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資産家独居老人の道楽〜次は誰?〜

資産家独居老人の道楽9

掲載日:2026/10/19

最近は本当に暇なのじゃ。

一人暮らしなのに合宿所のようになっておる。 

ワシは縁側で茶を飲みながら野沢菜をつまんでいた。

美味いのう。


「剛田さん?何ぼーっとしてるの?」


「アキか。だいぶお腹も大きくなって来たのう」


「そう?知ってると思うけど胸も大きくなってきたのよ」


「それは確かめねばならぬな。寝室へ行くのじゃ!」


ワシはアキの手を取り寝室へと向う。

アキは本当に美しい娘じゃ。


「剛田さん!慌てないで!」


ワシはアキの生まれたままの身体を見て真から興奮したのじゃ!


「あ、剛田さん!」


私はこんなに興奮した剛田さんを初めて見たのかもしれないわ。


すっごく激しい。


「剛田さん!イキそう!」


「ワシもイキそうじゃ!」


「イクッ!」


「逝くのじゃあ!うっ!ううううう!」


剛田さんはバタリと私の身体の上に倒れてきたの。


「え!?剛田さん?」


私は剛田さんの身体を叩いてみる。


「…息をしてないわ!メディーック!」


その瞬間寝室の扉が開いてストレッチャーを抱えた医師と看護スタッフが入って来たの!私は思わず叫んでしまったの!


「早すぎるんじゃい!ボケーッ!!」


AEDをつけられ蘇生作業をする医師とスタッフだけど、剛田さんはピクリともしないの。


「集中治療室へ運びなさい」


黒澤惹句さんが来て落ち着いてそう指示を出したの。


ストレッチャーで大至急運ばれる剛田さん!


「あなた!しっかりして!!」


あ、私…剛田さんのこと初めて「あなた」って呼んだかも!


そして…剛田さんは集中治療室へと運ばれて行ったわ。


それが生身の剛田さんと会う最後とも知らずに…。



----集中治療室


「剛田さんをCLC溶液の中へ!そして人工心肺を行う」


黒澤惹句が淡々と指示を出す。


「惹句先生、例のものは完成しています。プロトタイプですが…」


独田中松がニヤリと笑った…。


CLC溶液に漬け込まれた剛田甚左衛門の隣に半身の人形のような物が沈められる。


「では、これより剛田甚左衛門氏の脳と眼球と脊椎の髄の義体への移植を行う」


それは手術のようであり工事のようにも見えた。


不要な臓器は取り出され、剛田の開きになったような剛田甚左衛門の頭部は電動丸ノコで脊椎はルータで切られていた。


CLC溶液の中で義体へ慎重に移される脳と眼球と髄は、義体の中へ収まって行く。


そして身体の前面半分が慎重に取り付けられ始めた。


「人工血液を注入」


「心機能を担うジェネレーターを接続」


「極小化ブラックホールコアを接続」


黒澤惹句と独田中松が手際よく手術?人体改造を続ける。


「ここから神経接続を開始する。モニター班以上を見逃すな」


「はい!神経接続30%…。45%を超えました!」


「そのまま続けろ!」


「75!90!シンクロ率100%です!」


その場にいた者は興奮極まり無かった。


しかし剛田甚左衛門の意識は全く戻らなかったのである。


アキが会わせろと何度も来ていたが面会謝絶は続いた。


それから3ヶ月後の同月、同日、同時刻にアキは第一子を無事に出産し、剛田甚左衛門は意識を覚醒した。


「さあ、そーっと起きて下さい。肺の中のCLC溶液をゆっくり吐き出して下さい」


「オエーー!ゲホゲホ!」


「ご自身のお名前は言えますか?」


「何を言うておる?剛田甚左衛門に決まっておろうが?」


「脳波!各接続に異常がないか確認を急いでくれ!」


黒澤惹句は的確に指示を出し続ける。


「剛田さん立てますか?」


「ちょっと待っておれ…。身体が軽いのう」


「シンクロ率100%を維持しています!脳波正常です!」


「独田さん、ここまでは成功と言ってよいでしょう」


「そうですな!ドクター黒澤」


それから1週間剛田甚左衛門は身体的な機能のチェックを受けた。


そしてマサトとという1人の男が呼ばれて来た。


「それに着替えて下さい」


「わかりました」


それはモーションキャプチャで良く使われる全身タイツにセンサーが取り付けられた物であった。


「そこのサンドバッグにローキックをお願いします」


「はい」


バチーン!!!


「これは凄いのう!」


剛田甚左衛門はそのマサトの動きに感心しきりであった。


様々な攻撃要素のモーションを集約しプログラムに変換する、独田中松。


「剛田さん、インストールしますよ」


「なんじゃ?これは!イメージと感覚が流れ込んで来るのう」


「では、剛田さん。あちらのサンドバッグにローキックを打ち込んで下さい」


「うむ…。こうかの?」


バチーン!ザーーーッ!!


サンドバッグが千切れて、中の砂が床にザラザラと落ちて来る。


「ちょっと待ってください!なんですか?これ?」


マサトは目をキラキラさせて声を出す。


「これは口外無用ですからね」


独田中松がマサトに釘を刺す。


「でしょうね!」


こうして、剛田甚左衛門は晴れて現世へと戻ることが許されたのであった。


そして、その日にアキは産婦人科から剛田邸に男の子を抱えて帰って来た。


「アキか!かわいいのう!良く頑張ったのじゃ!」


「剛田さんこそ!生きてて良かったわ!!」


そして、剛田甚左衛門はその息子に甚右衛門と名付けた。


数週間経って。


久しぶりにアキと共に寝室へと向う剛田。


アキの絶叫が家中に響いた!!


「ちょっとー!あれが無いじゃないのー!!」


剛田甚左衛門邸には平和な夜が再び訪れるのであった。


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