第30話 行雲流水(こううんりゅうすい)
「ええええぇぇぇぇ!!?」
「うるさいわコウル」
俺達の話に驚きの声を上げるコウルさんと、冷静に受け止めるプラムさん。
翌日、俺達はまたギルドに赴いていた。
その理由は、
「ほ、本当に、もう行っちゃうの……?」
「……はい」
ギルドのみんなに、別れを言うため。
今日俺達三人は、この町を出ることにしたんだ。
「で、でも、どうして?まだこの町に来てそんなに経ってないでしょ?
そんなに急いで出なくても……」
コウルさんの言う通り、俺達も、本当はもう少しここにいるつもりだったんだけど……。
「昇格審査ね?」
「はい」
流石プラムさん、分かってたみたいだ。
「昇格審査?あれ、この町ではまだしばらくないはずじゃ……」
「この町じゃないわ。タルト町のギルドであるのよ、5日後にね」
「え、タルト町って……」
「徒歩なら2日近くかかるわ。そして審査を受けるには、3日前、つまり明後日までにギルドに直接行って、申請を出さなきゃいけない。
受けたいなら今日にも出た方がいいでしょうね、明日じゃ間に合うか分からないし」
そう、昨日グリーもまさに、プラムさんと同じことを言ったんだ。
明日出ても間に合わないことはないけど、1日ぐらい余裕を持っておいた方が良い、って。
「え?2日で着くなら、明日でも十分……」
「到着は明後日の夜になるわ。ギルドが閉まるまでに間に合えばいいわね」
コウルさんに説明するプラムさん。
申請にも時間かかるだろうからな……相当ギリギリになるみたいだ。
「そもそも、審査を受けたいなら、もっと早くその町にいるべきよ。
そんなギリギリ入り込む方がおかしいわ」
「いや昨日知ったんですよ、審査があるの。
それに、少し前までは審査なんて受けるつもりありませんでしたし」
俺もグリーも、今の所D級で満足してたし、しばらくは審査を受けるつもりなんてなかった。
……でも、
「でも、『紫黒の魔女』が、確実に受かるって言ってくれましたからね」
ブラッディヴァインを倒した俺達を、プラムさんはそう評価してくれた。
そこに審査があるって話を聞いたんだ、これはもう行くしかないだろってことで、急きょこの町を出ることになったんだ。
「……ただの社交辞令、とは思わなかったの?」
「プラムさん、社交辞令なんて言うんですか?」
「どういう意味かしら?」
嫌味っぽいグリーの言葉に、プラムさんはわざとらしくまゆをひそめる。
たぶん自覚はあるだろうなぁ、俺達初見で『帰れ』って言われたし。
「ま、正解。あれは社交辞令なんかじゃない、れっきとした事実よ。
だからって天狗にならないようにね、私はあんた達が戦っている所を直接見てないし、そもそも、審査するのは私じゃないんだから」
と、プラムさんに釘を刺される。
それはもちろん分かってるけど、
「大丈夫です、受かってみせます!」
「私もがんばります!!」
メリスがプラムさんに向かってガッツポーズを作る。
そう、今回はメリスも試験を受けることにしたんだ。
「あら、あんたも受けるの?」
「はい!がんばります!」
「分かってると思うけど、いくら実力があっても冒険者の資格はE級からよ?
