第23話『目覚める危険』
俺の右腕と一体化しているアルハザードのランプというヘンテコな懐中電灯に右手の主導権を奪われ、勉強中であろうと別行動を取り続けている。一応、俺の方が身体の全体的な主導権を握っているため、変なことは出来ない様にしている。最近は、左手で文字を書くことが多くなってきた。
右手の主導権を(もう既に)奪っている様なアルハザードはテレビで放送している特撮物のヒーローにハマっているようだ。時折、右腕から放送しているヒーローの変身音声が流れてくる時がある。
…これ、本当に俺の身体だよな?等と考えることが増えてきた。姉ちゃんや実子は「切除」する方法を探しており、親父やセラは「神話」に詳しい奴を当たっているらしい。お袋は、今まで通りに接してくれているが「俺」が「別人」に為るんじゃないかと不安そうにしている。
【アルハザードの由来は、地球の言葉で言うところの『危険な人工生命』だと思ってるンだが、マスターはどう思う?】
「……そんなもん知るか」
上下左右前後に暴れ回る右手の甲部分からエメラルドのような水晶の一部が出現して、アルハザードが喋れば呼応するように点滅を繰り返している。コイツの本体は、俺と一体化している。水晶を引き剥がそうとすれば出血もする、要するに最悪の同伴者を養うことになった。
【ツレねぇなぁ~!アタシとマスターは一心同体の相棒だロー!】
「ふざけんな。俺はお前を受け入れねぇし、テメーは絶対に身体から弾き出してやるからな!」
【ちぇっ、マスターは嫌でもさ。アタシとマスターは相性抜群なんだせぇ?】
キャハッ。と狂ったような笑い声を上げながら点滅を繰り返している右手の甲に有る水晶をタオルで覆い隠し、現実を否定するように机の上のノートに文字や数式を書き込んでいく。
【マスター、ネーチャンの生命反応が薄いぜ。死ぬんじゃねぇか?】
一瞬、コイツの言っていることが分からなかった。姉ちゃんの生命反応が薄い?姉ちゃんが死ぬ?有り得ない。有り得ない、有り得ない、有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない。ネーチャンが殺す奴は赦さねぇ…!
【アタシを使えば勝てるぜ?】
「テメーの口車に乗る訳じゃねぇ、テメーは俺に従ってろ!!」
【ハハハッ、気に入ったぜ。アタシの全部はヤれねぇけど。八割はくれてやるぜぇ!】
『危険な人工生命/AL-HAZARD』
アルハザードの自称する名称の一つ、「Artificial Life Hazard」の略称。彼女は造られた意味を持っておらず、使ってくれる者を求めている。




