第25話『危険な相乗り』
風化して今にも壊れそうな廃屋の地面の中から姉ちゃんの生命反応が見えた。地下室に閉じ込められているとか密閉された物に入れられているとか。もう、知らない。俺は姉ちゃんを苦しめた奴をブッ殺す。死んでも魂を消し炭にしてやる。
「ほぉ、物珍しい奴を飼っているな。いや、引っ付いているな」
興味深そうに気色の悪い笑みを浮かべながら、俺の右手を凝視するウザったい変態野郎へと歩み寄り、腹から切り裂くように鉤籠手を叩き込もうとした瞬間、睦月の纏っていた甲冑の胸郭が何の前触れもなく砕け散った。
「グッ、ガァ!?」
「動くことを許可した覚えはない」
【マスター、早く逃げろ。コイツ、コイツはヨグ=ソトースだッ!!】
砕けた胸の装甲を右手で隠すように押さえ付けながら、アルハザードの言葉を心の中で復唱する。まあ、それでも目の前に立っている、気に食わない奴の名前は「ヨグ=ソトース」という事が分かった。
「ヨーグルトだか何だか知らねぇがな。俺の姉ちゃんを拐った奴は赦さねぇンだよォ!!」
「何故、人間に赦しを乞わねば為らない?不思議な事を口にする小僧だな」
「アルハザードオオォ!!テメーの全力を俺に送り込めッ!!この気に食わねぇ奴をブッ倒すぞ!」
【ハ、ハハッ!あの『窮極の邪神』に喧嘩を売ってのか?上等じゃねぇか!!アタシとマスターで倒してやる!!】
吹っ切れたのか。胸郭の装甲が復元されていき、鉤籠手が巨大な鉄槌に変形した。今の状態は突き刺すより殴り砕くことに特化しているってことだな。俺の拳をヨーグルトに叩き込んで、姉ちゃんを助けンだッ!!
名前:ヨグ=ソトース
『窮極の邪神』『一にして全、全にして一』『無限を体現する者』等の異名を持っており、時空を司る最強の邪神。呼吸するように時を止めたり、時を進めたり、時を戻すことが出来る。勝てる者は存在しない。




