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その7
(大事な事だから二度言ったのか?)
そんなのはどうでもいいと自分自身に突っ込んだところで恭平は自宅のあるタワーマンションに着く。
フゥ……
独りで高層階用エレベーターに乗り、カウントアップの表示を眺めながら恭平はため息を漏らす。
真奈とセフレになるかどうかの答えは今夜伝える約束だ。
それは真奈が部屋を出て行く時に「約束よ」と一方的に告げた為で恭平の意思ではない。
(真奈の口からあんな言葉が出たなんて信じられない。病的なものか? それとも他になにか?)
恭平は色々考えを巡らせる。
(それにしても)
セック◯が好きと言い切るなんて、真奈はそれ程の経験をしているのか?
(彼氏がいるなんて全然わからなかった)
恭平はあらためて義姉弟関係の薄さに気づいた。