01 夜間訪問の美女
ドアの向こうにいたのは・・・
電話口の声から想像した通りの・・・
いや、それ以上の・・・
"美女"だった
"絶世の美女"と呼んでも差し支えあるまい・・・!
「開けて~、開けて~、開けて~、
・・・お?
あぁ~、ようやく開けてくれたんですね~
よかった~、もう少しでガマンの限界が来るトコでしたよ~」
ゲスティが勝手に家に上がる
「ど~も初めましてッ!!
アタシは"殺戮姫"ゲスティ!!
よろしくゥ!!」
やけにテンションが高い
「ってゆーか、"殺戮姫"ぇ!!?」
ヤバい!!
なんてヤバそうな二つ名なんだ・・・!!
ドアを開けるべきではなかったか!!?
「ふぅ~ん、ほぉ~」
ジロジロジロ
ゲスティがおれを眺め回してくる
「な、何ですか…」
「うん!見るからに…
ダメそうだね!」
「えぇ~…
何ですか藪から棒に…」
「で、キミはアタシのことどう思う?」
「え?う~ん…
すごく怪しくて怖いので、早く帰ってほしいですかね…」
「あ?」
ヤバい!!地雷を踏んだか!!?
「よし、ごーかく!!」
「へ?」
「キミをアタシの弟子にしてあげよう!!」
「はあ…弟子……
何のことですか?」
「『ゲスティちゃんの革命家講座』に決まってんじゃん」
「え!?あれ本当にやるんですか!!?」
「当たり前じゃん
アタシが何のためにここまで来たと思ってんの?」
「てっきり何か戦慄すべき、邪な目的のためかと…」
意外とマトモな業者なのか?
ゲスティがズカズカとリビングに上がり込み、部屋全体を見回す
「ところで、寝るところはあのベッドしかないの?」
「はあ…ないですけど。なんでですか?」
「いや、ここに泊まるから」
!!!!!!!!???
「ええッ!!?
ど、どうしてですかッ!!?」
「今夜はもう遅いでしょ?
詳しい話は明日にしようと思って」
「困りますよ…!!
自分の家で寝てくださいよ!!」
前言撤回…!!
やっぱり全然マトモじゃない!!
「どうせ一人暮らしでしょ?
何か問題でもある?」
「大アリですよ…!!
プライバシーというモノがですね…!!」
「こんな夜中に、この究極美女を一人で帰らせる気ッ!?」
「こんな夜中に来たのはそっちじゃないですか!!?」
「グダグダうっさいヤツね~
細かいことばっか言ってると、長生きしないぞッ☆」
ゲスティが何かを探す素振りをする
「布団とかはないの?」
「ないですね…
ベッドで十分なんで…」
「う~ん、じゃああのパソコンチェアか、コタツしかないかあ」
どうやらこの女の中では、おれの家に泊まることはすでに決定しているらしい
「キミはパソコンチェアとコタツ、どっちがいいと思う?」
「う~ん、寝転がれる分、コタツの方がマシなんじゃないですかね?」
「やっぱそうだよね~
じゃあコタツに決定!」
しかし、理不尽な侵入者とはいえ、客人をコタツで寝かせるのは申し訳ない気が…
いや全然しないか
この女の場合
「じゃ、アタシは寝るけど、明日からはキビし~い講義が始まるから、キミも早く寝るんだよ~
おやすみ~」
ゲスティは当然のように俺のベッドに入り込み、寝息を立て始めた
「ぐ~」
………………
「え、おれがコタツで寝るの!!!?」