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勇者二世嫁探しの旅  作者: 猫又にゃん
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69 チームポチの反省会

ケーンはパーティにアドバイスを残し、家へ帰ります。

残りのメンバーは、今後の方針について話し合います。

夕食後の反省会。


 ケーンは、偉そうに腕を組んで、おもむろに口を開いた。


「事前に実戦の準備をしておけと注意されてた。

ダンジョンにもぐる可能性まで、考えておく必要があったんじゃないの? 

少なくとも、ダンジョンにもぐると言われたとき、昼食の準備を考えるべきだった」


ケーンはその言葉を残し、キキョウにお仕置きをするため、宿舎を抜けた。


なんかお師匠様気分! ケーンは、二人の師匠に、しごき抜かれたうっぷんが、少し晴れた。


人に何か教えるって、気持ちいい。


夕食後は完全に自由時間だ。宿舎に例のテントを張るわけにいかないし、備えられた固いベッドでは、安眠できそうにない。

それに、超楽しいお仕置きが待ってるし!


 ケーンはスキップで、帰路を急いだ。



 残されたチームポチのメンバーは、反省会を続けた。


ケーンにとっては、常識以前のアドバイスだったが、残されたメンバーは、ケーンの言葉を重く受け止めた。


自分たちの甘さと、戦いに備えることの重要性について、深く学べた。


この寺小屋では、生き延びるため、一人一人が主体的に考えることが必要なのだ。


今日は完全にポチ様々だった。


「昼食や飲み水のことを考えてなかったのも、大きなミスだったとは思う。

それ以上に、矢が心細くなったのは、なんとかしないと。

ウチは弓使いが二人もいるし。

半分は回収できたけど、残りは使い物にならなかった。

矢が無くなったら、火力はとたんに落ちる」

 アリスが反省の弁を述べた。残りのメンバーは、こくこくとうなずく。


「矢は結構高いし。

パーティみんなでお金集めようか?

矢壺を買って、弓使い以外も予備の矢を運んだら?

なんといっても、中長距離火力は捨てがたいし、ウチの大きな強みだと思う」

 槍使いのミントが提案する。


「賛成」

 と、メンバーは異口同音に応える。


「ポチ、バッグの中から色々出してたよな?

あれってもしかして……」

 ダンが口を開いた。


「魔法のバッグかもね……。

先祖伝来の。

だけど、ポチに頼りすぎるのはやめよう」

 アリスの言葉に、メンバーは首肯した。



 ケーンはキキョウの家に帰り、さっそく二人で部屋にこもった。


「あれほど言われてたのに、ごめんなさい」

 キキョウは、いきなり深く頭を下げた。


「罰を与える」

 ケーンは厳しい表情を作って言った。


「いかような罰もお受けします」

 キキョウは、頭を下げたまま言った。


「いいかげん、『様』づけはやめようか。

キキョウは俺の正妻であって、従僕じゃない。

ケーンと呼んでごらん」


「ケーンさ……」


「キキョウ、大好きだよ。

心配性の正妻の権利だ。

好きに行動するといい」


「ケーン様!」

 キキョウはケーンの腕の中に飛び込んだ。


ケーンは、きつく抱きしめる。


余分な脂肪が一切ない、キキョウの体をすべてさらす。中パイはもちろん余分じゃない。


ケーンは、念入りなお仕置きにとりかかった。


キキョウの肉体は変幻自在。関節は信じられないほど柔らかく、筋肉もタフだ。

あんなことも、こんなことも……。


超楽しいんですけど!


ケーンとキキョウは、数時間お仕置きタイムを楽しんだ。



「あっ、虚飾の兜……。

ずっとカブットくわけにいかないし」

 お仕置きの余韻さめやらぬケーンは、がばっと起き上がった。


兜の欠点に気づき、対策を講じるのも、帰宅の理由だった。


あの兜、やたら重いし、頭がむれる。何か小物に機能を付与しよう。



命に関わらないレベルでは、案外抜けているケーンだった。


ちなみに、こてこてギャグの小手は、初陣パーティの肩の力を抜くのに、大いに役立った。

まだケーンに、その後遺症は残っていたが。



 ケーンがお仕置きにいそしんでいたころ…、


「ポチって本当に初心者? 

ベテランの冒険者みたい」


「だけど、動きはとろいよ」


「だけどだけど、結果的に傷一つ負わず、魔物を倒してる」


「だよね~……。

私たちが一対一で戦えるよう、余った敵は全部倒したし」


「よくわかんないけどさ、超お買い得物件?」

 チームポチのナーラとミントは、女子部屋でケーンの講評に余念がなかった。



「あんたたち、体を休めるのも冒険者の仕事だよ。

明日もキツイはずだから、さっさと寝ちゃおう」

 二人の風向きが怪しい。それがおもしろくないアリスは、注意を与えた。


「だよね~。朝も早いし、寝ようか」


「うん」

 二人は毛布をかぶって、すぐに寝息をたて始めた。実際心と体は超疲れていたから。



アリスは寝返りを打ちながら考えていた。


ポチ、どこへ出かけたのだろう? 


ひょっとして、娼館? 

ポチだけは疲れが見えなかったし……。


まあ、それも男の甲斐性だ。気にしない気にしない。


でもでも、ポチは経験者だろうか? 


経験者なんだろうな……。初対面の女の子に対して、変に構えたところがなかった。

バトルロイヤルでも、男女にかかわらず剣を振るった。まあ、峰打ちだったけど。


あのげんこつも痛かった。目から火花が飛んだ。


痛かったけど…、あれはケーンの思いやりだ。多分……。



ケーンは厳しいけど優しい。…多分。


ケーンと、ずっとパーティが組めたらいいな……。


そのうち、あれやこれやがあって、……お嫁さんになったりして!


そしたら、毎晩あれやこれや? 


きゃ~~~! 


恥ずかしい!


ベッドの中で身もだえながらも、いつしか深い眠りに落ちたアリスだった。



 翌朝。


「ポチ、ゆうべはどこで泊ったんだ?」

 ジャイアンが、男子部屋に帰ってきたケーンに聞く。


「これに決まってるだろ?」

 ケーンは薄く笑って小指を立てた。


「娼婦買える金持ってんの!」


 ジャイアンは憤慨して言う。


「ちっげ~よ。

娼婦買ったことなんてない。

嫁の家だよ」


「嫁もちだってぇー!」

 男子部屋に四人の絶叫が響いた。


人に何か教えるって、気分がいいものです。

先輩風を吹かすケーンは、鼻持ちならない感じですが、どうか責めないでください。

彼は二人の師匠に虐げられて生きてきたのです。

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