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冒険者ライフ!  作者: 作者X
第三章 弱肉強食
38/71

第30話 行雲流水(こううんりゅうすい)

「ええええぇぇぇぇ!!?」

「うるさいわコウル」


俺達の話に驚きの声を上げるコウルさんと、冷静に受け止めるプラムさん。

翌日、俺達はまたギルドに赴いていた。

その理由は、


「ほ、本当に、もう行っちゃうの……?」

「……はい」


ギルドのみんなに、別れを言うため。

今日俺達三人は、この町を出ることにしたんだ。


「で、でも、どうして?まだこの町に来てそんなに経ってないでしょ?

 そんなに急いで出なくても……」


コウルさんの言う通り、俺達も、本当はもう少しここにいるつもりだったんだけど……。


「昇格審査ね?」

「はい」


流石プラムさん、分かってたみたいだ。


「昇格審査?あれ、この町ではまだしばらくないはずじゃ……」

「この町じゃないわ。タルト町のギルドであるのよ、5日後にね」

「え、タルト町って……」

「徒歩なら2日近くかかるわ。そして審査を受けるには、3日前、つまり明後日までにギルドに直接行って、申請を出さなきゃいけない。

 受けたいなら今日にも出た方がいいでしょうね、明日じゃ間に合うか分からないし」


そう、昨日グリーもまさに、プラムさんと同じことを言ったんだ。

明日出ても間に合わないことはないけど、1日ぐらい余裕を持っておいた方が良い、って。


「え?2日で着くなら、明日でも十分……」

「到着は明後日の夜になるわ。ギルドが閉まるまでに間に合えばいいわね」


コウルさんに説明するプラムさん。

申請にも時間かかるだろうからな……相当ギリギリになるみたいだ。


「そもそも、審査を受けたいなら、もっと早くその町にいるべきよ。

 そんなギリギリ入り込む方がおかしいわ」

「いや昨日知ったんですよ、審査があるの。

 それに、少し前までは審査なんて受けるつもりありませんでしたし」


俺もグリーも、今の所D(クラス)で満足してたし、しばらくは審査を受けるつもりなんてなかった。

……でも、


「でも、『紫黒の魔女』が、確実に受かるって言ってくれましたからね」


ブラッディヴァインを倒した俺達を、プラムさんはそう評価してくれた。

そこに審査があるって話を聞いたんだ、これはもう行くしかないだろってことで、急きょこの町を出ることになったんだ。


「……ただの社交辞令、とは思わなかったの?」

「プラムさん、社交辞令なんて言うんですか?」

「どういう意味かしら?」


嫌味っぽいグリーの言葉に、プラムさんはわざとらしくまゆをひそめる。

たぶん自覚はあるだろうなぁ、俺達初見で『帰れ』って言われたし。


「ま、正解。あれは社交辞令なんかじゃない、れっきとした事実よ。

 だからって天狗にならないようにね、私はあんた達が戦っている所を直接見てないし、そもそも、審査するのは私じゃないんだから」


と、プラムさんに釘を刺される。

それはもちろん分かってるけど、


「大丈夫です、受かってみせます!」

「私もがんばります!!」


メリスがプラムさんに向かってガッツポーズを作る。

そう、今回はメリスも試験を受けることにしたんだ。


「あら、あんたも受けるの?」

「はい!がんばります!」

「分かってると思うけど、いくら実力があっても冒険者の資格はE(クラス)からよ?

