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目覚めたらそこは異世界でした。

 ふかふかのベッドで寝ていたはずだった。大学生になってから、講義がない時間はほぼ居酒屋のバイトをしていた為、アパートには寝るために帰っていたようなものだった。昨日もいつものように倒れ込むようにして寝たはずだ。


 それなのに気がつくと、頬にはざらざらとした感触があり、海の浜辺で寝転がっていたことがわかった。

 夢でも見ているのではないかと何度もほっぺをつねったが、夢ではなかった。

 どうしてこんなことになったのか検討もつかないけれど、どうやら私は、異世界に来てしまったらしい。





「アカネ、買い出しに行ってきてくれるかしら?」

「わかりました。これから行ってきますね」


 宿屋の女将、ハンナさんから買い物かごを受け取り、私は街へ出かけた。

 異世界にきてから数日経ち、私、雪村 茜は海沿いにある宿屋で住み込みで働いている。


 異世界にきた直後は、波に打ち上げられていたのか、パジャマはびしょ濡れになっていて体は冷え切っていた。

 呆然と座り込んでいる私を見かけたハンナさんが声をかけてくれて、宿屋の中の暖炉を貸してくれたのだ。

 暖炉の火に温まっていると、ハンナさんからどこから来たのか質問されたが、この世界のことを全く知らなかったことから、私が記憶喪失ではないかと心配してくれた。

 ハンナさんから「好きなだけここにいていいからね」と言ってもらえたため、昼から夜にかけて宿屋の一階にあるパブの手伝いを主に行い、空いた時間に買い出しや宿の準備を手伝っている。


 この街、マリーナミューズは一見、ヨーロッパのような街並みであり、道は石畳になっている。

 しかし普通と違うのは、魔法が一般的に使用されている点だろう。

 杖を使って作業することもあれば、付呪がされている物であれば、呪文を唱えれば物が自動的に動く。例えば、付呪がされたキッチンで「オムレツを作って」と話しかけると、フライパンが宙に浮き、卵はひとりでに割れてフライパンに入っていき、自動的にオムレツを作ってくれるのだ。

 料理を作った後、魔法でキッチンに調理法を覚えさせることができ、2回目以降は料理の名前を呟けばキッチンの備品が動き出して作ってくれるのだ。

 材料を用意しておくだけで良いため楽であり、料理が出来上がったらお客様に持って行くだけで良い。

 私は魔法が使えないため、主に付呪がされている備品を使うことが多い。

 いずれは魔法を使えるようになりたいと思っているが、今は呪文書を読み込むことで精いっぱいだ。





 買い出しを終え、宿屋に帰ろうとすると、浜辺で子ども同士が喧嘩をしているのを見かけた。

 どうやらひとりの子どもに対して、数人の子どもが寄ってたかって羽交い絞めにしている。

 私は放っておけず、駆け寄った。

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