今まであんたが『仲間』として依頼をこなしていてもね」
「はい!!がんばります!!」
「そ、そう……」
おぉ、あのプラムさんがメリスの迫力に押されてる……。
と、今プラムさんが言った通り、
メリスはE級からのスタートになる。
ちなみに、『仲間』としてこなした依頼もしっかりカウントされるから、このまた次の機会があれば、メリスはすぐにD級の審査を受けられる。
でも、試験と審査を同じ日に受けるのは無理だから、しばらくはメリスはE級ってことになる。
にも関わらず、メリスが今回試験を受けることにした理由、それは……、
「でも、今までは持ってなかったんでしょ?どうして急に?」
「だって!冒険者なら冒険者の資格欲しいじゃないですか!!」
……うん、単純明快だ。
「……逆に、何で今まで取らなかったの?」
「あ、それは……」
それは俺も今まで気になってたことだ。
だから、昨日の夜に聞いた。
メリスが今まで資格を取らなかったのは……、
「私、イアさんに憧れてるんです」
「イア……って、『八つの魔塔』の?」
「はい!!」
『星の賢者』の異名で知られ、魔法使いの中でも最強と呼ばれる使い手の一人、イア・ランディアさん。
メリスがずっと憧れてた人だ。
「イアさんが、冒険者の資格を持ってなかったから……」
「当たり前でしょ、あの人は冒険者じゃないんだから……って、それが理由?」
「……はい」
少し恥ずかしそうに言うメリス。
「ふーん……ま、それはただのマネ事ね、何の意味もないわ」
ばっさり切り捨てるプラムさん。
うん、この人はたぶんこう言うと思った。
「はい、私もそう思ったんです」
「あら、何かきっかけでもあったの?」
「きっかけっていうか……。少し前にイアさんに会った時に」
「え、会ったの?……あ、ごめんなさい、続けて」
「なんていうか……遠過ぎるなぁって」
メリスはそう言って、少し寂しそうに笑う。
俺はメリスも十分すごいと思ってるけど、ランディアさんはちょっと……格が違う。
「諦めるの?」
「い、いえ!!諦めません!!いつかは絶対イアさんに追いつきます!!」
言い切る辺り大物だよなこいつ……。
「でも、目標としてはちょっと遠過ぎるから、とりあえず、もう少し近い目標が欲しいなって」
「なるほど、それが冒険者の資格なのね?」
「うぅん、プラムさんです!!」
「……私?」
「はい!」
にっこりと笑顔を向けるメリス、プラムさんは予想外だったのか、顔をきょとんとさせていた。
「プラムさんはB級だって聞いたので、私もひとまずそれを目指します!!」
ビシッと言い切るメリス。
それに『大魔導師』でもあるからな、目標としては良いと思う。
「へぇ、そう……」
それを聞いて、プラムさんはいたずら笑みを浮かべる。
「勘違いしてるみたいね」
「え?」
「確かに私が持ってるのはB級よ。
でも、それはギルド長になってからは冒険者を休業してるから、そうじゃなかったら、たぶん今頃A級になってるわ」
「え、ええぇ!?」
「あら、私は『大魔導師』よ?当然と言えば当然でしょ?」
驚くメリスにあっさり言ってのけるプラムさん。
そっか、A級冒険者より大魔導師の方が人数少ないもんな……。
いや待て、でもA級冒険者全員が魔法使いってわけじゃないし、でも、大魔導師全員が冒険者ってわけでもないもんな……。
なんか、わけわからなくなってきた……。
「とりあえず、『大魔導師』で冒険者をやってるような人は、大体A級だろうね」
グリーは分かっていたのか、俺と同じく混乱していたメリスに補足する。
「つまり、私に追いつきたいならA級を目指せってことよ」
「な、なるほどっ!!」
……本当に分かったのか?こいつ。
「分かりました!!A級を目指します!!」
「えぇ、もちろん『大魔導師』も目指すのよ?
『星の賢者』に追いつきたいならね」
「はい!!」
やる気満々、といった顔をプラムさんに向けるメリス。
こいつのこういう、迷いのないところは、俺も見習わないとな。
「さて、話が盛大にそれたけど、あんた達、そろそろ行った方がいいんじゃない?」
「ってギルド長!?自分だけしっかり話しといてそれはひどくないですか!?」
「そうっスよ!!俺達まだ全然話してないっス!」
「あら、いたの?コウル」
「俺だけ!?」
ギナトとコウルさんの抗議に、まるでコウルさんの存在を今知ったかのように返すプラムさん。
……さっきコウルさんにツッコんでなかったっけ?
「うぅ、みんな、本当に行っちゃうんだね……」
「……はい、お世話になりま」
「せっかくこれからも、どんどん働いてもらおうと思ってたのに……!!」
「それは口に出さなくていいですよね!?」
感動の別れが台無しだ!!
「そうね、それは私も残念だわ」
プラムさん、あんたもか!!