 今まであんたが『仲間』として依頼をこなしていてもね」

「はい!!がんばります!!」

「そ、そう……」


おぉ、あのプラムさんがメリスの迫力に押されてる……。

と、今プラムさんが言った通り、

メリスはE(クラス)からのスタートになる。

ちなみに、『仲間』としてこなした依頼もしっかりカウントされるから、このまた次の機会があれば、メリスはすぐにD(クラス)の審査を受けられる。

でも、試験と審査を同じ日に受けるのは無理だから、しばらくはメリスはE(クラス)ってことになる。

にも関わらず、メリスが今回試験を受けることにした理由、それは……、


「でも、今までは持ってなかったんでしょ?どうして急に?」

「だって!冒険者なら冒険者の資格欲しいじゃないですか!!」


……うん、単純明快だ。


「……逆に、何で今まで取らなかったの?」

「あ、それは……」


それは俺も今まで気になってたことだ。

だから、昨日の夜に聞いた。

メリスが今まで資格を取らなかったのは……、


「私、イアさんに憧れてるんです」

「イア……って、『八つの魔塔』の?」

「はい!!」


『星の賢者』の異名で知られ、魔法使いの中でも最強と呼ばれる使い手の一人、イア・ランディアさん。

メリスがずっと憧れてた人だ。


「イアさんが、冒険者の資格を持ってなかったから……」

「当たり前でしょ、あの人は冒険者じゃないんだから……って、それが理由?」

「……はい」


少し恥ずかしそうに言うメリス。


「ふーん……ま、それはただのマネ事ね、何の意味もないわ」


ばっさり切り捨てるプラムさん。

うん、この人はたぶんこう言うと思った。


「はい、私もそう思ったんです」

「あら、何かきっかけでもあったの?」

「きっかけっていうか……。少し前にイアさんに会った時に」

「え、会ったの?……あ、ごめんなさい、続けて」

「なんていうか……遠過ぎるなぁって」


メリスはそう言って、少し寂しそうに笑う。

俺はメリスも十分すごいと思ってるけど、ランディアさんはちょっと……格が違う。


「諦めるの?」

「い、いえ!!諦めません!!いつかは絶対イアさんに追いつきます!!」


言い切る辺り大物だよなこいつ……。


「でも、目標としてはちょっと遠過ぎるから、とりあえず、もう少し近い目標が欲しいなって」

「なるほど、それが冒険者の資格なのね?」

「うぅん、プラムさんです!!」

「……私?」

「はい!」


にっこりと笑顔を向けるメリス、プラムさんは予想外だったのか、顔をきょとんとさせていた。


「プラムさんはB(クラス)だって聞いたので、私もひとまずそれを目指します!!」


ビシッと言い切るメリス。

それに『大魔導師(ハイウィザード)』でもあるからな、目標としては良いと思う。


「へぇ、そう……」


それを聞いて、プラムさんはいたずら笑みを浮かべる。


「勘違いしてるみたいね」

「え?」

「確かに私が持ってるのはB(クラス)よ。

 でも、それはギルド長になってからは冒険者を休業してるから、そうじゃなかったら、たぶん今頃A(クラス)になってるわ」

「え、ええぇ!?」

「あら、私は『大魔導師(ハイウィザード)』よ?当然と言えば当然でしょ?」


驚くメリスにあっさり言ってのけるプラムさん。

そっか、A(クラス)冒険者より大魔導師(ハイウィザード)の方が人数少ないもんな……。

いや待て、でもA(クラス)冒険者全員が魔法使いってわけじゃないし、でも、大魔導師(ハイウィザード)全員が冒険者ってわけでもないもんな……。

なんか、わけわからなくなってきた……。


「とりあえず、『大魔導師(ハイウィザード)』で冒険者をやってるような人は、大体A(クラス)だろうね」


グリーは分かっていたのか、俺と同じく混乱していたメリスに補足する。


「つまり、私に追いつきたいならA(クラス)を目指せってことよ」

「な、なるほどっ!!」


……本当に分かったのか?こいつ。


「分かりました!!A(クラス)を目指します!!」

「えぇ、もちろん『大魔導師(ハイウィザード)』も目指すのよ?

 『星の賢者』に追いつきたいならね」

「はい!!」


やる気満々、といった顔をプラムさんに向けるメリス。

こいつのこういう、迷いのないところは、俺も見習わないとな。


「さて、話が盛大にそれたけど、あんた達、そろそろ行った方がいいんじゃない?」

「ってギルド長!?自分だけしっかり話しといてそれはひどくないですか!?」

「そうっスよ!!俺達まだ全然話してないっス!」

「あら、いたの?コウル」

「俺だけ!?」


ギナトとコウルさんの抗議に、まるでコウルさんの存在を今知ったかのように返すプラムさん。

……さっきコウルさんにツッコんでなかったっけ?


