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ガラス玉

作者: 海月 くらげ

 きっと私は透明人間だ。

 誰からも見てもらえない。


 学校では私の席などないに等しく、いつも誰かが座っている私の席を眺めて息を殺す。


 息を潜めて、生きている。


 まるで私がいないかのように扱われることには、とうの昔に慣れてしまった。


 いつの間にか、私は透明人間に成り果てていたのだ。


 後悔はないと言えば、嘘になるのだが透明人間になる発端は、私なのだろうから責任は私にある。

 だから誰かを責めるのはお門違いなのも知っている。


 きっと私は透明人間を望んだのだろう。


 役に徹して、役に成りきって。


 気付いた時には、役じゃなくなっていた。



 私も否定出来ないほどに、私は私を見失った。



 透明な心はもう掴めず。


 掴もうと伸ばした腕さえ透けて。



 私の目玉は何かを映すことを諦めたらしい。



 それでも前に進むことを諦められない私は、透明人間からなんとかして脱しようと一歩前に出た。



 するとどうだろうか


 皆が一斉にこちらを見たのだ。



 青ざめた顔で

 口元を覆って


 独りほくそ笑んだ



 あぁ、やっと見てもらえた



 電車のブレーキ音で察する


 運転手も私を認知したのだ



 透明人間ではなくなったのだ



 この私の姿を


 トラウマとして一生抱えて生きていくのだ


 その透明なガラス玉に

透明人間扱いされても、生きざまや死に際は消えてなくなることはないでしょう。

生きることを真面目に考えすぎたくらげからでした。

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