「ハディ!俺達もこれからがんばるから!お前らもがんばれよ!!」
「えっと、みなさ……」
「ファト」
「あ、うん……。みんな、また、会おうね」
しっかり別れを言ってくれるギナトとファト。
「おう!お前らもな!」
「ファトちゃん!またね!!」
「ちゃんと困った時は助け合うんだよ?」
「分かってるって!」
グリーの言葉に笑顔で返すギナト。
……まぁ、ファトの気持ちには気づいてないんだろうけど。
「タルト町に行くなら、まずはミカン村で一泊するといいでしょうね。
野宿が好きならそっちでもいいけど」
「ミカン村?」
「ここから徒歩8時間ぐらいの場所にある村よ。
少しタルト町までの道から外れるけど、そこからは徒歩10時間ぐらいだから、明日の朝に出れば、夜には着くわ」
「それなら申請には十分間に合いますね」
野宿も大変だし、そっちの方がいいか。
「少し前に行ったことあるけど、平和な良い村よ。
2日間歩き通しになるから、そこでしっかり休むことね」
「はい!」
「それじゃ、名残惜しいけど、そろそろ行こうか」
「そう、ウチは仕事ならいつでもあるわ。
仕事が欲しかったらまた来なさい」
「そうそう!!俺の代わりにいっぱい仕事を……」
「あんたは黙ってなさい」
「ひどい!!」
……大丈夫かなぁ、このギルド。
「少なくとも、来年の今頃にはまた来ると思います。な、メリス」
「え……あ、うん!!」
それを聞いて、メリスは笑顔になる。
本当、こいつ祭り好きだな……。
違った、好きなのは屋台の食べ物か。
俺達がギルドの外に出ると、四人も一緒に出て、見送ってくれる。
「それじゃ、また。アザにもよろしく言っておいて下さい」
「えぇ……そうね、最後に、旅立つあんた達に、一つ言葉を贈ろうかしら」
「言葉?」
「そう、よく聞きなさい」
プラムさんは少し間をおいて、再び口を開いた。
「『自分の力に誇りを持て、そして、それを絶対に裏切るな』」
そこまで大きな声ではなかったけど、その言葉は、辺り一帯に響いたような気がする。
「私の師匠がよく言ってた言葉よ。
力を持っている者でも……いえ、力を持っている者だからこそ、自分の行動に責任を持たなきゃいけない。
あんた達がこれからどれだけ強くなったとしても、その力に溺れるようなことは、絶対にないようにね?」
『……はい!!』
プラムさんの言葉に、俺とメリスが同時に返事をする。
誇り……か……。
「それじゃ、また会いましょう」
「またね!!みんな!!」
「次会う時は、俺達ももっとすごくなってるからな!!」
「私も……もっと強くなるから、みんなも頑張ってね!」
「じゃーな!!」
「またねーー!!!」
こうして俺達はギルドのみんなと別れ、港町ヨーグルトから出発した。
目指すは……ミカン村、そしてタルト町だ!
「この森か?」
「そう、ミカン村はこの森の中にあるんだよ」
港町ヨーグルトを出て6時間程歩き、俺達は森の前に立っていた。
「カラタチの森、その名の通り、カラタチの木が多く生えてるらしいね」
「カラタチ?そういや、柑橘系の匂いがするな……」
森を歩いていると、その匂いでいっぱいなのが分かる。
……なんかこの森の木、低いのが多くないか?
