とりあえず埋めよう。
ざくざくと土を掘っていく。
この子供の体には結構きつい。
畑予定だったのか、畑だったのか土が掘り起こされて柔らかくなっていた場所があったので
少しは掘りやすい。
獣に掘り起こされない深さはどの程度だったか。
目を覚ましてから、一通り周辺を確かめてみた所、周辺に人の気配はなかった。
死体の女性がいた部屋と、他に二部屋ほどあり、一つは子供部屋、もう一つは食卓だった。
外に出ると家の周りは、森に囲まれておりかろうじて道といえるような箇所が一つ森の奥に続いているだけで、他に道はなかった。
「疲れた!一旦休憩!」
誰ともなく叫ぶと、家の近くにあった井戸で水を汲んで飲む。
手を洗って、家の中に入ると壺に入っている塩をひとなめ。
食卓を通って女性の死体がある部屋へ向かい椅子に座る。
「謎だな。」
目を覚ましてから状況把握のためにうろちょろし、そこらにある道具や食料を確認してまわった。
道具は木製のものが多く、塩などの食料は壺にはいっている。
冷蔵庫などの家電製品は一切なく、もちろん自分の好きな冷食(冷凍食品)もない。
愛用していたタッパー等の文明の利器(プラスチック製品)もない。
天井をみても当然蛍光灯はない。
自分の手のひらをみつめても子供の小さい手があるだけだ。
状況も状態も謎だらけ、目を前にむければ相変わらずの綺麗な女性(死体)があるだけ。
顔立ちは西洋風で銀色の長い髪が少し顔にかかっている。
髪を整えてあげようと、椅子に座ったままでは顔に手が届かなかったのでベッドによじ登って、
髪を払いのけようと手がわずかに女性の顔に触れた時、
「お母さん・・・。」
思わず部屋の周りを見回す。
自分以外いない。
それに目が覚めてから聞いていた自分の声だった。
「え?」
発するつもりも無く呟かれた自分の声に驚きながら、
「なんじこりゃー」
と混乱の中本日二度目の絶叫をした。