PV1万突破記念番外編 季節外れのバレンタイン
PVが1万を超えました!!
ということで、
短いですが記念小説なんてものを書いてみました!
~サイドアウト~
「バレンタインチョコを作ろう!!」
「………え?」
「はぁ?」
突然妙なことを言い出したメリスに、イアとレイラは首を傾げる。
「あのメリスさん、バレンタインは2月ですよ……?」
2月、つまり冬だ。
しかし、今の季節は夏、もうすぐ秋である。
「だって!せっかくチョコレート町に来てるんですから!!バレンタインやりたいじゃないですか!!」
「いや、意味が分からねーけど」
レイラは呆れた顔をする。
「よーするに、手作りチョコを男共にプレゼントしてーのか?」
「そう!!」
「……バレンタイン関係ねぇじゃん」
「チョコをプレゼントといえばバレンタインでしょ?」
「時期外れにも程があるだろ……」
要するに、メリスがしたいのはバレンタインの名を借りた手作りチョコのプレゼントだ。
それにイアとレイラを巻き込んだのである。
「まーお前らには世話になってるし、俺は別にいいけどよ」
「えっと、私は……」
「イアさんにも!!気になる異性の一人ぐらいはいますよね!?」
ズイッとメリスはイアに顔を近づける。
「………はい、まぁ……」
「わー!!誰!?誰ですか!?」
「聞くなよ……」
レイラはそう言って、興奮状態のメリスをイアから引き離す。
「そんで?まぁ材料はお菓子屋とかでいくらでも売ってるだろーけど、場所はどうすんだよ?」
「………」
レイラの質問にメリスは口を閉ざす。
考えていなかったようだ。
「あの、場所ならなんとかなりますよ」
「本当ですか!?」
顔を輝かせるメリスに、イアはにっこりとほほ笑んだ。
「それじゃ、自由に使って下さい」
「はい、ありがとうございます。マウロさん」
「いえいえ!こんな汚い所で良ければいくらでも」
マウロこと酒場のおやじはそう言うと、三人を残して部屋から出ていった。
「なるほど、酒場の厨房ね……」
「でも、いいんですか?借りちゃって」
「はい、昨日の宴で冒険者の方達はみんな寝ているみたいで、夕方までなら自由に使っていいそうです」
イアは材料をテーブルに並べながら言う。
チョコレート、生クリーム、ココアパウダー。
そう、今回作るのは『トリュフ』だ。
「トリュフって、チョコにココアパウダーまぶしたやつだよな?」
「うん!簡単だし、おいしいし!」
「そりゃ材料がうまいからな。失敗さえしなきゃうまいだろ」
「そうじゃなくて!愛情!!大切なのは愛情だよ!!」
メリスは話しながら、チョコレートを細かく刻んでいく。
「何やってんだ?」
「何って……チョコレートを刻んでるんだよ?」
「湯煎にかける前に刻まないと、溶けるのに時間がかかりますからね」
「……直接火で溶かせばいいんじゃねーの?」
とんでもないことを言い出すレイラに、二人は仰天する。
「レ、レイラ!?何言ってるの!?」
「え、何かまずいのか?」
「まずいって!!絶対焦げるよ!!」
「……マジで?」
驚くレイラ。
どうやら本気で言っていたようだ。
「……レイラひょっとして、チョコ作ったこと……ない?」
「………」
図星だったのか、レイラは明後日の方を向く。
「だ、大丈夫ですよ!
今回作るのは簡単な物ですし、初めてでも上手くできると思います!」
「お、おう!!」
少し不安げながらも返事をするレイラ。
「それじゃ、溶かしたチョコに生クリームを混ぜるよ!
レイラ、ゴー!!」
「おう!」
ボチャンッ!!
レイラは溶けたチョコに生クリームを豪快に突っ込んだ。
全部、一気に。
「ストップレイラ!!!」
「え?」
「ごめん何でもない!!早くかき混ぜて!!」
「お、おう!!」
グルグルグルッ!!!
「レイラっ!!もう少しゆっくり!!こぼれてるこぼれてる!!」
「あ、悪ぃ!!」
勢いを落とし、ちょうど良い速さでかき混ぜる。
メリスはその間に、こぼれたチョコを指ですくってなめていた。
「おいしー!!」
「いや、こぼれたのなめんなよ!!」
「まぁ、テーブルは拭いたので大丈夫だとは思いますが……」
「そういう問題じゃねーだろ……」
呆れながらもレイラは仕事をこなす。
「おっし!こんぐらいでいいだろ」
「それじゃ、冷水で冷やすよ。
……水に直接ぶちこむんじゃないからね!?」
「いや、それは流石に分かるって」
チョコを冷やし、少し固まったら手でまるめる。
チョコの量がけっこう多いので、この作業は三人で行った。
「後はココアパウダーをまぶして……できあがり!!」
こうして、途中少し問題はあったが、なんとかトリュフが完成したのだった。
「簡単なわりにはうまそうなのができるな」
「……レイラ?」
「悪ぃ、俺足手まといだったな……」
苦笑いを浮かべるレイラ。
「……まぁ少し問題はあったけど、成功したから別に良いと思うよ!」
「はい!三人でがんばって作ったのですから!」
「……そうだな、サンキュー!」
二人の言葉を受けて、レイラはニッと笑うのだった。
「それでは、今日はありがとうございました!」
「こちらこそ!イアさんがいなかったら、場所がなくて作れませんでした!」
「材料とかもそろえてくれたし、ありがとな!」
できあがったトリュフは三等分し、三人で分けた。
……まぁ、メリスとレイラは一緒に渡すのだが。
「……イアさん、誰に渡すのかな?」
「さーな、それよりお前はいいのかよ?」
「え?」
「ハディに」
「ふ、二人!!渡すのは二人に、だからね!?」
からかい口調のレイラが言い切らないうちに、メリスは真っ赤になって否定する。
二人は袋につめたトリュフを持って、ハディとグリーのいる部屋へと向かうのだった……。
カッとなってやりました。後悔はしていません!
ということで、PV1万突破、および第二章終了記念。
さらにいうと、
少し遅れましたがバレンタイン小説でもあります。
時期的には第18話の途中です。
……実際にはこんなことしてる時間あるか微妙ですが、
まぁそこは番外編ということで……。