「これがカラタチの木だよ。
葉の付け根にトゲがあるから、刺さないように気をつけてね」
「はーい……あれ、実がなってる!!」
木に小さな緑色の実がなってるのを見つけ、うれしそうにもぎ取るメリス。
……ちょっと待て、柑橘なのに実が緑って……。
「メリス、それはまだ熟してないし、そもそもカラタチは食用にならな……」
「にっがーーーーい!!!」
「話聞けよお前……」
苦々しい顔で実を吐きだすメリス。
……うん、自業自得だな。
「うー……なんで果物なのに食べられないの!?」
「そのままじゃ食べられないけど、カラタチは果実酒の材料になるんだよ」
「お酒かー……」
「メリスはまだ飲めないな」
未成年者だし……ってか、前の泥酔具合を見る限り、メリスはもう飲まない方がいいと思う。
「ミカン村はその名の通り、ミカンが特産物らしいからね。
到着したらミカンが食べれると思うよ」
「本当!?」
「あれ、ミカンって収穫時期冬じゃなかったっけ?」
「温室もあるんだって、一年中出荷してるらしいよ。
この国のミカンの6割はミカン村のものだとか」
「すごいなそれ」
何度か出てきたけど、このスイーツ王国はお菓子が有名だから、当然、材料になるような果物は消費量が多い。
『村』ならそんなに大きな所じゃないと思うんだけど……。
「そういえば、森の中に村があるってのも珍しいよな。
魔物とか大丈夫なのか?」
「大丈夫だよ、この森にはほとんど魔物がいないからね」
「……え?」
「気づかなかったのかい?
これだけ歩いてるのに、全く魔物に出くわしてないじゃないか」
「そういえば……」
「チョウとか普通の鳥とかはいるんだけどね、なぜか魔物はほとんどいないらしいんだ」
普通森とか洞窟って言ったら、多少なりとも魔物がいるものなのにな。
ま、平和なのはいいことだよな。
「……ん、この音は……」
音の聞こえた方に向かってみると、道から少しそれた所に小川を発見。
「ちょうどいいね、少し休憩しようか」
「だな」
一応途中で昼食兼休憩を入れたけど、それからまた3時間以上歩いてるからな。
「わー見て!魚、魚!」
と、メリスは小川の中に入って魚を取ろうとする。
元気だなこいつ。
「はしゃぎ過ぎて川に落ちるなよ?」
「分かってるって!」
ま、いくらなんでも大丈夫だよな、子供じゃあるまいし。
歩き通しで少し疲れたから、今のうちにゆっくり休むと……
バッシャーーーーーーン!!
「………」
ありえない音が聞こえた気がする。
「メーリースー?」
「あ、あはははは……」
川の方へ顔を向けると、予想通り、メリスがずぶぬれになっていた。
「なんで注意した瞬間に失敗するんだ!?
ってか、川ですべって転ぶとか何歳児だお前は!!」
「うー、ご、ごめん……」
「ほらメリス!早く体をふいて!風邪ひいちゃうよ!!」
「大丈夫だグリー、バカは風邪なんてひかない」
「ハディひどい!!」
急いでたき火を起こして、体を乾かさせる。
本当に風邪なんてひかれたら、シャレにならないからな。
「う~寒い……」
「まだ一応夏だけど……秋も近いしな」
「服着たまま水浴びなんて夏でもあんまりやらないって。
……そうか!メリス!今すぐ着替えるんだ!!」
「『そうか!』じゃねぇ!!下心丸見えだてめぇは!!」
「うん、分かった~……」
「分かるな!!ここで着替えるな!!せめて木の陰に隠れろ!!!」
「あ、うん」
着替えを持って木の後ろへ向かうメリス。
全く、こいつらは……!
「……ハディ、覗かないでね?」
「俺よりグリーに言え!!」
俺より1000倍グリーの方が危険だろ!!
「大丈夫だよメリス!……その時は、僕がハディくんの後頭部を撃ち抜くからね」
「銃を構えるな!!」
人を殺せそうなぐらいの殺気が辺りに蔓延する。
……あれ、ここって平和な森じゃなかったっけ?
