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村雲銀之丞の混沌的な日常系神話。  作者: タニシタタミ
凶月編
28/40

第28話『渦を成す牙』


血の雫を垂れ流しながら人気の無い場所へと走り続けていると背後から腹の底に響いてくる靴音が近付いてくるのが分かる。神様だろうと悪魔だろうとヨグ=ソトースからは逃げることは出来ない。恐怖を刻み込まれた状態では戦うどころではない。


なんとか稲梓区廃工場跡地に逃げ込む事は出来た。残る仕事は…ヨグ=ソトースから「姉ちゃんだけ」でも逃がすことだ。俺が食い止めないとイケない。女の子を助けられた挙げ句、見捨てて逃げたら親父達に殺されるぜ。


【AL-HAZARD-LION】


アルハザードから軽快な電子音声ではなく重低音の音声が流れてくる最中、空間を噛み砕いて現れた黄金色の獅子によって俺は喰われた(・・・・)


「アルハザード、正念場ってヤツだ。気張れよ?」


【マスターとの付き合いは短くも長かった。意外と快適で楽しかったぜ?】


「姉ちゃん、絶対に勝つぞ」


「当たり前の事で、当然なこと!」


「何とも物寂しい場所だな。まあ、お前達の墓標には最適だな」


姉ちゃんと俺の間に現れたヨグ=ソトースの腹に蹴りと拳を叩き込み、腕を突き出す様に構える。


「……銀色は先程より遅くなったな。金色は一撃が重くなった。戦いの中で強くなっている、ということか?」


ヨグ=ソトースは「玩具」を貰った子供の様に興味深そうな視線を向けて来ており、動きの一つ一つを覚えられている様な気がしてくる。脹脛と足の裏から吹き出したエネルギー物質を、そのままヨグ=ソトースの胸に打ち込んだ瞬間、ヨグ=ソトースから赤色と緑色のオーラが噴き出した。


流れ落ちる儚き雫(ディラック・シー)ッ!!】


受け入れろ(センメルヴ)、これが現実だ(ェイス・フィーバー)アァァ!!】


「まだだぁ!!」


弾き鳴らす大津波オーシャニック・バンプッ!!】


オーラによって吹き飛ばされた姉ちゃんと俺は、立ち上がりとほぼ同時に叩き上げる様に左拳と右拳をヨグ=ソトースに叩き込むと姉ちゃんの両足に左右逆回転に渦を成したエネルギー物質を纏わせ、宙を舞うヨグ=ソトースへとドロップキックを叩き込んだ。俺にも蹴り技が有るならイケる筈だっ!


咬み砕く獅子の牙(ライオニック・バイツ)ッ!!】


「オオォルアァァ!!」


落ちてくるヨグ=ソトースへと俺は両足に黄金色のエネルギー物質を纏ったまま、上下から咬み砕く様にキックを浴びせた瞬間、ヨグ=ソトースが爆発した。





『咬み砕く獅子の牙』


通称「ライオニック・バイツ」。牙の形状に変わった黄金色のエネルギー物質を纏った両足を上下から叩き込んで、対象を喰らう様に破壊する。



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