第16話『夫の故郷は』
お盆休みに家族で向かったのは清月の故郷である「蒲生村」という山里。最近では観光客や移住者が増えてきた所為か、人手不足だと言うので手伝うために来たのだ。それにしても真っ白な全身タイツの変態を案山子みたいに放置するのは危険だと思うのだけど。伝えた方がいいのかしら?
「ポポ、ポポポッ、ポポポポポッ」
「なあ、姉ちゃん。この人の言ってること分かる?」
「オーウッ、ニホンゴワカリマセーン。的なヤツじゃないの?」
「成る程、そう言う訳だ。別の人から写真や記念品は貰ってくれ」
竹籠の中で自然の冷水に晒されていたトマトやキュウリを抱えながら、背の高い麦わら帽子を被ったワンピース姿の女性と一緒に葉月と睦月が帰ってきた。…お義母さんのお墓参りのために来たのに、知らない人を連れてくるのはダメだったかしら?
「清月、顔色が悪いけど。大丈夫?」
「あっ、ああ…少し立ち眩みがしただけだ。お前も休んだらどうだ?来てから動きっぱなしだろ?」
「私は平気だけど、実子が倒れそうなのよ」
そう言いながら実子を指差す。縁側に倒れ伏したまま、微動だにしない。背中から生えている羽の擬態を解除しており、自分を扇いでいる以外は問題はないと思う。
「ポポ、ポポポ、ポッ」
「ネーサンも麦茶飲むか?」
「ムッ君っ!私には飲み掛けをくれると元気百倍になるよ!!」
「姉ちゃんは泥でも啜ってろ」
「あぁんっ、そんなぁ~!」
名前:くねくね
村雲清月の故郷に住まう怪異。害鳥避けの案山子として働いており、縁側に置かれた「おむすび」や「漬け物」を食べている。銀之丞からは「真っ白な全身タイツの変態」と思われている。
名前:八尺様
村雲清月の故郷に住まう怪異。織物や漬け物を作ることを手伝ってくれる優しい人(?)。清月の生まれる前から家の近くに家を構えており、銀之丞と結婚した清月から睦月へと鞍替えした様に気に入っている。