「うぅ、みんな、本当に行っちゃうんだね……」

「……はい、お世話になりま」

「せっかくこれからも、どんどん働いてもらおうと思ってたのに……!!」

「それは口に出さなくていいですよね!?」


感動の別れが台無しだ!!


「そうね、それは私も残念だわ」


プラムさん、あんたもか!!


「ハディ!俺達もこれからがんばるから!お前らもがんばれよ!!」

「えっと、みなさ……」

「ファト」

「あ、うん……。みんな、また、会おうね」


しっかり別れを言ってくれるギナトとファト。


「おう!お前らもな!」

「ファトちゃん!またね!!」

「ちゃんと困った時は助け合うんだよ?」

「分かってるって!」


グリーの言葉に笑顔で返すギナト。

……まぁ、ファトの気持ちには気づいてないんだろうけど。


「タルト町に行くなら、まずはミカン村で一泊するといいでしょうね。

 野宿が好きならそっちでもいいけど」

「ミカン村?」

「ここから徒歩8時間ぐらいの場所にある村よ。

 少しタルト町までの道から外れるけど、そこからは徒歩10時間ぐらいだから、明日の朝に出れば、夜には着くわ」

「それなら申請には十分間に合いますね」


野宿も大変だし、そっちの方がいいか。


「少し前に行ったことあるけど、平和な良い村よ。

 2日間歩き通しになるから、そこでしっかり休むことね」

「はい!」

「それじゃ、名残惜しいけど、そろそろ行こうか」

「そう、ウチは仕事ならいつでもあるわ。

 仕事が欲しかったらまた来なさい」

「そうそう!!俺の代わりにいっぱい仕事を……」

「あんたは黙ってなさい」

「ひどい!!」


……大丈夫かなぁ、このギルド。


「少なくとも、来年の今頃にはまた来ると思います。な、メリス」

「え……あ、うん!!」


それを聞いて、メリスは笑顔になる。

本当、こいつ祭り好きだな……。

違った、好きなのは屋台の食べ物か。


俺達がギルドの外に出ると、四人も一緒に出て、見送ってくれる。


「それじゃ、また。アザにもよろしく言っておいて下さい」

「えぇ……そうね、最後に、旅立つあんた達に、一つ言葉を贈ろうかしら」

「言葉?」

「そう、よく聞きなさい」


プラムさんは少し間をおいて、再び口を開いた。


「『自分の力に誇りを持て、そして、それを絶対に裏切るな』」


そこまで大きな声ではなかったけど、その言葉は、辺り一帯に響いたような気がする。


「私の師匠がよく言ってた言葉よ。

 力を持っている者でも……いえ、力を持っている者だからこそ、自分の行動に責任を持たなきゃいけない。

 あんた達がこれからどれだけ強くなったとしても、その力に溺れるようなことは、絶対にないようにね?」

『……はい!!』


プラムさんの言葉に、俺とメリスが同時に返事をする。

誇り……か……。


「それじゃ、また会いましょう」

「またね!!みんな!!」

「次会う時は、俺達ももっとすごくなってるからな!!」

「私も……もっと強くなるから、みんなも頑張ってね!」

「じゃーな!!」

「またねーー!!!」


こうして俺達はギルドのみんなと別れ、港町ヨーグルトから出発した。

目指すは……ミカン村、そしてタルト町だ!
















「この森か?」

「そう、ミカン村はこの森の中にあるんだよ」


港町ヨーグルトを出て6時間程歩き、俺達は森の前に立っていた。


「カラタチの森、その名の通り、カラタチの木が多く生えてるらしいね」

「カラタチ?そういや、柑橘系の匂いがするな……」


森を歩いていると、その匂いでいっぱいなのが分かる。

……なんかこの森の木、低いのが多くないか?


