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私立「聖・百合女学院」  作者: カイリ
2/5

2.憧れの百合女生活スタート

寮生活のいいところはギリギリまで寝てられるところ。


朝のHRは8時半からなので、寮の朝ご飯の時間は7時から8時の間。


私は7時半に起きて部屋着のまま食堂に向かった。


食堂ではなくここではカフェテリアと呼ぶらしい。


ちなみに寮のことはハウスらしい。


なんだか慣れない。


ということで私はカフェテリアに割とギリギリの時間に朝ご飯を食べに行った。


ハウスは学年ごとに分かれているので、ここには私と同じ1年生しか暮らしていない。


もうすでに制服に着替えている子、私と同じように部屋着のままの子、半々くらいだった。


私が入寮したのは入学式の前日の夕方、つまり一昨日の夕方だ。


なのでここでの朝ご飯はこれで二回目。


ハウスだのカフェテリアだの言ってるから、ゴリゴリの洋食しか出てこないのかと思っていたら、今日は意外にも普通の和食だった。


白いご飯が食べられる幸せを噛み締めながら周りを見わたしていると、少しずつ生徒たちでグループができ始めているではないか。 


しまった、完全に出遅れてる。


私は人見知りなので自分から声をかけていくなんてことはとてもできない。


いつも誘われるのを待つタイプの人間だ。


まぁまだ2日目だし。


と、自分の心に言い聞かせてお味噌汁をすする。


などとのんびりしていたらもう8時になろうとしていた。


私は残りのご飯を急いでかき込み自分の部屋に戻った。


部屋着から制服に着替える。


忘れていた。


そうだった。


間違えて一度着ようとしたキャミソールを脱ぎ、そのままセーラー服を着た。


本当になんなんだろうこの校則。


あらためて私は"聖なる掟"について頭を悩まされていた。


百合女のスカートは一般的なものより短めに作られている。


よくみんながスカート丈を短く見せるために腰の部分を巻いたりしているが、ここの制服はその必要がないくらいもともと短い。


これも女性としての美しさを保つためなのか。


謎多き百合女。


私はなんとなく落ち着かない気持ちでハウスを出た。


外に出るとなんとなくどころかかなり落ち着かなかった。


やっぱり上も下もスースーして気持ち悪い。


でもみんながそうなんだったら、もう諦めるしかないのか。


私ひとりだけなら嫌だけど、郷に入っては郷に従えと言うやつだ。


HRが始まるギリギリに教室につくと、すぐに担任の日比野先生が入ってきた。


「今日の1限2限はオリエンテーションです。みなさんすぐに講堂へ向かうように。以上です。」


相変わらず冷たく無表情な先生はそれだけ告げるとすぐに教室を出て行ってしまった。


講堂に向かう途中ふと思った。


よくわからない規則や厳しそうな先生もいるけど、なんだかんだ言ってやっぱり私が憧れていた学園生活だ。


敷地内はどこもオシャレだし、これが私の求めていたものである。


憧れの百合女に入学できて幸せ。


私は講堂のフカフカの椅子に座り、オリエンテーションの始まりを待っていた。


時間になると一人の生徒が舞台袖から姿をあらわした。


その瞬間、まるで全ての時が止まっているように感じた。


腰の辺りまでまっすぐにのびた美しく輝く黒髪。


アニメでしか見たことのないような細くて長い脚。


凛とした瞳にキリっと鼻筋の通った色白の小さな顔。


私は息をするのも忘れるくらい、そのひとりの生徒に目を奪われていた。


「みなさん、ご入学おめでとうございます。生徒会長の神咲かんざきみやこです。」

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