第19話『灼熱の境地へと』
昨晩の出来事を忘れ去るため、台所にて野菜を刻んでいると後ろの方から睦月の悲鳴にも似た叫び声が聞こえてきた。コンロの火を消し、汚れている手をエプロンで拭いながら居間へと向かう。──両目に映ったのは、ワンピース姿の女に手足を縄で拘束されたまま、抱き拐われている睦月だった。
「セラアァァッ!」
【防衛機能:邪炎光人起動。唯今より粛清戦術を開始します】
中途半端に装甲を纏ったまま背中と前腕部から炎を放出させ、女の前に回り込むと左腕の放出する炎の威力を上げながら、何度も身体を回しながら強烈な左のパンチを女の腹部に叩き込んだ。
「ブポオォッ!?」
変な悲鳴を上げながら雑木林の中へと吹っ飛んだ女を警戒しつつ、猿轡を銜えさせられていた睦月の手足に巻き付けられた縄を焼き切り、猿轡を外した。
「睦月、大丈夫?」
「お袋、マジで助かった」
「そう。じゃあ、先に帰ってくれない?お母さんはお話を付けてくるから、ね?」
【セラエノ断章第六節重装甲、解禁。これより汝を灼熱の境地へと誘いましょう】
セラの緋色でも茜色でもない。紅色のような紫色の火群が装甲の継ぎ接ぎ部分から噴き出し、装甲を変色させた。今までの技術よりのスピードタイプから防御よりのパワータイプへとフォーム・チェンジを成し遂げた──という事なのだろう。
『セラエノ断章第六節』
より強力な紅紫色の火群を纏った重装甲を召喚する事が記された頁。
『年下好きの八尺様』
元々、子供が好きだった筈なのに。気が付けば男児を追い掛ける変態へと変わっていた。最近では誘拐も厭わない。




