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2章・七歳編_018_本当に反撃だ!

 この物語はフィクションです。

 登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。

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 2章・七歳編_018_本当に反撃だ!

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 夜。僕とアベル兄さんは、具がなく、味もないスープだけを食事として与えられた。これ、もはや水だよね。奴隷の扱い、酷くない?

 僕たちが入れられた檻馬車の周囲には、常に帝国兵が配置されている。


「あー、腹減ったなー」

 アベル兄さんが寝転がり、愚痴を言う。水だけでは、さすがにお腹が減る。でもその前に、アベル兄さんの傷は大丈夫だろうか? 僕は魔法を禁止されているから……。


「兄さん、傷は大丈夫?」

「こんなもの、大したことないぞ。それより腹減った」

「兄さんは大物だね」

「おい、うるさいぞ。喋るな」

 帝国兵に怒られ、棍棒で突かれた。痛いんですけど……。

 正直言って、こいつらはそのうちぶっ飛ばす。それも近いうちにね。


 今回、僕たちを連れ去るラーベン子爵の部下はおよそ百二十人。結構多い。

 連行される村人はおよそ百人。その中にはシャナン姉さんもいる。

 結構な困難に見舞われている気がするのは、気のせいじゃないよね。


 僕は音を立てずにアベル兄さんに近づく。

「ごにょごにょのごにょ」

「………」

 僕の耳打ちにアベル兄さんはニヤリと笑い、頷いて答える。


 さて、やりますか。

 アベル兄さんの拘束具に手を添える。……これでよし。

 僕は頷く。


「おーい、クソがしてーんだけど」

「黙れ」

「黙ってもいいが、ここでするぞ。腹いてーから、ビチビチでくせーと思うぞ」

「まったく……こっちに来い」

 アベル兄さんの交渉力はともかく、帝国兵は拘束具を確認してからアベル兄さんを檻から連れ出した。


 次は僕の番だ。

 周囲にいる帝国兵は五人。その五人に同時にエアロスラッシュを放つ。隷属の首輪の効果で魔法を使えないんじゃないかって? その種明かしは少しだけ先になるかな。


 五人の帝国兵の首がずり落ちる。これで僕を見張る帝国兵はいない。

 檻に手を当てて、創造を発動させる。いい感じの斧が創れたよ。

 地面に下りて帝国兵の死体を土に返し、鎧などの金属製のものは異空間に収納しておく。

 オリビアちゃんが倒した大きなイノシシの魔獣くらいの容積を収納するくらいは我慢できる。


「兄さん、そこにいるかい?」

「ああ、ここにいるぜ」

「あの帝国兵は?」

「喉を潰してやったら、泡を吹いて倒れた。一応死んでいるのを確認したが、もし生きていても声は出せないだろうさ」

「そりゃぁいい」

 僕とアベル兄さんは笑い合う。おっと忘れるところだった。斧をアベル兄さんに渡す。


「なあ、あれはなんだ?」

「檻の中に僕たちがいないと、怪しまれるでしょ」

 檻の中に僕たちがいる。もちろん檻もちゃんとある。いないのは帝国兵だけ。

 幻影魔法で幻を見せているだけなんだけどね。もちろん僕がハメている隷属の首輪も幻だよ。

 ラーベン子爵が放った隷属の首輪を拾ってマジマジと見た時、アベル兄さんとラーベン子爵が喋っている間に幻影魔法で隷属の首輪の幻を見せている。本物は異空間に収納してあるから、ラーベン子爵にでも使ってあげようかな。

 だから僕は奴隷になったわけじゃない。そう見せただけ。さあ、反撃の時間だ。これが種も仕掛けもある現実だね。


 幻影魔法で僕とアベル兄さんは闇に紛れている。

 そして帝国兵を殺しては土へ返す。殺す際には風魔法で周囲に音が漏れないようにしっかり対策している。

 しかし創造で人を土に返すなんてことをするとは思ってもいなかった。この辺りの土は質の悪い肥料を撒かれて災難だと思うけど、勘弁してね。


 起きて見張りをしている帝国兵は三十人くらい。そういった起きている帝国兵を優先して土に返し、さらに寝込んでいる帝国兵を土に返した。

 残り数人になるまで土に返した頃に、寝ていた帝国兵が起き出して見張りがいないことに気づいた。


「どうした。何を騒いでいるんだ?」

 ラーベン子爵も起き出したようだね。


「それが誰もいないのです」

「誰もいないとは、どういうことだ?」

「部隊の者たちがいないのです」

「なんだと!?」

 ラーベン子爵が周囲を確認するが、誰もいない。残るはラーベン子爵の他に四人だけ。


「やあ、ラーベン子爵。どうかしましたか?」

 闇の中から姿を現した僕を見て、ラーベン子爵は目を大きく見開いた。


「貴様、なぜここにいるんだ!?」

「なぜって、僕はラーベン子爵の奴隷なんですから、近くにいてもおかしくないでしょ?」

 ラーベン子爵が剣の柄に手をかける。


「何をそんなに慌てているのですか? 隷属の首輪をつけている僕に、そんなに怯えなくていいじゃないですか」

「俺が貴様ごときに怯えていると言うか。この不埒者が!」

「ふふふ。そうですよねぇ」

 僕が一歩近づくと、ラーベン子爵が一歩後ずさる。


「あれー? なんで下がるのですかぁ?」

 煽って煽って、煽り倒してやる。簡単に楽にしてあげないからね。僕、これでも根に持つタイプなんだよ。


「えーい、うるさいわ! ランドー、そこで跪け」

 僕が跪くとラーベン子爵がホッとしたような表情になった。こんな可愛らしい少年を見て怖がるなんて、本当に失礼な人だな。

 やっと落ち着いたのか、僕に近づいてくるラーベン子爵にニコリとほほ笑むと止まって頬を引きつらせた。えー、それショックなんですけど。


「どうかしましたか?」

「な、なんでもない。お前、なぜ檻に入っていないんだ」

「兵士さんが出してくれました」

「はぁ? どこのどいつだ、そんなことをしたバカ者は」

「名前は知りませんが、鼻の横に黒子がある人でした」

「鼻の横に黒子……あ奴か。いったい何を考えているのか、あのバカ者は」

 何も考えてませんよ。その人、もう土に返ってますからね。


「とにかくだ、お前は檻の中に戻れ」

「檻に入れなくても、僕はそんなに怖くないですよ」

 隷属の首輪を指して、ニコリとほほ笑む。


「いいから、檻に入っていろ」

「そうですか、残念です」

 僕は立ち上がる。そしたらラーベン子爵は体をビクリッとさせて、距離を取る。そこまで引かれると、本気でショックなんですけど。


「ところで檻はどこにありますかね?」

「なんだと?」

「この暗さでは、どこに何があるか分からないじゃないですか」

「む……なんだこれは? なんで篝火がない? 灯りはどこだ?」

「ふふふ。暗いのが怖いのですか? 子供の僕でも平気なのにな~」

「ふざけるな!」

 ねえ、何かおかしいと思わないの? そもそも檻へ帰れという命令に逆らっているんだよ、僕は。

 いい加減気づいてよ。


 

ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


また、『ブックマーク』と『いいね』をよろしくです。


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