帰り道。
俺の幼馴染は、なにかが視えているようだ。
じっと、なにも無い場所を視ていることがある。
ちょっと、怖い。
だって、そういう場所はなにか変なモノがいる。
幼馴染のことを斯く言う俺は、ちょっとだけ感じる人だ。まあ、あまり視えたりはしないが・・・
学校からの帰り道。
幼馴染が、立ち止まっていた。
なにも無い場所で・・・
「ねぇ、なにをしてるの?」
「ん? 別に、なにも?」
色素の薄い瞳が、俺を見ずに答える。
「そろそろ帰らないと、お母さんが心配するよ」
「んー……仕方ない。帰るか」
色素の薄い瞳が、電柱の影を見下ろす。
そこには、暗い陰が落ちている。
少し、厭な感じの陰だ。
「ほら、早く早く」
俺は幼馴染の腕を引いて、さっさと電柱から引き離した。そして、そこから充分に離れてから聞いた。
「ねぇ、なにを……視てたの?」
「ん?犬」
電柱の影には、なにもいなかった。生物は・・・
「なんで、そんなの……」
「自分ン家、ペット禁止だから。生物じゃないなら、セーフかなって思って」
「アウトだよっ!? 思いっ切りアウトっ!?」
「え~? 駄目か? だってさ、餌代掛からないし、ノミとかいないんだぜ? 散歩も要らないしさ?」
「そういう問題じゃないからっ!?」
俺の幼馴染は、かなりズレてる子だ。
読んでくださり、ありがとうございました。