

見えてきたのは、小さな森。


「『小人の遊び場』だっけ?この森の名前……」

「うん、この森を抜けて、三時間ぐらい歩けば、チョコレート町に着くよ」


グリーが地図を見ながら言う。

この森抜けてからも、結構かかるんだな……。


「この森を抜けるのに、どれぐらいかかるの?」

「普通に歩いて、三時間弱って所かな?」

「森三時間、道三時間、か。

 今10時ちょい過ぎ、普通に歩いたら向こうに着くのは、休憩入れて五時頃ってとこか」

「普通に歩いたら、ね」


クスッと笑って、グリーが言う。


「『魔物狩り』に、どれくらい時間をかけるかが問題だね」

「そうだな……。暗くなると森は危ないし、日が沈む前に森を出た方がいいな」


一般的に暗くなると凶暴な魔物が増えるし、

周りが見えにくいから、奇襲とかされたら危険だ。


「じゃあ、五時ぐらいまで魔物狩りってこと?」

「体力が持てば、な。

 限界までやるなよ?森抜けた後、三時間歩かなきゃいけないんだからな」


久しぶりに魔法が使えてうれしいのか、

やる気満々のメリスに、一応忠告しておく。






……あれ?こいつ魔物狩り嫌がってなかったか?


「『処理』が嫌なの!!『戦闘』はどっちかというと好きだよ?」

「それはそれで物騒だな、おい。

 ……っつーか、ごく自然に人の心を読むな!!」

「ハディは顔に書いてあるんだよ!」


何ぃ!?くっ、成程そういうことか!

これからは気をつけないと……。


「気をつけても無駄だと思うよ?」

「うわ、また読まれた!!」


メリスにまた指摘される。

俺そんなに分かりやすいか!?


「………ほら、二人とも、

 じゃれてないで早く行こう……?」


後ろにいたグリーに言われて、

止めていた足を動かす。






……何かグリー、殺気立ってないか?



















十数分後、俺達は、森の入口に着いた。


「グリー、この森にはどんな魔物がいるんだ?」


歩きながら、後ろにいるグリーに話しかける。

一応知っておいた方がいいからな。


「森だからね。いるのはやっぱり、魔獣や魔草だよ。

 この森にいるのは、低位の奴ばかりみたいだから、そんなに警戒する必要はないと思うよ」


魔物には大きく分けて、

魔草・魔魚・魔獣・魔族・竜の五種類がいる。


この分け方で、魔草や魔獣は弱い部類だ。しかも低位。

それなら大して危険じゃねぇけど……。


「……でも、それじゃ稼ぎも少ないんじゃない?」


メリスの言うとおりだ、

低位の魔獣や魔草なら、

それこそ一般人でも狩れるからな。


危険度が低く、誰でも狩れるから稼ぎも少なくなる。


「そうだね、だから多く狩る必要があるよ」


……やっぱりそうなるか。

荷物と臭いが大変になりそうだ……。


「あ、でも」


グリーが思い出したように付け加える。


「この森の『王者』が、バトルプラントっていう中位魔草なんだ。

 危険度はD、そいつには気をつけた方がいいね」


「危険度Dかよ……」


危険度ってのは、その魔物の危険性と戦闘力を表すものだ。

危険度Dだと、D(クラス)冒険者が三、四人で戦って、

ギリギリ倒せるぐらいの強さってことになる。


「ま、ギリギリなんとかなるかもしれないけど、できるだけ危険は冒したくないしね」


同感だな。

……そう思っていると、近くの草むらから、

俺に向かって何かが飛び出してきた。



「グオオオオォォォォ!!」

「おっと!」


とっさにかわし、腰に差した剣を引き抜いて、

襲いかかってきた魔物と対峙する。



「狼……『ワイルドウルフ』か!」


ワイルドウルフ、低位魔獣の代表的な奴だ、

茶色い毛並みを持つ、名前の通り狼の姿をした魔物。


大きさは体長1m、高さ50cm程。

危険度はE以下、E(クラス)冒険者は、最低でもこいつを一人で倒せなきゃいけないっていわれてる。



一匹では大したことないが、10~20匹ほどの群れを作り、旅の商人や冒険者を襲う魔物だ。









………ってことは………。









次の瞬間、草むらから次々とワイルドウルフが現れ、俺達を取り囲んでいく。


15匹ってとこか……。


「ちっ、いきなりワイルドウルフの群れかよ……」

「肩慣らしに丁度いいんじゃないか?

