第14話『今日は休んでね?』
昨晩の出来事を思い出そうとするとズキッとコメカミを叩かれたような痛みに襲われ、考える所では無くなっている。所謂、トラウマを押し込めている状態だと思っていいのだろうか。…トラウマに為るような出来事に巻き込まれた覚えが無いんだけどね?
「銀之丞。今日は安静にしていてくれ」
「えっ、でも洗濯や夕御飯の仕度とか…はい」
そんな不安そうな表情で見詰められたら断れないじゃないの。…今日の仕事が無くなってしまったけど。今から何をしようかしら?新婚時代から夢に思っていた二度寝を試そうか。ああ、でも二度寝すると身体に悪いって聞くし、どうしましょう。
仕事に向かう清月を送り出した後、「心配だから休む!」と宣う子供達を叩き出した。心配してくれるのは嬉しいけど。学校には行って欲しい。お弁当は持たせてる。ハンカチは持たせてる。ティッシュも持たせてる。絆創膏は財布の中に入れてあると言っていたし、完璧なんじゃないかしら?
「…この際、趣味でも作ろうかしら?」
【セラエノ断章第八節より覇王樹の繊維糸を用意しました】
「…………えっ、誰か居るの?」
【固有名:セラエノ断章、所持者の胸部に居ます】
石板を模したブローチに記された文字のような彫り物から声が出てくる度に緋色の光が放たれている。…遊園地のお土産は進んでいるようだ。
「あらあら、最近のブローチは喋るのね。どういう仕組みなのかしら?」
【それは全章に書き記されています。私は防衛機能に特化した断章です。如何なる手段を用いようと所持者への攻撃は防いで見せましょう】
「頼もしいわねぇ~っ、それと『セラエノ断章』って呼びにくいから『セラ』で良いかしら?」
【問題ありません。固有名:セラエノ断章。これよりセラとお呼びください】
ふふっ、皆が帰ってきた時にでも見せてあげましょうか?きっとビックリして腰を抜かすわねぇ。
固有名:セラエノ断章
通称「セラ」。銀之丞に仕える魔導書で「火」「光」を司っており、並大抵の化け物では歯が立たない。コスチュームへの換装は「任意」と「自動」の二つ。本体である全章の事を絶対的なモノとして崇拝している。
『セラエノ断章第八節』
日常生活で使える素材から神話的な生活を送れる素材を格納する文章が記された頁。




