エピローグ
5月1日。成瀬宵。
僕はフワフワとした感覚の上で目を覚ました。
「あ、やっと起きた〜お兄さんねぼすけさんなんだね〜」
目の前にはストレリチアがしゃがんで僕の顔を覗き込んで来ていた。
「ん...ここ、天国?」
「ん、うん、そう。今まで善を積んできたんだね。文句なしの天国行きだったよ。」
「そっか...」
「それでさ〜今日は君のお葬式の日なんだけど見に行きたい?」
「...出来るなら」
僕とストレリチアは会話が止まることなくスラスラと会話をした。
「よし!じゃあ行こっか〜」
「...ん、」
僕は自分のお葬式を空から見た。
親は大号泣をしていた。
春は僕の死体を見ながら、まだ信じられないとでもいうような顔をしながら静かに涙を流した。
池田さんも来ていた。何故か分からないが、とても泣いていてくれた。
優愛は1人その場に立ち尽くしていた。お葬式が終わってもその場から動かずずっとそこで立ち止まっていた。
僕の親に話しかけられて、帰っていった。
親に向けて何か言っていたが、その声は上手く聞こえなかった。
優愛の動向をその後はストレリチアに無理言って見せてもらった。
優愛は自分の部屋で泣き叫んでいた。
色んなものに当たっていた。
可愛いクマのぬいぐるみをベッドの下に投げ捨てて、勉強机で勉強していた開きっぱなしのノートと筆箱を床に叩きつけて、それでもずっと泣き続けていた。
やっと落ち着いたようで、ベッドに寝っ転がり枕に顔を埋めて泣きながら何かを考えていた。
優愛は急に立ち上がってそのまま走り出した。
優愛が向かった先は僕と優愛の会う場所になっていた公園だった。
優愛は桜の木の下に立ち、何かを言っていた。
どの言葉もよく聞こえなかったが、この言葉だけがよく聞こえた。
「また君に逢いたいと想える日まで、私は君の命を...心臓を!大切に、大切に生きていくから!!」
「...あぁ、分かった、ありがとう」
僕はふとそんな言葉を返してしまった。
そして、それを見終わったら僕は雲の上みたいな所に戻されていた。
「これで満足?」
「ん...うん、」
「...なんで泣いてんの...はぁ...」
「っ、ぅ'...」
僕の目からは自然と涙が零れていた。
「あぁ、もっと、もっと、長い間優愛と一緒に生きたかった...春と色んなところに行きたかった...あぁ...っ、ぅぁ...もう...」
涙は止まらなかった。
ストレリチアがもう一度ため息をついて僕を抱きしめてきた。
「うん、そうだね。それが人間だ。」
「死にたくないさ、誰も。『死にたい』って言ってる人は表面上の人だっているし、心から『死にたい』と思ってる人もいる。だけど、だけど、いつ死ぬかなんて分からない。もしかしたら、寿命を全うせず、イレギュラーな事...例えば、おねーさんやおにーさんみたいに運命上決まってなかったことで死ぬ人だっている。だからね、1日1日を大切に生きなくちゃなんだ。明日、死ぬかもしれない。明日、友達が死ぬかもしれない。って考えるのは良くないけど、1日1日を流れるように生きていくのではなく、1日1日の価値がまるで1億円かのように生きていくんだ。そうしても、きっと未練は少しくらいは残るさ。簡単なことでもね。だから、とにかく1日1日未練がないように生きるんだよ。来世ではね。」
「...来世、?」
ゆっくりと一言一言を大切にする口調でそんなことを言われたが、来世という言葉が1番耳をついた。
「...あ、言ってないっけ?」
「人間は少なからず、天国に来た人は誰でも人間に生まれ変われるんだよ?」
その言葉に少しだけ希望を持てた。
来世では、未練なく生きれるかな。
来世では、1日1日を大切にできるかな。
来世では、優愛みたいに綺麗な人か、優愛に会えるかな。
「...優愛、また君に逢いたいと想える日まで。違う場所ではあるけど頑張ろうね、」
僕は雲の下に居る優愛にそう言い、ストレリチアと天国の扉を通った。