 まぁ、油断大敵だけどね」


グリーが、銃に弾を込めながら言う。

そう言う割には余裕だな。


「あんまり撃つなよ、弾高いんだから。

 それより指示を頼む!」

「はいはい…」


グリーは少しつまらなさそうにそう言い、周りを見始めた。


「やっちゃっていいんだよね?」

「……森燃やすなよ?」


やる気満々のメリスに、もう一度忠告する。


「分かってるって!」


メリスはそう言うと、目の前のワイルドウルフを見て、『準備』を始める。


まず、メリスの周りが赤く光り始めた……。

魔法の手順、その第一段階、『集中』だ。


それを見て、一匹のワイルドウルフが、メリスに襲いかかってきた。


「遅ぇよ!!」


俺は横から、剣でワイルドウルフの横腹を切りつけた。

ワイルドウルフは崩れ落ち、そのまま動かなくなる。


「……火よ、集え……」


そうこうしている内に、メリスが『集中』を終えたようだ。

第二段階の『詠唱』を始める、と同時に、メリスの手のひらに、直径20cm程の火の弾が現れる。


「フレイ!」


第三段階、『呪文』をメリスが紡ぐと、火の弾は目の前のワイルドウルフに向かって飛んでいく。




 ゴオォォッ!!



「グオォォ!!」


避け切れなかったワイルドウルフが、

炎に包まれ、叫び声を上げる。


今のは、炎属性の基礎魔法レベル1、『フレイ』だ。

レベル1でこれだもんな……。魔法ってすげぇ。


他のワイルドウルフがそれに怯んでいる隙に、俺は突進し、三匹を先程と同じように切り倒した。


「キャン、キャン!」


生き残ったワイルドウルフ達も、さすがに不利だと感じたのか、悲鳴(?)を上げながら逃げていく。


「ふぅ、まっ、余裕だな」


俺は剣についた黒い血を払い、切れ味が落ちないよう、最低限の手入れをしながら言う。


「出だしはまずまず、だね」


グリーが、ワイルドウルフの死体を運んでくる。


「つーか、その焼いた奴はどうすんだ?」

「う~ん……、ちょっと無理かな……」

「あ~、水魔法の方が良かったかな?」


黒焦げになったワイルドウルフを見て言う。

ワイルドウルフって肉食えないんだよな……。


「それじゃ、小川でも探そうか。

 ……ここでやるのはちょっと……ね。」


グリーはメリスを見て、少し気まずそうに言う。

メリスは嫌そうな顔で、ワイルドウルフの死体を見ていた……。
















10分後、小川を見つけた俺達は、そこでワイルドウルフの『毛皮』をナイフではぎ取り始めた。

もちろん、はぎ取った毛皮についた血は、水で洗い流す。


「今さらだけど、死体そのまま持ってくのはダメなのか……?」


「別にダメじゃないけど、かさばるし、臭いがひどいし、『処理』を向こうに任せるから、売値も安くなっちゃうよ?」


デメリットばっかだな。






30分後、四匹全ての『処理』を終えた俺達は、毛皮を専用の袋の中に入れた。


この袋は特殊な加工がしてあって、よっぽどひどい臭いじゃない限り、外にもれなくなっている。

しかも、中がいくつかに分かれていて、魔物の種類ごとに分けることもできる。

魔物狩りの必需品だ。


「おーいメリス、終わったぞー!」


俺は草むらに隠れているメリスを呼ぶ。


「………あれ、ワイルドウルフの死体は?」

「あ~、一応埋葬しといた」


殺しといて埋葬するのも変な話だが……。


「グリー、これどれぐらいの値で売れるんだ?」

「全部で1000(ゴールド)って所かな」


1000(ゴールド)か……。

まだ宿代には、足りないだろうな。


「うん、じゃあ次……あれ?あれ何?」


メリスが、小川の方を見て言う。

見てみると、小川の中から緑色のつるのような物が五本、

うねうねと動きながら伸びていた。


「……『水のカズラ』だね。低位魔草だよ」


低位魔草か、んじゃ、楽勝だな。

一般的に低位魔獣より、低位魔草の方が弱いって言われてるしな。


「ただし、戦闘力はワイルドウルフより上らしいから、さっきも言ったけど、油断大敵だよ?ハディくん」


う……また顔に出てたのか?


「メリス、魔法の準備を、植物だから炎に弱いはずだ、一気に灰にしちゃっていいよ。

 ハディくんは正面から相手をして、時間を稼いで。

 川の中に引きずり込まれないようにね?」

「了解ー!」

「任せときな!」


グリーの指示通り、メリスは魔法の準備を、俺はメリスと水のカズラの間に立ち、剣を構える。

グリーもメリスの近くで、装填の済んだ銃を握り締めている、いざという時すぐ援護できるように、だろう。



メリスが『集中』を始めると、それを察知したのか、水のカズラがメリスに向かって伸びてくる。


……川に引きずり込む気か?


