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5章・一年生・長期休暇編_055_始末(完結)

 この物語はフィクションです。

 登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。

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 5章・一年生・長期休暇編_055_始末(完結)

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 戦いは終わった。短いようで長かった戦いだ。

 まず、アキロス砦防衛線においてだけど、これは大勝利。帝国軍は壊滅。帝国兵二千五百人を捕虜にしている。

 次いでナルダン子爵領へ侵攻し、領地の半分以上を占領。ナルダン子爵領の領都になるガバルデキア他を占拠。ナルダン子爵軍の捕虜は千二百人。


 ナルダン子爵領の占領が完了する前に、領主様はすでに王家に対して使者を出していた。ナルダン子爵謀反と。

 戦いが終わった後に王家とこの地域の盟主的な存在のバルガンテス侯爵家から監察官がやってきて、今回の顛末について確認をした。


 その間、僕はフウコに飛んでもらい帝国軍や他の王国貴族軍が、リーバンス子爵領と旧ナルダン子爵領に侵攻してこないか警戒する任務を受けた。

 いくらフウコが飛べるからといって、カバーする範囲がちょっと広すぎるよね。領主様は人使いが荒いよ。ブツブツ。


 あとナルダン子爵家当主トロイヤは、アール様の皇龍地獄剣の攻撃で死んでいた。

 他に嫡子のオロカーマスと次男のナンジャークも出征していたけど、オロカーマスも戦死していた。ナンジャークのほうはオリビアちゃんが捕縛し、今回の王国への謀反の証言を取っている。


 監察官の対応は領主様とアール様が行い、デューク様は未だに降伏してない旧ナルダン子爵家家臣たちの討伐を行っている。




 監察官は三泊して帰っていった。

 ナルダン子爵家は帝国へ寝返ったと判断された。

 リーバンス子爵家がナルダン子爵領に侵攻したのは正当な行為であり、ナルダン子爵家は改易となり、その一族の処分はリーバンス子爵家に一任された。


 また旧ナルダン子爵領は、リーバンス子爵領に組み込まれることが決まった。速やかに旧ナルダン子爵領に侵攻したのが良かったらしい。

 実質的に支配してなかったら、他の貴族に取られていたかもしれない。それがこの世界、この国の常識だ。それ絶対に揉める案件だよね。揉めなくて良かったよ、ホント。


 国王や侯爵に伺いを立てずに監察官がこういった判断をするのは、王家の力が弱いためらしい。

 帝国と長年戦っているけど、王家はほとんど援助しない。

 だから手に入れた領地や捕虜は、その貴族が自由にする権利が認められている。そうじゃないと、王家にヘイトが向いて下剋上されるからだね。


 戦争にはお金がかかる。それを補填するには捕虜交換で現金を得るか、領地を手に入れるのが一般的なんだとか。普通はその相手が帝国なんだけど、今回はナルダン子爵だったわけ。

 まあ、帝国側に攻め込んでもいいのだが、帝国って結構国力があるらしく、簡単じゃないらしい。それにナルダン子爵領を放置もできないから、今回は帝国側に攻め込んでない。そんな人員がいないというのが本当のところ。

 数年前までは男爵だったのだから、そこら辺はね……。


 王家は貴族が王国内で勝手に侵攻しても罰する力がない。ただそんなことをすれば周囲の貴族に潰される。総力を挙げて潰しにくるらしい。

 今回は領主様側に正当性があるから、問題ない。

 ただしナルダン子爵領は今回のことで結構荒れてしまったから、しばらく内政の時間だ。


 旧ナルダン子爵領はデューク様に任せ、領主様はオリビアちゃんを連れてリベナ村に戻った。

 そして僕たちは休暇を再開したんだけど、なかなか休暇にならない。


 領主様の屋敷では戦勝祝いが行われ、僕やアベル兄さんも出席した。

 その数日後には王家から使者がやってきて、領主様は伯爵になった。

 さらに論功行賞が行われ、その場で次男マーカス様が子爵、三男のアール様が男爵、そして僕も男爵になることが発表された。




 数日が経過し、領主様は領都を旧ナルダン子爵領のガバルデキアに移すと宣言した。

 旧ナルダン子爵領の復興に本腰を入れるため、そのほうが都合がいいのだとか。

 そこで僕とオリビアちゃんは、リューベニックに戻る日になったんだ。


 捕虜になったナルダン子爵の次男ナンジャークは、なんと魔法学校の三年生だった。ただ彼は今回のことで謀反人の一族という烙印を押されてしまい、魔法学校に帰ることはできない。

 彼は処分を決定するまでしばらく幽閉されることになっている。


 ナルダン子爵家の血縁者で、成人の男性は死罪が決まっている。こういうのはドライに族滅に近いことが行われるらしい。

 未成年(十五歳未満)と女性は領主様の判断次第。死罪になるかもしれないし、特別に赦してもらえるかもしれない。

 僕がナンジャークの処分を聞いたのは、半年近く経過した年を越す直前になるのだった。


 あと僕たちの帰省途中で襲ってきたのは、ナルダン子爵の部下たちだったことも判明した。

 オリビアちゃんを攫って人質にしようとしていたらしい。まったく困った人だよ。


 さて、今回の戦争は魔法学校でもかなり噂になっていた。

 僕とロビン君は生徒たちに囲まれて、その話をしろとせがまれる毎日を送っている。


「僕は戦争に出てないから分からないんだ。ランドー様に聞いてほしいかな」

 ロビン君はお父さんについて戦場で商売をしていたらしい。商人は戦場に物資を持ち込んで領主様に売りつけたり、逆に戦利品を買い取ったりする。

 一般兵士の捕虜の多くは、奴隷として商人に引き取られることになる。

 そういったことをしていたのを隠して、ロビン君は僕に丸投げしてきた。むむむ。ロビン君、なかなか強かな男に育ったね!


「帝国軍八千がアキロス砦に迫っていて―――」

 僕は毎日同じような話しをした。何度もした。もう飽きた。


 何度か目の話が終わり辟易していると、ルーク君が僕の肩を叩いた。

「大変だな」

「本当に大変だよ。もういい加減にしてほしいよ」

 ルーク君は高らかに笑い、リンさんは苦笑していた。


「お前はいい意味でも悪い意味でも目立つからな」

「僕、地味な顔してるよね?」

「顔じゃなく、長期休暇が終わる前と後で、ローブの色が変わったからだろ。普通そういうのは、変わらないからな」

「あー……なるほど……」

 士族だったのに貴族の男爵になっちゃった僕は、黒色から青色のローブになっている。

 僕は前のままで良かったんだけど、先生がダメだと言うから仕方なく変えたんだ。


 あと、アベル兄さんは士族になって、僕の家臣になった。騎士学校を卒業したら、正式に騎士として僕に仕えることになる。


 オリビアちゃんは今まで通り。

 騎士学校を卒業したら僕と結婚だ。

 つまり僕も結婚をするわけで、オリビアちゃんと一緒にリーバンス伯爵領に帰ったら結婚式だね。


 オリビアちゃんは元CAのキャリアウーマン? だから、僕よりも働くんだろうな~。

 そうかオリビアちゃんが働いて、僕が家を守ればいいんだ!

 よーっし! 僕は主夫として立派に家を守るぞ!


 あーっ、忘れてた! バーバラ魔法店であの時のことを聞いてないや……。まあ、そのうち聞けばいいか。


 トイレと風呂も早めにほしい。

 まだまだやることがいっぱいあるね。



 ――― 完 ―――


 

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