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勇者二世嫁探しの旅  作者: 猫又にゃん
97/116

97 初めまして、旦那様

ケーンと、今までずっとすれ違っていたサーシャの邂逅です。

 ケーン一行は、再び城塞都市クオークに跳んでいた。


魔族領を侵すことはできないが、はぐれ不良ドラゴンの情報が入る可能性は、魔族領に近いクオークが、最も高いだろうという判断だ。


 まあ、不良ドラゴンが、魔族領に引きこもったままなら、無理に狩ることもない。

 ダンジョン以外で、今の総子をレベリングするとしたら、クオークの他はありえないし。



 ケーン一行が、クオーク城門をくぐると、小柄な女が歩み寄ってきた。


「やあ! サミアちゃん」

 ケーンは気づいて、その女に声をかけた。彼女はシャドーの一員である。多分、正義の影供を命じられている。


「お久しぶりです。

おかげさまで、正義殿も神官を受け入れてくださいました。

アラン様という、聖騎士の資格も持った手練れでございます。

及ばずながら、私も当分勇者パーティに加わります。

あのお二方のパーティに、欠けているのは斥候と折衝役。

もちろん私など役不足ですが、適当な人材が見つかるまで、お手伝いさせていただきます」


「そうなんだ?

まあ、あいつには男がいいかもね。

それと、君みたいな……」


「海千山千の、すれっからしおばさん。

自分でもわかっております」

 

「そんなご謙遜を。

なんかちゃん付けしたくなるキャラ?

女は年齢じゃないよ」

 サミアは美人とは言えない。ボディーもすべてがコンパクト。

だが、ケーンの言うように、若々しく見える。多分年齢はジャスミンより上だろうが。


「私など、ケーン様の奥方に比べたらとてもとても……。

ケーン様に、是非お引き合わせしたい方がいます。

お付き合いいただけますか?」

 サミアは苦笑気味の表情でそう言った。


「俺に引き合わせたい?」


「夜の女王様一推しの方です。

どうぞ私に付いてきてください」

 

 母ちゃんの? 


母ちゃんがシャドーに?


どういうこと?


ケーンは頭の上にハテナマークを飛ばしながら、とりあえずサミアについて行った。


キキョウとユリは顔を見合わす。


女王様、とうとうしびれを切らしたか。


不思議なことに、ケーンが夜の王宮へ帰ったとき、すれ違いになっていた。あの子と。ケーンは、意外にせっかちなところがあるから。



 ケーンがサミアに案内された高級宿。サミアが部屋のドアをノックする。


「どうぞ」

 の声で、サミアはケーンを目で促す。


 ケーンはドアを開けた。


「初めまして。

旦那様。

サーシャといいます」

 妖しい雰囲気を醸し出す、絶世の美女が、ケーンを迎えた。


サミアは思う。どうしてシャドーの私が、魔王の娘と、ケーンさんを引き合わせる!


まあ、光の神殿側にも、サーシャをよろしく、ということなのだろうが。

光の女神様も、しぶしぶながら首を縦に振ったらしい。


それにしても、なんという嫁の陣容。あきれながらサミアは、正義が宿泊する宿へ帰った。


「今、旦那様、と言ったよね?」

 ケーンはびっくり。初対面のはずなのに、なにゆえ?


 こんな超絶美人、俺が忘れるわけない。


「お目にかかるのは初めてですが、ケーンさんは私を所望されたとか?」

 サーシャは、ぞくっとするような笑顔を浮かべた。一種妖気と形容すべきような。


「俺が君を?

まさか……」


「その、まさかです。

どうか一生添い遂げてくださいませ」

 サーシャはケーンに歩みより、彼を抱きしめた。


 チュッ!


 軽くキスをする。


「参ったね……。

また母ちゃんが、成長促進の魔法かけた?」


「そうです。ケーンさんをいつでもお迎えできるように。

私の体に」


 ケーンは、据え膳をありがたくいただくことにした。


 悲願の聖神女と、魔王の娘完全制覇! 本当ならロリ規制の範囲だけど。


 まあ、父ちゃんを、軽く超えちゃったね!



 夜の女王を通し、サーシャの魂は、自分の本体とケーンが交わるさまを、ありありと感じていた。


 なにこれ! 


な、なんか、いい! 


超気持ちいいんですけど!


 ケーンも…ケンイチにそっくり。


 まあ、悪くはないかな……。


エッチは超いい!


サーシャのいじけひねくれ魂は、急速に変化していった。



 夜の女王は思う。ケーンの盾と剣はそろった。剣の方は、もう少しなじませてから、完全体にすべきだろうが。


 エルファード星人、ご愁傷様……。


光の女神が守護する聖神女と、聖神女に近い力を持つ娘。


魔族の頂点である魔王の娘。


我が夫に匹敵する才を秘めた元勇者。


超トリプルS冒険者。


竜王の娘。


多くの才能を円滑につなぐ、落ちこぼれ勇者の末裔。


全くありえないほどの戦力だ。


我が息子は、不可能を可能にした。どんだけ幸運に、恵まれてるんだよ!


私や眷属はもちろん、夫や側室たちも、今は長くこの星から離れられない。へたしたら、ケーンとアンドロイドたちだけで、迎え撃たなければならないと、思っていたのだが。


ケーンと嫁たちになら、安心してこの星の運命を、ゆだねられる。

予想される戦闘まで、後三年少々か。そのころには、みんなもっとたくましく成長していることだろう。


頼んだわよ。みんな。


息子と魔王の娘の第二ラウンドを、ほほえましくピーピングする、夜の女王だった。


今晩三発は、お願いしよう~っと。


現在サーシャの魂は、二つに分離しています。夜の女王的には、ひねくれ魂矯正の最後の仕上げとして、サーシャの実体とケーンの合体をもくろんだわけです。


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