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奏でる星の鐘は、アルデバランの燈すあしたへ

作者: 逢乃 雫

海岸通りの


風は鐘を鳴らすように



ふりかえる


頬をそっと流れて



木の実時雨を


聴きながら歩く



銀杏並木に


連なる樹々の黄葉は



ぬくもりを


瞳に届けるように



十一月の街角に


咲いたシクラメンの



花が冬へと


続く灯を燈すように



吹きゆく


風にやわらかに


こころを響かせながら




夕陽へ駆ける


風を追いかける丘に



紅葉月夜に


せせらぐ葉の調べに



耳を澄ませる


星の入東風(いりごち)の彼方から



浮かび上がる


すばるに続くように



雲の丘へと


駆け上がるおうし座の星々




宙へ駆ける


星を追いかける瞳に



プレアデスの


光に導かれるように



星の鐘が


冬へと鳴り始めるとき



ひときわ煌めく


アルデバランの光は



(そら)とこころに


あたたかな灯となって




澄んだ夜空に


鳴り響く


星の鐘のように



こころの鐘の


音色に耳を澄ませて



夢という


星を追いかけ


未知の道のりを駆ける



こころは


アルデバランのように




時計仕掛けの


日々に追われることも


多いけれど



夕陽へかざす


その手は


黄金色に輝いて



星空へかざす


その手が、きっと


明日の光をつかむように



こころに描いた


空に星を


追いかけながら



いつか、その空を


越えていけるように



こころとこころの


宙に響き合う


鐘の音色に、瞳を澄ませて




見上げた夜空に


星は鐘を鳴らすように



十一月の街角に


聴こえ始めた冬の鐘に



シクラメンの


花はあたたかな灯となって



こころの鐘が


鳴り響くように


アルデバランの、燈す未来へ

















黄道十二星座の一つ、おうし座は、11月下旬頃の東の空から、プレアデス星団を追いかけるように上り、オレンジ色の星・アルデバラン(アラビア語で「後に続くもの」)が輝きます。


星座の中央の星々は鐘の形で、「鐘星かねぼし」とも呼ばれます。「星の入東風いりごち」は11月頃に吹く北東風で、「星」は「すばる」とも呼ばれるプレアデス星団のこととされます。


11月頃から咲くシクラメンは、篝火花かがりびばなとも呼ばれ、紫の花言葉は「想いが響き合う」「絆」です。木の実時雨は、木の実が地面で音を立てる情景です。


季節の星や花をモチーフに詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
今回の詩は、しっとりと静かに、澄んだ響き。いつも以上にそんな印象を受けました。秋が深まる静けさに、空気は澄んで冬が始まりつつあるような、今の季節と重なりますね。 澄んだ空気を通る、星の鐘の音が聞こえる…
こころに描いた 空に星を 追いかけながら いつか、その空を 越えていけるように 良いですね〜 心は空のように広く 未来を見つめて いつか その先を越えていきたい と思いました 実際には些細なこ…
とても素敵な詩ですね(^^) 心が穏やかに温かくなります(^^) 最後の「こころの鐘が 鳴り響くように アルデバランの、燈す未来へ」が、とても心に響き渡りました。 生命力や希望を取り戻すのを信じた先…
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