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勇者二世嫁探しの旅  作者: 猫又にゃん
65/116

65 青春! 冒険者寺子屋へ行こう!

ケーンは、「なろう的チーレム小説」のテンプレ、学園で青春しよう! 作戦を実行に移しましたが……。

 ライラック、光の神殿分院。分院最高責任者ミハエル・オドヌス大司教は頭を抱えていた。


二週間前、光の女神から神託があった。


『分院に冒険者志望者のための寺小屋を作りなさい』


なんでやねん、と心の中で愚痴るものの、女神の神託は絶対だ。

取り急ぎ聖騎士訓練施設の一部を改装し、宿泊施設兼教室は確保している。



「オドヌス大司教。

元勇者パーティのメアリー様と、リンダ様が面会を求めておられます」

 彼の秘書を務める神官が、ドアの外でそう告げた。


「お通ししろ」

 アポはあったので、司教は面会を許可した。


ほどなくメアリーとリンダが、大司教の執務室を訪ねた。


「お久しぶりです。長らくのお勤め、ごくろうさまでした」

 大司教は如才のない笑顔で、二人の労をねぎらう。


「お久しぶりでございます。

これといった功績は挙げられませんでしたが、期間だけは長く勤めました。

そろそろ後進を育てる年かとも思います。

なにより、光の女神様のお導き。

精一杯努めますので、ご協力のほど、よろしくお願いいたします」

 メアリーは当たり障りなく応える。


「もちろんです。

もちろんですが、なにゆえ女神様は、ライラックをお選びになったのか……」


「ご存じだとは思いますが、わたくしの力では、詳しい神託を受けられません。

多分、ライラック城外に、初心者向けの森があって、そこにチュートリアルダンジョンが生まれたからでしょう。

貴族や富裕階層の教育は充実しておりますが、成り上がりたい一般庶民にも、対魔王戦への機会を与える。

女神様の意気込みがうかがえます」


「ですか……」

 大司教はあきらめ顔で言う。


「ですね。さっそく寺小屋入門生募集の手筈てはずのほど、よろしくお願いします」


 メンドクセー、と思いながらも、大司教は「お任せ下さい」と、メアリーに応えるしかなかった。



 ケーンは不機嫌な表情で、装備を身につけた。


一見超カッコよく見える。


だが、すべて呪いの魔道具で固められている。


堕落の革鎧・虚飾の革兜・こてこてギャグの小手・運動オンチのブーツ・博愛の剣。


トータルで筋力・体力・魔力・敏捷性・知力・精神力九割削減のバッドステータスをもたらす。


現状維持は器用さだけだ。もっとも、それらは自らが選んだ装備であり、不機嫌の原因ではない。



「美女美少女限定って、注文付けたのに……、ぶつぶつ、ぶつぶつ……」


「まあそう言いなや。

考えてみたらあんた、男友達、一人もおらんやろ? 

男の友情も青春やで」

 ユリが半笑いでケーンを慰める。


「現実問題として、入門希望者の八割が男性だったですから。

これでも頑張って、半分は女性をねじこみました。

容姿は……磨けば光る可能性も、なきにしもあらず…かもしれません」

 入門者選考委員の責任者、キキョウがケーンから目をそらして言う。


「ごめんなさい。

美女美少女限定の条件、教会側はどうしても納得してくれませんでした」

 テレサは一応教会側に主張してみた。


「女性比率が極端に高いこの世界において、女性の働き方改革は、ぜひとも必要です」


一応筋は通っているので、教会はしぶしぶ男女比率均等を認めた。


「わかってますぅ~。

継続的に有能な若者を効率よく集めるには、教会の信用に頼るのが一番。

いってくるか~!」

 言い出しっぺは自分。


半年はヤローどもと青春する!…しかない。 


気分を改め、入寺子屋式に向かうケーンだった。


ちなみに、美女美少女と青春しようプランは、写真付き合格者名簿を一瞥してあきらめた。


お気づきかもしれませんが、主人公は頑張ってテンプレに則った行動をするのですが、その努力は空回りしてしまいます。

ところが、努力と全く関わらない要因で、ハーレム自体は実現してしまうといった感じです。

何度か触れましたが、猫又は「少年ジャンプ」が嫌いです。

ジャンプ三原則というものがあるそうです。「友情・努力・達成(成功?)」だったでしょうか?

この作品は、その三原則の真逆をいこうというのが、コンセプトです。

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