「お待たせー!」
「おー、着替えても火には当たっとけよ、体温下がってるだろうし」
「うん!」
そうしてしばらく休み、そろそろ行こうかという所で、
「あれ、そこにいるのはもしかして、旅人さん?」
道の方から声がした。
見ると、そこには10歳ぐらいの少年がいた。
「ひょっとしてミカン村に向かってるの?」
「そうだけど……君は?」
「俺ランジ・ビレン!旅人が来るの久しぶりだよ!今から帰る所だからさ、良かったら案内しようか?」
「本当か?」
「うん!」
明るめの茶髪をゆらして微笑むランジ。
なんか、人懐っこい感じの子だな。
道すがら俺達も自己紹介をしておく。
ランジは川で釣りをして、その帰りらしい。
「へー、冒険者の人なんだ!冒険者ってすごいんだよね?」
「ま、一応国家資格必要だしな」
「俺はあんまり興味ないけど、村には、将来冒険者目指す!って奴も結構いるよ」
「やっぱり男の子?」
「男の方が多いけど、中には女もいるよ。ウチの姉貴とかさ!」
「ランジくんのお姉さん?」
「そ!でも俺より弱いんだ!後10年は修業積まないと無理だって!」
子供特有のいたずらな顔で笑うランジ。
でも、今の言い方からして……。
「冒険者になるのが無理、ではないんだ?」
「え、そ、そりゃがんばってるし……そうだ!ハディさん達冒険者なら、ちょっと修業見てやってよ!」
「いいけど……俺達明日の朝には出発するぞ?」
「あれ、そんな早く行っちゃうの?」
「あぁ、タルト町で昇格審査受けるんだ」
「ふーん……?よく分かんないけど」
子供にはちょっと分からないか?
「そういや、この森って魔物いないんだって?
村も平和で良い村だって聞いたよ」
平和だからこそ、こんな子供が一人で来れるんだろうな。
良いことだ。
「……ま、ね」
と思っていたのに、返ってきたのは歯切れの悪い言葉だった。
「ランジ?」
「確かに、ここ半年ぐらいは、普通に平和だよ」
「……半年ぐらいは?」
「そ……危険なのは、魔物だけじゃないってこと」
何か含みのある言い方だな……。
メリスは俺と同じでよく分からないって顔をしてたけど、グリーは何か知ってるのか、真剣な面持ちで聞いていた。
「さて、と!見えてきたよ!」
正面を見ると、開けた場所が見えた。
そして、たくさんの家や、人の姿も。
「ミカン村へようこそ!旅人さん達!」
森に囲まれた小さな村。
いかにも田舎って感じだけど、なんていうか、故郷を思い出すな……。
「もう夕暮れだし、行き先は宿屋でいいよね?案内するよ」
「いや、そこまでしてもらうのは……」
「いいって!俺も今から行く所だからさ!」
「そ、そうか?ありがとな」
お礼を言って、ランジについて行く。
田舎の風景を眺めつつ数分歩くと、
「ほら、あそこだよ!」
ランジが指差したのは、2階建ての小さな宿屋。
小さいっていっても、他の家に比べたらだいぶ大きいけど。
その時、中から30代ぐらいの女の人が出てきた。
「あら、ランジ。お帰りなさい、遅かったじゃない」
「ただいま!お母さん」
女性に走り寄るランジ。
お母さん……ってことは。
「あら、その人達は?」
「森で会った旅人さん達だよ。
ウチに泊まるだろうから、つれて来たんだ!」
やっぱり、宿屋の子だったのか。
「そうなの、偉いわね」
「へへっ!」
女性にほめられて、得意げな笑顔を見せるランジ。
「こんにちは、今日一晩お世話になります」
「なりますっ!」
「はい、こんにちは。旅人様方、ようこそミカン村へ」
「ようこそ!」
宿屋の親子は、二人揃って、笑顔で俺達を迎えてくれた。
なんか、田舎ならではの暖かみのある村だな。
明日の朝出てくのは、少しもったいない気もするけど……ま、しょうがないよな。
サブタイトル解説
行雲流水
空を行く雲と流れる水に例えて、
物事に執着せず、淡々として自然の成り行きに任せて行動すること。
冒険者、特に旅をしている人は、大体こんな生き方をしてます。
では次回予告です!
「グリーだよ。
ミカン村で一泊した僕達。
翌朝にはすぐに村を出て、タルト町へ出発!
……する、はずだったんだけどね。
次回、冒険者ライフ!第四章『3年前の物語』、
第31話『半年前の事件』。
魔物を人の敵だとするのなら、
人間は人の何になるんだろうね?」
というわけで!無事第三章が終了しましたが、
次週は幕間3を挟み、
その次の週から第四章を始めようと思います!