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勇者二世嫁探しの旅  作者: 猫又にゃん
92/116

92 ゴブダンは、一人前への試金石

ケーンは通称ゴブダンで、セイギクンを鍛えます。

 ケーンと正義は、ダンジョン入り口に跳んだ。


 ゴブリンダンジョン。通称ゴブダン。初心者から一人前の冒険者へ卒業するため、ちょうどいい感じに、ヒカリちゃんが調整している。


 名前の通り、そのダンジョンは、ゴブリンしか出てこない。


 一階層は、単独のゴブリンで肩慣らし。


ただし、出現頻度は超高い。もたもたしていたら、わんこそばのように、お代わりが次々と。


 二階層は、二、三頭のゴブリンが、およそ五分間隔で出現する。


 三階層は、ゴブリンソルジャーに、メイジやアーチャーが混じる。


 四階層は、ゴブリンジェネラルが率いる、各種ゴブリンが五、六頭。


 各種ゴブリンの群れが出現する、最下層五階。最奥部には、ゴブリンキングが待ち受けている。


「……という感じ。

さあ、張り切って参りましょう!」

 ケーンの説明を受け、正義はためらう。


「このダンジョン、二人でこなせるものなのか?」

 正義は、素朴な疑問をぶつけてみた。


「何をバカなこと言ってる!」


「そうか、二、三頭なら自信はあるんだが、ダンジョンのゴブリンは弱いのか」


「ソロでこなすんだよ! 

死んだら任せておけ。

ちなみに、ダンジョンのゴブリンは、フィールドより強い」


 そんなアホな……。正義は逃げ出したくなった。このダンジョンがどの辺に位置するのか、知らないから多分無理だけど。



 ヒー、ヒー、ヒー……。正義は肩で息をする。やっと一階層のセーフティーゾーンに到達。


 最初は余裕で、次々とゴブリンをなぎ倒した。二十頭ほど倒したら、ほとんど無意識で剣を振るえた。


 ところが、次第に疲労が蓄積する。刃筋が乱れ始め、一撃では倒せなくなった。お代わりが次々と押し寄せ……。

 

 やられた! いてぇ~! あれっ? 回復してる?


 多分、ケーンが回復魔法をかけてくれたのだろう。痛い、という感覚だけが残り、傷は直ちに治っていた。


 ついでに、体力も回復してくれたらいいのに、と正義は心の中でブーイング。

女神官の回復魔法はそうだった。


 体力はそのままで、傷だけを治す。多分、そちらの方が高度だ。


 本当にこの男、何者なんだ?


 正義は恨みの籠った目で、ケーンを見上げる。



「ケーン、お前の回復魔法、神聖魔法なのか?」

 正義はそう聞いてみる。


「違うね。闇魔法だ。

一般に知られている回復魔法は三通り。

神聖魔法、水属性の魔法、エルフの回復魔法。

一番強力なのが神聖魔法。

それはおなじみだろ?

聖神女か光の神殿関係者しか、使えないことになってる。

俺は使えるけどね。

水属性やエルフの魔法は、即効性がない。

一部高位魔族や俺が使う闇魔法は、神聖魔法に匹敵する。

少々内臓や脳が傷んで死んでも、お花畑から引きずり返す。

お花畑、すてきなところだぞ。

いっぺん死んでみる?」


 なんだよ! そのサディスティックな微笑!


 お前は地獄少年か!


正義は、がっくりとうなだれた。



神聖魔法も闇魔法も使える? いわば水と油が、きれいに混じっている? 

いや、それはありえない。分離したままで使い分けるんだ?


正義は、いよいよケーンの正体が、わからなくなった。


「ケーン、マジで答えてくれ。

お前、何者なんだ?」


「俺は夜の女王の息子。

父ちゃんは、元勇者のケンイチだ」


 正義は納得した。噂にしか聞かない夜の女王。その息子なら、得体のしれないケーンの能力も納得できる。


「どうして俺に肩入れする?」

 正義は、どうしても納得できない疑問をぶつける。


夜の女王は、人族や魔族も不可侵の存在である反面、永世中立を守っていると聞いている。


「身内へのえこひいきは許される。

ヒカリちゃんが、俺の嫁だからだよ」

 

「ヒカリちゃん? 光の女神様のこと?」

 正義は、以前ケーンが、光の女神に依頼されたと聞いていた。教会かシャドーを通してだろうと、聞き流していた。


 嫁? どういうこと?


 光の女神様は、純精神体のはず。天上界では、まぶしすぎてよく見えなかったけど。


正義には理解不能だった。



とりあえず正義は理解した。


ケーン、とてつもなく変なやつ!


ケーンの指導、男と女ではまるっきり待遇が違います。正確には「女」でも「嫁」という条件ですが。嫁の柔肌、傷一つでもつけたくないのがケーンです。

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