第5話『娘、必殺技を放つ』
最近、娘の身体からオーラのようなモノが出ている場面に遭遇することが多くなってきた。清月に聞けば「ヨガの体操術だ」と教えてくれた。ヨガって、グネグネぇ~!と身体を柔らかくするだけじゃないのね。あと、実子から睦月との関係が発展していない事を相談された。やっぱり、睦月の鈍いところは清月に似たのね。
「クククッ、私は貴様を越えたのだッ!」
「くっそおぉぉ!?なんなのだッ!その迸るような『生命力』はァ!!」
壁際まで追いやられている実子から焦ったような台詞を吐き出し、擬態を解除した甲殻類の脚を模した様な四本の腕を葉月へと叩き付けるが、虫を払い除けるかのように容易く打ち落とされた。
「お袋、姉ちゃんが人外の領域に片足突っ込んでんだけど。どうすんの?」
「頑張れ、男の子!」
「えっ、俺が止めんの?」
「「オリャアァァァァッ!!」」
母親の役目は見守ること。さあ、行くのです。あの正妻戦争に止められるのは貴方だけなのだからっ!
「止めんかァ!!」
怒鳴り声の所為か。リビングがビリビリと震えた様な気がする。…あ、清月ったら帰ってたのね。
「お帰りなさい。ご飯にします?」
「ただいま。ご飯より先に、御説教を済ませるよ」
「ぱ、パパン。おきゃえり!」
「お義父さま、お帰りなさい」
「親父…帰ってたのか」
その後、九時半まで清月の説教と怒鳴り声によって食卓を囲むことは無く。延々と葉月と実子の啜り泣く声が聞こえてきた。悪いことをした時は謝らないとダメよ?
「止めなかった銀之丞も悪いからな?」
「か、顔が怖いわよ?」
お父さんからすればお母さんも同罪のようです。怒られるならキチンと止めれば良かったわ。
『究極完全形態ヨガ秘術』
生命力を膨張させるヨガの様な秘術。偶然なのか、必然なのか。葉月が清月の本棚から発掘した古い書物。この秘術を使用すると「熱暴走を起こす」ため、注意が必要である。