「これがカラタチの木だよ。

 葉の付け根にトゲがあるから、刺さないように気をつけてね」

「はーい……あれ、実がなってる!!」


木に小さな緑色の実がなってるのを見つけ、うれしそうにもぎ取るメリス。

……ちょっと待て、柑橘なのに実が緑って……。


「メリス、それはまだ熟してないし、そもそもカラタチは食用にならな……」

「にっがーーーーい!!!」

「話聞けよお前……」


苦々しい顔で実を吐きだすメリス。

……うん、自業自得だな。


「うー……なんで果物なのに食べられないの!?」

「そのままじゃ食べられないけど、カラタチは果実酒の材料になるんだよ」

「お酒かー……」

「メリスはまだ飲めないな」


未成年者だし……ってか、前の泥酔具合を見る限り、メリスはもう飲まない方がいいと思う。


「ミカン村はその名の通り、ミカンが特産物らしいからね。

 到着したらミカンが食べれると思うよ」

「本当!?」

「あれ、ミカンって収穫時期冬じゃなかったっけ?」

「温室もあるんだって、一年中出荷してるらしいよ。

 この国のミカンの6割はミカン村のものだとか」

「すごいなそれ」


何度か出てきたけど、このスイーツ王国はお菓子が有名だから、当然、材料になるような果物は消費量が多い。

『村』ならそんなに大きな所じゃないと思うんだけど……。


「そういえば、森の中に村があるってのも珍しいよな。

 魔物とか大丈夫なのか?」

「大丈夫だよ、この森にはほとんど魔物がいないからね」

「……え?」

「気づかなかったのかい?

 これだけ歩いてるのに、全く魔物に出くわしてないじゃないか」

「そういえば……」

「チョウとか普通の鳥とかはいるんだけどね、なぜか魔物はほとんどいないらしいんだ」


普通森とか洞窟って言ったら、多少なりとも魔物がいるものなのにな。

ま、平和なのはいいことだよな。


「……ん、この音は……」


音の聞こえた方に向かってみると、道から少しそれた所に小川を発見。


「ちょうどいいね、少し休憩しようか」

「だな」


一応途中で昼食兼休憩を入れたけど、それからまた3時間以上歩いてるからな。


「わー見て!魚、魚!」


と、メリスは小川の中に入って魚を取ろうとする。

元気だなこいつ。


「はしゃぎ過ぎて川に落ちるなよ?」

「分かってるって!」


ま、いくらなんでも大丈夫だよな、子供じゃあるまいし。

歩き通しで少し疲れたから、今のうちにゆっくり休むと……




 バッシャーーーーーーン!!




「………」


ありえない音が聞こえた気がする。


「メーリースー?」

「あ、あはははは……」


川の方へ顔を向けると、予想通り、メリスがずぶぬれになっていた。


「なんで注意した瞬間に失敗するんだ!?

 ってか、川ですべって転ぶとか何歳児だお前は!!」

「うー、ご、ごめん……」

「ほらメリス!早く体をふいて!風邪ひいちゃうよ!!」

「大丈夫だグリー、バカは風邪なんてひかない」

「ハディひどい!!」


急いでたき火を起こして、体を乾かさせる。

本当に風邪なんてひかれたら、シャレにならないからな。


「う~寒い……」

「まだ一応夏だけど……秋も近いしな」

「服着たまま水浴びなんて夏でもあんまりやらないって。

 ……そうか!メリス!今すぐ着替えるんだ!!」

「『そうか!』じゃねぇ!!下心丸見えだてめぇは!!」

「うん、分かった~……」

「分かるな!!ここで着替えるな!!せめて木の陰に隠れろ!!!」

「あ、うん」


着替えを持って木の後ろへ向かうメリス。

全く、こいつらは……!


「……ハディ、覗かないでね?」

「俺よりグリーに言え!!」


俺より1000倍グリーの方が危険だろ!!


「大丈夫だよメリス!……その時は、僕がハディくんの後頭部を撃ち抜くからね」

「銃を構えるな!!」


人を殺せそうなぐらいの殺気が辺りに蔓延する。

……あれ、ここって平和な森じゃなかったっけ?


