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私立「聖・百合女学院」  作者: カイリ
5/5

5.初めての友達

その日の夕ご飯は遥香ちゃんと一緒だった。


私がこのハウスに入ってから初めて誰かと一緒に食べるご飯。


徐々にグループができ始めてるのを眺めながら、私はいつもひとりでご飯を食べていたのだ。


実は遥香ちゃんとは部屋も隣同士である。


これも名前の順で部屋番号が割り振られているからだ。


今日の夕ご飯はカフェテリアという名前にふさわしく洋食だった。


遥香ちゃんは慣れた手つきで丁寧にナイフとフォークを使いながらお肉を口に運んでいる。


あぁ、やっぱりお嬢様なのかなぁ?


と思いながら私は付け合わせの野菜を食べていた。


別に私の家庭は決して貧乏なわけではない。


いたって普通の家庭である。


でもこの百合女には圧倒的に上品で育ちの良さそうな雰囲気の子が多い。


そう考えると急にホームシックになってきた。


「私、生徒会入ってみようかな」


と、遥香ちゃんが少し恥ずかしそうに切り出した。


「遥香ちゃん、生徒会似合いそうだよね。」


私の中で生徒会のイメージは完全に神咲先輩だった。


だからなんとなく気品があって清楚な雰囲気の子が似合う会だと思う。


楠木くすのき先輩、素敵じゃなかった?」


遥香ちゃんが突然聞いたことのない先輩の名前を出した。


「楠木先輩…?」


私は首をかしげた。


「今日オリエンテーションでずっと説明してくれてた先輩だよ。」


遥香ちゃんがちょっと呆れた口調でそう言った。


「あぁ…楠木先輩って言うんだ。名前聞き逃しちゃった。」


私が神咲先輩に見とれてあっけに取られているうちに、きっと自己紹介があったのだろう。


楠木先輩もたしかに素敵な人だった。


フチのあるメガネをかけた賢そうな優等生風で、なおかつかなりの美人であった。


「私も神咲先輩が素敵だなぁと思った。」


楠木先輩も素敵だったが、私の中では神咲先輩が圧倒的にそれを凌駕していた。


「あぁ生徒会長の先輩ね。かっこよかったね。ちょっと怖そうだったけど。」


たしかにあの気品とオーラは怖そうともとれる。


「私、鈴音ちゃんがいてくれてよかった。」


突然遥香ちゃんが私の方をまっすぐ見てそう言った。


「へ?」


私は驚いて声にもならない変な声をあげた。


「鈴音ちゃんと話すまでほとんど誰とも喋ってなかったんだ。今日勇気出して声かけてみてよかった。」


遥香ちゃんが安心したように微笑んでいる。


私の方こそだよ、遥香ちゃん。


私も遥香ちゃん以外の子と全然喋ってなかったんだから。


じわっと目頭が熱くなった。


「遥香ちゃん、これからもよろしくね。」

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