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既に噂になっているようです

「王子、この方が婚約者ですか?」


 私が兵士だと思っていた人達は、どうやら王子を守る近衛兵だったらしい。

 近衛兵の中でも筋骨隆々な男性が私のことをそう言ってきた。


「ちょっ…ちょっと待って!話についていけないんだけど!?」


 私は慌ててセオドアに詰め寄った。


「アンセル、正確には婚約者にしたい人がいると言っていた人がアカネのことだ」


「そうでしたか。大勢の婚約者候補を紹介されても『婚約者にしたい人は決めている』と全て断られていたので、本当の婚約者がいるのか、それとも結婚したくないのかと、王宮の者の多くが気にしていたもので」


 アンセルさんは他の近衛兵から一目置かれているような様子で、セオドアとも親しげだったので、おそらく近衛隊長なのだろう。

 知らないうちに、人魚の世界では私の名前が知れ渡ってしまっているようだ。

 目の前がくらくらしてきて、私は頭を抱えてた。

 私が困っているのを察したのか、セオドアは膝をついて私の手をとった。


「アカネ。困らせてしまって申し訳ない。君がどうしたいのか、君の意思を尊重したいと思っている。ただ、僕は成人するのが遅かったから、だれが想い人なのかとかなり話題になってしまったみたいで…」


「王子は恋愛に興味がないのかと思ってましたが、こんな可愛らしいお嬢さんが好きだとは。このお嬢さんのために、あらゆる学問を網羅されて武術も達人並みとなったわけだ。魔物にも負けなしで国中から英雄だと噂されていますからな」


「アンセル、余計なことを言うな」


 セオドアがアンセルを睨むと、アンセルは「はいはい」と言いながら不敵な笑みを浮かべた。


「アカネ…僕はこの街を案内してもらったお礼に我が国である『レムリア』に遊びに来てほしいんだ」


「えっ、それって人魚の国に行くってこと!?」


「ぜひ。僕に案内させてほしい。僕の想いへの返事はゆっくりで良いから」


 セオドアの真剣な眼差しを見る限り、本気のようだ。


「でも、私は水中じゃ息がもたないよ?」


「君が持っているペンダントがあるだろう?あれには魔法がかかっていて、身につけていれば水中でも息ができるんだ。それ以外にも色々と方法はあるけど」


 色々なことが起こりすぎて頭が混乱してきた。

 セオドアはずっと真剣な表情だし、アンセルさんはその後ろで面白そうに私を見ている。

 まるで娘のように接してくれてるハンナさんだけは、私に浮いた話があってうれしいのか、ずっとニコニコ笑っていた。

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