「お待たせー!」

「おー、着替えても火には当たっとけよ、体温下がってるだろうし」

「うん!」


そうしてしばらく休み、そろそろ行こうかという所で、


「あれ、そこにいるのはもしかして、旅人さん?」


道の方から声がした。

見ると、そこには10歳ぐらいの少年がいた。


「ひょっとしてミカン村に向かってるの?」

「そうだけど……君は?」

「俺ランジ・ビレン!旅人が来るの久しぶりだよ!今から帰る所だからさ、良かったら案内しようか?」

「本当か?」

「うん!」


明るめの茶髪をゆらして微笑むランジ。

なんか、人懐っこい感じの子だな。

道すがら俺達も自己紹介をしておく。

ランジは川で釣りをして、その帰りらしい。


「へー、冒険者の人なんだ!冒険者ってすごいんだよね?」

「ま、一応国家資格必要だしな」

「俺はあんまり興味ないけど、村には、将来冒険者目指す!って奴も結構いるよ」

「やっぱり男の子?」

「男の方が多いけど、中には女もいるよ。ウチの姉貴とかさ!」

「ランジくんのお姉さん?」

「そ!でも俺より弱いんだ!後10年は修業積まないと無理だって!」


子供特有のいたずらな顔で笑うランジ。

でも、今の言い方からして……。


「冒険者になるのが無理、ではないんだ?」

「え、そ、そりゃがんばってるし……そうだ!ハディさん達冒険者なら、ちょっと修業見てやってよ!」

「いいけど……俺達明日の朝には出発するぞ?」

「あれ、そんな早く行っちゃうの?」

「あぁ、タルト町で昇格審査受けるんだ」

「ふーん……?よく分かんないけど」


子供にはちょっと分からないか?


「そういや、この森って魔物いないんだって?

 村も平和で良い村だって聞いたよ」


平和だからこそ、こんな子供が一人で来れるんだろうな。

良いことだ。


「……ま、ね」


と思っていたのに、返ってきたのは歯切れの悪い言葉だった。


「ランジ?」

「確かに、ここ半年ぐらいは、普通に平和だよ」

「……半年ぐらいは?」

「そ……危険なのは、魔物だけじゃないってこと」


何か含みのある言い方だな……。

メリスは俺と同じでよく分からないって顔をしてたけど、グリーは何か知ってるのか、真剣な面持ちで聞いていた。


「さて、と!見えてきたよ!」


正面を見ると、開けた場所が見えた。

そして、たくさんの家や、人の姿も。


「ミカン村へようこそ!旅人さん達!」


森に囲まれた小さな村。

いかにも田舎って感じだけど、なんていうか、故郷を思い出すな……。


「もう夕暮れだし、行き先は宿屋でいいよね?案内するよ」

「いや、そこまでしてもらうのは……」

「いいって!俺も今から行く所だからさ!」

「そ、そうか?ありがとな」


お礼を言って、ランジについて行く。

田舎の風景を眺めつつ数分歩くと、


「ほら、あそこだよ!」


ランジが指差したのは、2階建ての小さな宿屋。

小さいっていっても、他の家に比べたらだいぶ大きいけど。

その時、中から30代ぐらいの女の人が出てきた。


「あら、ランジ。お帰りなさい、遅かったじゃない」

「ただいま!お母さん」


女性に走り寄るランジ。

お母さん……ってことは。


「あら、その人達は?」

「森で会った旅人さん達だよ。

 ウチに泊まるだろうから、つれて来たんだ!」


やっぱり、宿屋の子だったのか。


「そうなの、偉いわね」

「へへっ!」


女性にほめられて、得意げな笑顔を見せるランジ。


「こんにちは、今日一晩お世話になります」

「なりますっ!」

「はい、こんにちは。旅人様方、ようこそミカン村へ」

「ようこそ!」


宿屋の親子は、二人揃って、笑顔で俺達を迎えてくれた。

なんか、田舎ならではの暖かみのある村だな。

明日の朝出てくのは、少しもったいない気もするけど……ま、しょうがないよな。








サブタイトル解説

行雲流水(こううんりゅうすい)

空を行く雲と流れる水に例えて、

物事に執着せず、淡々として自然の成り行きに任せて行動すること。

冒険者、特に旅をしている人は、大体こんな生き方をしてます。


では次回予告です!


「グリーだよ。

 ミカン村で一泊した僕達。

 翌朝にはすぐに村を出て、タルト町へ出発!

 ……する、はずだったんだけどね。


 次回、冒険者ライフ!第四章『3年前の物語』、

 第31話『半年前の事件』。

 魔物を人の敵だとするのなら、

 人間は人の何になるんだろうね?」



というわけで!無事第三章が終了しましたが、

次週は幕間3を挟み、

その次の週から第四章を始めようと思います!



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