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序章
小さいころ、お父様が私によくお話ししてくれた。
――昔はよく、“妖怪”と遊んだものだ、と。
妖怪なんて御伽噺でしかなくて、この大正の世の中において、そんなお噺は過去のものでしかない。
幼心にそう感じた当時の私は、父のこの発言をそっと頭の端っこに追いやりせっせと勉学に努めるという、 まあなんとも勤勉な毎日を送っていた。
だって、私には“視えなかった”から。
私が今まで見てきたもの、“視えていたもの”は虚構であった。私は真実を“視ること”ができなかった。
その“現実”を視てしまったのは、直視してしまったのは、幼き私が父の話を棄ててしまってから、ちょうど12年後のことだった。
一応書いて投稿してみました。
気が向いたときに続きを出します。