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村雲銀之丞の混沌的な日常系神話。  作者: タニシタタミ
凶月編
26/40

第26話『禁忌の猛虎』


轟音を立てるばかりの拳をヨグ=ソトースへと振り回し続ける。攻撃を当てるどころか掠り傷を付けることすら出来ていない。それどころか、俺の動きを観察しているような視線を向けてくる。気が付けば身体中の装甲を砕かれており、裂かれた皮膚から血飛沫が舞い落ちる。


「グッ、ウゥルアァァ!」


装甲の修復より攻撃を優先する。右拳を振るい、左の廻し蹴りを放つ。当たらない、当たらない、当たらないッ!!霧みたいに消えるヨグ=ソトースに何度も拳を振るう。


最早、アイツは腕すら上げていない。ガードもしていない、攻撃もしていない。惨めで滑稽なピエロと変わらねぇじゃねぇかよっ。もっと、もっとだ。お前の力を俺に流し込めろ!!こいつをブッ倒すんだろうがッ!


【え、エネルギーが吸われてえぇ!!】


「ほぅ、アルハザードから力を吸い上げているのか。破天荒な小僧だ」


「喰らいやがれエェェ!」


渾身の、全力の、全部を込めた一撃を軽々と避けやがる。もう、立つことすら出来ねぇのに一発も掠りゃしねぇ。


弾き鳴らす大津波オーシャニック・バンプッ!!】


「うりゃあぁぁぁ!!」


流れ星を彷彿とさせる虎を模した銀装飾の戦士が壁を突き破り、ヨグ=ソトースと俺の間にキックを叩き込んで積もっていた埃やゴミを爆発させやがった。


「ごほっ、ごへぇっ!」


「くっ、目にゴミが入ったぞ!?」


「気色悪い触手男、ムッ君から離れやがれ!!」


ムッ君。そんなアダ名を付けて俺の事を呼ぶのは一人しか居ねぇ。いちゃイケねぇんだ。だから、不甲斐ねぇ姿じゃ格好付かねえんだよ。そーだよなぁ?


「姉ちゃん!!」


「ムッ君、この通り。お姉ちゃんは生きてるぜ!」


「その格好、説明してくれよなぁ?」


姉ちゃんが隣にいる。ヨグ=ソトースだろうがヨーグルトだろうが関係ねェ。──俺はコイツをブッ飛ばす。


「あ、この鎧は地下室で見つけた【水神クタアト】っていう本を触ったら変身できた!」


「姉ちゃん、見ない間に御都合主義の塊みたいな存在になってねぇか?」


「えっ、嘘だよね!?」





固有名:水神クタアト


村雲葉月に仕える魔導書。天候や水害を引き起こす事が出来る他、強力な全身甲冑を召喚する事が出来る。セラエノ断章やアルハザードのランプよりも高性能である。


『弾き鳴らす大津波』


通称「オーシャニック・バンプ」。激しく渦を成したエネルギーを纏わせた両足によるキックを叩き込む事で対象を粉々に叩き潰す。簡単に言えばドロップキック。



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