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勇者二世嫁探しの旅  作者: 猫又にゃん
91/116

91 合コン、やろうぜ!

ケーンは、正義を誘い、以前助けた女冒険者たちと合コンを開催します。

「セイギクンの、ちょっといいとこ見てみたい!

イッキ、イッキ、イッキ、イッキ!」

 ギルド直営お食事処。ケーンは、例の女冒険者たちと合コンをしつらえた。

 正義も、いやいやを装って参加。地球の日本では「アルハラ」そのもののノリで、ケーンは正義をあおる。


「正義、飲みま~~~す!」

 ごく、ごく、ごく……。正義はジョッキになみなみと注がれたワインをあおる。


 正義は地球年齢で三十歳のとき召喚された。


男子高出身の柔道部、体育大学で全日本選手権個人の部優勝。交番勤務を経て、所轄のマル暴担当部署に配属。つまり、ガチ体育会系のエリート?コースを歩んできた。

コンパに臨んだら、アルハラ・パワハラどんとこいの経験値を積んでいた。

 ましてや、彼女いない歴三十年。海千山千の女冒険者たちでも女は女。


 つまり、舞い上がって調子に乗り切っていた。


ワイン程度のアルコール度数なら、光の女神が改造した肉体だから、どうってことはない。


「きゃ~! すてき~~~!」

 女冒険者たちは、嬌声をあげる。女冒険者たちからしたら、正義は、恩義のあるケーンの連れだ。

それに、最高級ポーションセットを、それぞれ一ダースわいろにもらっている。


 正義はお堅すぎて面白みに欠けていたが、しだいに、いい感じにこなれてきた。

 つまみ食いならいいかも、とは、女冒険者たちの感想。


「おみごと~~~!

次はポッ〇ーゲーム、やっちゃう?」


「ポ〇キーゲーム?」

 女冒険者たちは、好奇心の目をケーンに注ぐ。


 正義はごくりと唾を飲み込む。あの禁断のゲームじゃないか!


「じゃ、じゃ~ん!

細くこんがり焼かれたプレッツェルに、チョコを優しくコーティング!

試食してみる?」

 ケーンが持つワイングラスには、某有名菓子(もう某と言えないかもしれないが)が。女冒険者たちは一本ずつ抜いて、カリ!


「おいし~~~!

これ、どうするの?」

 リーダーが、ケーンに聞く。


「よし、やってみよう。

マリンちゃん、ポッキ〇、の端をくわえて」

 ケーンは、一番のお気に入りマリンちゃんを指名。おっぱいは「ワリンちゃん」だけど。


「うん」

 おっぱいはワリンちゃんのマリンちゃんは、指示通り端をくわえる。


「同時に食べる!」

 ケーンはマリンちゃんの頭を両手で包み……。かり、かり、かり……。


 ちょぴり、ちゅっ!


「きゃ~! チューされちゃった!」

 マリンちゃんは、両手で頬を包み、白々しく叫ぶ。


 正義は思う。ケーン、お前、日本生まれだろ! しかも、憎むべきリア充属性だ!



 翌朝。


 正義はケーンが取った、最高級の宿で目を覚ました。


 ダブルベッドの上では、二人の女冒険者が、まだ眠っている。隣のセミダブルにも二人。

もちろん皆さん裸だ。


 正義は、ぼ~っとした頭で思う。どうしてこうなった?


 ご想像通り、正義は四人の女冒険者に筆おろしされた。腰が抜けるほど筆おろしされた。筆が折れるのではないかと思うほど、おろされた。


 正義は、ケーンが四人のうちの誰かを、お持ち帰りすると想像していた。


 正義が、四人にお持ち帰りされた。


 抵抗できなかった。


 よかった……。死ぬほどよかった。


 正義は思う。俺の人生、あいつに変えられちゃったかな?


 少なくとも、これだけは身に染みてわかった。女は決して弱い生き物じゃない。



 正義は四人の女冒険者と共に、一階へ降りた。


正義が、若干落胆したのは、彼女たちが実にケロッとしていることだった。


 ゆうべはあんなに燃えたのに……。


「セイギ、ゆうべは楽しかった。

またな」

 リーダーが、正義のほっぺたにちゅっ!


「気が向いたら、エッチしよう」

 ちゅっと、おっぱいはワリンちゃんのマリンちゃん。


「あのさ、俺を君たちのパーティに……」

 正義がそう言いかけたところ、リーダーは首を振ってこう答えた。


「ケーンが教えてくれた。

あんた、勇者なんだろ?

私たちは勇者と、パーティを組める器じゃない。

じゃ!」

 リーダーはメンバーを促し、宿を出て行った。



 正義が呆然と見送っていると……、背後から肩を叩かれた。


「正義、ダンジョンへ行くぞ。

クオークは、まだお前には早い」

 正義はうなずいた。一週間、こいつのペースに巻き込まれてみるか。


セイギクンは、バリバリの硬派でした。心ならずも。

人間は、一度固まった自分のカラーを、なかなか打ち破れないものです。

たとえば、ヤンキーカラーになじんでしまったら、優等生を装うことはできません。

逆に、優等生は優等生のカラーに行動を縛られます。

正義は、ケーンが不器用な硬派カラーを破ってくれるのでは、と直感したわけです。

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