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5章・一年生・長期休暇編_043_待ち伏せ

 この物語はフィクションです。

 登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。

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 5章・一年生・長期休暇編_043_待ち伏せ

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 サルガマル様に見つめられる。イケメンとはいえ、男には興味ないからね。

「それで、その武装集団はこの先の渓谷で待ち受けていると言うんだね」

 へへへ。事情聴取でしたね。フツメンの僕に言い寄る男なんていませんよ。


「はい。十人程が崖の上にいて落石の準備をしています。その十人は弓を装備しているそうです。あとの四十人程は落石ポイントからさらに先に陣取っています」

 問題は落石で僕たちを圧し潰すつもりなのか、それとも退路を遮るつもりなのかだよね。弓を持っているということは、落石が失敗しても弓で攻撃する二段構えなのかもしれない。もしくは退路を塞いで弓で攻撃するか?


「落石で我らを圧し潰すのが目的なら、四十人も後詰めはいらないでしょう。むしろ落石のほうにもっと人員を割くはず。おそらくは落石で退路を塞ぎ、弓で援護をしつつ、四十人で我らを制圧するという作戦なのでしょう」

 サルガマル様の意見にオリビアちゃんと中年兵士さんが頷く。配置からしてそちらの可能性のほうが高いようだ。


「あそこは道幅が狭い。退路を塞がれ、上から弓で援護されては我らといえども防衛は容易ではないでしょう……」

「弓のほうは問題ないわ。そうなんでしょ、ランドー」

 オリビアちゃんが僕に水を向けて来た。何も言ってないよね、僕。


「そんな顔をしないの。さっきランドーが大したことじゃないと言ったんだから、弓のほうの対策はすでに考えてあるのでしょ」

 さすがはオリビアちゃんだ。僕の言葉をしっかりと覚えているよ。


「ランドー君。どういうことかね?」

 サルガマル様が怪訝そうに聞いてきた。


「崖の上に陣取っている人たちですが、この十人は逃げ道がありません。がんばって登ったようですが、すぐに無力化することは可能です。ただし命の保証はできませんが」

「どのように崖の上に陣取る者たちを無力化するのかね?」

「僕の従魔は空を飛べますから。彼らのさらに上空から攻撃してやればいいのです」

「なるほど……」

 フウコは魔獣だ。魔獣というのは一般的にかなり強い。しかも遠隔攻撃ができる。昔オリビアちゃんが狩ったイノシシの魔獣が火を噴いたように、魔獣には遠隔攻撃ができる個体が存在する。そしてフウコも遠隔攻撃ができる個体なんだよね。弓が届かない上空から一方的に攻撃できるってこと。

 リューベニックに溜まっていた魔力を吸収したフウコの遠隔攻撃は、射程距離も威力も上がっている。ふふふ。僕に死角なし!


「しかし地上には四十人か……いや、こっちは問題なく対処できるのか」

「はい。問題なく対処できますね」

 僕はいい笑みをして、サルガマル様の腰の剣に視線を向けた。それは僕が創った火竜剣だ。

 幸いと言うべきか、襲撃場所は狭い一本道になっている。崖に囲まれているから逃げ道はない。オリビアちゃんの天神雷光だとオーバーキルで炭化するどころか死体も残らないけど、サルガマル様の火竜剣なら丁度いい感じにこんがりと焼きあがることだろう。


「この時期にそんなところに陣取っている以上、オリビア様を狙ったものと考えるべきだろう」

「盗賊じゃないのですか?」

「この辺りに五十人規模の盗賊がいるという話は聞いていない。我らがリューベニックに向かう際に、この辺りの調査は十分に行っているが、あれから十日しか経ってないから大きく変わるとは思えない。十日のうちに盗賊団が流れて来たと考えることもできるが、それよりはリーバンス家のオリビア様を狙う勢力の待ち伏せと考えるほうが納得できる理由だろう」

 僕の脳裏にオリビアちゃんに腕を折られたトディアス=バルガンテスの名が浮かんだ。もしバルガンテス侯爵が怒っているなら、そういうこともあるのではないかと。


「ふふふ。面白いわ。この私を狙うとは身の程を知らない愚か者たちね!」

 オリビアちゃんの目がいっちゃってるよ……。

「サルガマル。二、三人捕縛するわよ。背後関係を確認しなくちゃね」

「承知しました」

 サルガマル様は少し苦笑し、頷いた。

「リーバンス子爵家はいくつかの貴族から嫌われていますからな……。どこの勢力か、見極める必要はあるでしょう」

 領主様ってそんなに敵が多いの? 僕には優しいオジサンなのに、やっぱり貴族の顔があるのかな……。そういった顔を見たくないな~。僕相手にはずーっと優しいオジサンでいてね。


 作戦は僕が話したようになり、崖の上の戦力はフウコに対処してもらう。

 フウコは大都市リューベニックの魔力を吸収して、以前よりも強くなっている。相手が加護レベル二の魔法や弓の使い手で、しっかり訓練した熟練者でもなければフウコには勝てないだろう。

 フウコの見立てでは、十人の中にフウコが危険だと思うような人物はいないそうだ。魔獣の勘だから、普通の人の勘よりよほど信頼できる。


 僕たちは何食わぬ顔で渓谷へと入っていく。三十分ほど進んだところで、そろそろ待ち伏せのあるエリアになると、警戒を強める。

 フウコから落石ポイントを通過したと情報が送られてくる。

「落石ポイントを通過したよ」

「了解」

 オリビアちゃんはいつでも飛び出せるように、準備している。

 僕なら道を塞ぐのではなく、石をこの集団に落とす。おそらく敵はオリビアちゃん狙いだから、オリビアちゃんを殺すようなことはしないはずだけどね。

 どちらにしろ石を落とされる前に、崖の上の十人を無力化する。石がなくても、弓で援護されても面倒だからね。


 

ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


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