第21話『甘い氷菓』
夏休み最終日。最初の一週間で宿題を済ませていた子供達は、エアコンの効いたリビングでテレビゲームを使って遊んでいる。
最近の子供は外で遊ばないのは何故だろうか?治安が良いとは言えないが遊べないことは無いはずだ。それなのに遊ばないのが不思議で仕方がない。私や清月は公園や川辺で遊んでいた。いえ、これはデートになるわね。
「みんな、アイス食べよぉ~!」
葉月の言葉を聞き付けたのか。ゲームに熱中していた筈の睦月と実子が冷蔵庫の前に移動していた。よく見ると清月も居るではないか。…手元には抹茶味のアイスが置かれており。なんだか満足そうな表情を浮かべている。私は王道の中の王道である、バニラ味を食べようかな。
「セラ、貴女も食べてみる?」
スプーンで掬い上げたアイスをブローチに近付けながら、そう尋ねるとスプーンの上に乗っていたアイスが消えた。今の現象は「一瞬と」「忽然と」という言葉でしか例えられない。
【これは、なんとも冷たい甘味ですね。しかし、とても美味です】
流石のセラでもビックリしているのか、味わって食べている御様子だ。いずれはセラにも人間形態へと成って貰うために頑張らないとダメね。目指せ、セラエノ断章擬人化計画!的なことを清月にも頼もうかしら。
「銀之丞、頬に付着てるぞ」
そう言いながら私の口元に残っていたバニラアイスを指で掬い取り、自分の口の中に指を突っ込んだ。間接的な接吻に当て嵌まる行為だろうか。当て嵌まるといいなぁ…等と考えているとニヤニヤと私達の行動を眺める葉月と気まずそうに目を反らす睦月、勉強になるなと真剣に見ている実子の三人から視線を清月へと移す。気にしている素振りはない。それどころか、何事もなかったかのように抹茶アイスを食べている。
『セラエノ断章擬人化計画』
神話的存在。超常的産物。そんなセラエノ断章を人間形態へと進化させる為の計画である。変わっている考え方というより、変わった考え方と言える。手始めに食事を共にしている。




