表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絵画なクリスマスとカオスなテーマパーク  作者: むーん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/61

第7話 サンタクロース

——告白、告白……


 僕は告白のアドバイスを得るために、先輩の元を訪れていた。この場合の先輩とは、恋愛においての先輩のことである。普段そんなに立ち入らないダンサーさんたちの休憩室の扉の前に立った。


ガチャ


「ほうほーう。良い子にはプレゼントをあげよう」


「サンタさーん、ありがとにゃー!」


「ほうほーう!」


 休憩室ではハナさんとゾンビさんがいつものようにふざけ合っていた。この2人はゾンビナイトの時からこんな感じだ。違うところがあるとすれば、ゾンビさんが今はサンタさんになっていることくらいか。


「ほうほーう。タテノくんじゃないか、メリークリスマース!」


「あ、お疲れ様です」


「お疲れじゃないほーう! クリスマスの挨拶はメリークリスマースだほーう!」


「あ……。メリークリスマス……」


「ほうほーう。良い子にはプレゼントだほーう!」


——やっぱり変な人だ……


 ゾンビさんはゾンビナイト期間中、ゾンビの格好をした瞬間からゾンビになりきるということで有名なダンサーさんだ。僕も時折廊下やバックヤードでゾンビとして歩くゾンビさんを見かけていた。今はクリスマスのショー中で、サンタダンサーと化しているためサンタになっているのだ。今はこの人のことをゾンビさんと呼ぶべきなのかサンタさんと呼ぶべきなのか。


「あれー? タテノっち、珍しいねー?」


「あ、はい。実は……」


「ほうほーう。プレゼントだほーう」


「あ、ありがとうございます……」


 サンタさん(ゾンビさん)が僕にキャンディを渡してくれる。この人はクリスマス期間中ずっとこれをする気なのか? 奇人すぎる……。仮装をしてない時はあんなに紳士的な人なのに……。


「タテノっちもゾンビさんにキャンディ貰いに来たのー?」


 ゾンビさんのことはサンタ期間でもゾンビさんと呼んで良いことを知る。ここ以外では何の役にも立たない知識だ。サンタの格好して、サンタの言動をしている人をゾンビ呼びして、もはや何が何だかわからなくなったりしないのだろうか。


「あ、いや実は……」


 ゾンビさんに呆気に取られて目的を見失いそうになっていた。危ない。僕はハナさんに用事があって、ここに訪ねてきたのだ。


「実はハナさんに用事があって……」


「え、私に?!」


「はい……!」


「ほうほーう」


「いや〜。モテる女はツラいですなぁ〜! もしかしてデートのお誘いかい?」


「いや、そんな……! カッピーさんという人がいるのにデートなんて……」


「ん……?」


「え?」


「ほ、ほうほーう……」


 僕がカッピーさんという言葉を出した途端、場の空気がピリッとしたのを感じた。あれ、僕何かまずいことを言ったのだろうか。


「何でカッピーが出てくるのかにゃー?」


「え、だって付き合ってるんですよね?」


「んー? 何でそんな話に……」


「え、だってキスしたって話が……」


「ほう、ほーう……」


——ち、違うのか?!


 僕はあかねちゃんから2人がキスしたと言う話を聞いて、てっきり付き合っているものだと……。どうやって告白したのか、どっちから告白したのか、デートは何回くらいしたのか等聞きたくて来たんだけど……。


ガシッ


「ちょーっと詳しく話してもらおうか。話の出所はどこだ? ビッグボスか?」


 ハナさんは僕に近づいて肩を組んでくる。それは友好の証ではなく、逃がさないぞと言う意思の表れのように思えた。


「いや、あかねちゃんから話を聞いて……」


「ふむふむ。にゃーるほど」


 考えるそぶりを見せるハナさん。その顔はほんのりと怒りが見てとれた。


「まず一つ。私はカッピーと付き合ってなんかない」


「え?! そうなんですか?」


「そう。そして、キ……キスもしてない。全くの誤解、デマ、誤情報なのです」


「そ、そうなんだ……」


 そして、ハナさんは僕の耳元に近づいてさらに釘を刺すように忠告するのだった。


「タテノっち、この話誰にもしてないだろうね?」


「し、してないです……」


「よーし、じゃあこのまま忘れること。いいね。誰にも話しちゃあいけないよ。だってデマなんだから。わかるだろう?」


「は、はい……」


 ぞくり……という寒気がする。ハナさんからの殺気めいたものを感じた。


ガチャ


「ちょーっと待て!! ゾンビさん、逃げるな!」


「ほう、ほーう……?」


 僕たちが話している隙に休憩室から出て行こうとするゾンビさん。ハナさんがそれに気づいて、大声を出して制した。


「ゾンビさん……ビッグボスに話したね?」


「ほうほーう、子どもたちにプレゼントを……」


「バレバレさぁ……。大方、ゾンビさんからビッグボス、ビッグボスからあかねちゃん、あかねちゃんからタテノっちの順番で話が広がったんだろう?」


「ほーう。何のことやら……。さらばっ!!」


シュタタタ


「待て! ゾンビ野郎! 誰にも話すなって言っただろ!!」


シュタタタ


バタン!!


 部屋から勢いよく出ていく2人。話の流れからして、ハナさんがゾンビさんにカッピーさんとの話をしたんだろうな。話すなってことはキスをしたのは本当なのか? 付き合ってるのも本当だけど、隠したいのか? 本当の話はわからなそうだ……。今度ゾンビさんに聞いてみようとも思ったけど、おそらく次会った時はハナさんに口止めされてそうである。残念。気になる……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