「遅いっての!!」


その間にいた俺が、五本全てを切り裂く。

切り裂いたつるの先端はぼとぼとと落ちていくが、川の中にいる本体はまだ生きているらしい。

五本のつるは、俺から一定の間合いを取り、うねうねと動いている。



「……大気より火の集いを呼ぶ……」


と、後ろからメリスの『詠唱』が聞こえてきた。


「ハディくん!下がって!」


グリーの指示が飛ぶ。

それを聞き、急いでメリス達の所まで下がる……。


すると、水のカズラ達も追いかけてきた。

……こういうのを、『飛んで火に入る夏の虫』って言うんだよな。

……虫じゃないけど。


すでにメリスの両手の間に、大きな炎がゆらゆらと揺れていた。






「燃えろ フレイア!!」


『呪文』と同時に、その炎が水のカズラに向かって放たれ、

瞬く間に五本のつるを飲み込んだ。



炎属性の基礎魔法レベル2、『フレイア』……。

……まるで火炎放射機だな……。

いや、機械じゃないけど。




「楽勝、楽勝!」

「って、ちょっと待て!!」

「え?」


勝ち誇るメリス、いや、それはいいけど……。


「魔物全部灰にしてどうすんだよ!?」


水のカズラはフレイアによって、燃やされ、灰と化していた。


俺達の目的は、魔物を狩って金を得ることだぞ!?

ただ魔物倒しても、意味ねぇだろ!!


「それなら大丈夫だよ」


グリーの方を見ると、さっきまで水のカズラがいた所に座り込んでいた。


……何だ?




「ほら、これ」


戻ってきたグリーが、手の平を見せてくる。






―――――灰?




「魔草の灰は、良質な肥料の材料になるんだよ」


グリーは灰を袋に入れながら言う。


成程、だからさっき、一気に灰にしていいって言ったのか……。


「それと、さっきハディくんが切り落としたつるの先端部分、これは傷薬の材料になるんだ」


グリーが切り落とされたつるを拾い集めながら言う。


「ん~でも、灰にした方が持ち運びやすいんじゃねぇの?」

「傷薬の材料として売った方が、少しだけだけど高いんだよ」


高く売れるなら、少しでも高く売ろうってことか。

その上で灰にしていいって言ったのは、戦闘を楽にするためだろうな。


つるの先端部分を、灰とは違う場所に入れる。

同じ魔物でも、違う物だからな。


「これでどれぐらいだ?」

「さっきのと合わせて1800(ゴールド)ってところかな。

 水のカズラは、川の中にいた本体を逃がしちゃったし」


いや、それ狩るの無理だろ……。


「最低でも、5000(ゴールド)は欲しいな……」

「だね、それじゃあ魔物狩りを続けようか」

「ねぇハディ、もしお金が余ったら、高級チョコレートとか買いたい!!」

「却下」


無駄づかいすんなっつーの。


……何かメリスがふくれてるけど、とりあえず無視だ。

魔物狩りを続けよう、五時までに十分狩っとかないと、下手すりゃ今日はチョコレート町の公園で寝ることになるぞ……。











それから、俺達は魔物狩りを続けた……。

ワイルドウルフを狩ったり、ハチトリソウを狩ったり、ワイルドウルフを狩ったり、ビッグマウスを狩ったり、ワイルドウルフを狩ったり………、






―――――この森、ワイルドウルフ多くね?




「……なぁ、グリー、ワイルドウルフ何匹狩ったっけ?」

「これで14匹目だよ」


ワイルドウルフの『処理』をしながら話す。


「一匹分の毛皮で250(ゴールド)が相場だからね。

 普通に考えれば3500(ゴールド)で売れるんだけど……」


……普通に考えればそうだけどよ……。


「同じ物を大量に売ると、安く買い叩かれるんだよな……」

「そうなんだよね……。

 だから、せいぜい3200(ゴールド)ぐらいだと思うよ」


300(ゴールド)程度……って思うかもしれないが、

俺達にとってこの差はでかい。


「って言っても、僕達は冒険者だから、まだマシなんだけどね」

「あぁ……」


これも冒険者の特権なんだが、冒険者が狩った魔物は、『冒険者ギルド』が買い取ってくれるんだ。

絶対とは言わないが、基本的に業者よりも高く買い取ってくれる。


ただ、『酒場』と違って『冒険者ギルド』は大きい町にしかないんだよな……。


「チョコレート町にはあるのか?」

「うん、ただ、依頼は扱ってないみたいだけどね」


冒険者ギルドには、依頼を扱っている所と、いない所がある。

チョコレート町にあるのは後者みたいだから、依頼は酒場で探すしかないな……。



「っと、そろそろ一時だな。昼飯にするか」

「お昼ご飯!?やったー!!」


草むらに隠れてたメリスが出てきた。




「おいメリス、まだワイルドウルフの死体、埋葬してないぞ?」

「!!!」


毛皮をはがれたワイルドウルフの死体を見てしまい、

慌ててメリスは草むらに身を隠す。


……まぁ、普通は見たくないよな。


「それじゃ、埋葬が済んだら、少し離れた小川沿いでお昼ご飯にしようか」

「……だな。さすがにここじゃ食う気になれない……」


地面に血が付いてるし、臭いもけっこうひどいし。


とりあえず、

この死体の埋葬が済んでから移動するか……。






すみません、一週間空きました!

現実の方がちょっと忙しくて……すみません、言い訳ですね……。



本編ですが、なんかまたギャグが少ないような……。


どうでもいいですが、どんどん一話の文字数が増えてますね……。

一応、一話4000~6000字ぐらいを目指してますが、

……これって少ないのでしょうか……それとも多い?



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