第九十二話 まとうもの
『アリアよ……先ほどの私の神の声は全然っ可愛くないっ!!やり直しを要求しちゃうもんっ!!』
「はわわっ、オーチャコ神様っ申し訳ありません。ラヴィちゃんのご両親が誘拐されている疑いがありどうしてもアルお兄ちゃんが私の<かぜのこえ>を使って皆にオーチャコ神様からの救いの声を届けなければいけなかったんです」
『アルスロットもひどいっ!!私は女性神なのにあんな声では男性神だと勘違いされてしまいます……』
「あっそれでは、先ほどよりもしっかりと近くに感じ取れるように耳元でささやかれるように。オーチャコ神様自らのお声を届けてはどうでしょうか?」
『ん~~~~~~~~そうねえ~~~~。エルランダ教国に私の神像が完璧に配置されたしっアリアの力でこれからも私を信仰するもの達を増やしていってもらう必要がりますからね、やってみましょう』
「オーチャコ神様っありがとうございますっ!!私頑張りますねっ!!大気を支配する風よ優しく震え魔声を伝えよ<かぜのこえ>」私の<かぜのこえ>はグリナダスの王都中の隅々広がり全ての者にオーチャコ神の神の声を伝える。
『すべての我が子よ、今一度……私の声を聞きなさい。そしてみなと心を一つにしラヴィを助けるのに尽力しなさい』
「オーチャコ神様、ラヴィちゃんのご両親が囚われている場所は伝えなくても?」
『マユス・ガーランの屋敷にラヴィの両親は居ますが。捉えられているわけではありませんね、残念ながら私たちの力は使徒を使わなければ世界に干渉する事は出来ません、今のようにヒントにもならない声を伝える事しかできないのです。少し不満ですがアルスロットが私の代わりに神の声でラヴィの両親が囚われている所のヒントを伝えるしかなかったのですけど……今度からはアリアが私の声を届けるのですよ?』
「はいっ、アルお兄ちゃんにも伝えておきます」
「すごいっガイルっまたオーチャコ神様の声が……耳元でささやかれるように、とてもお優しい声だったわっ!!」
「ああっ……さっきは遥か遠くから降り注ぐような声だったが、今度は鮮明でとても美しい声だったな」
「ラヴィにもきこえまちゅたよっ!!!おかあちゃんの声みたいだったでちゅよっ!!!」
この声を聞いた者たちは窓から顔を出し、歩いている者たちはその場で立ち止まりグリナダスの中心にあるオーチャコ神礼拝堂の方へと体を向け祈りをささげるのであった。
「ガイルさっきよりも鮮明にオーチャコ神のお声が聞こえたって事は、ラヴィの両親が捕らえられている場所には近づいているって事だよ」
「ああ、カルマータそうだと思うが。この先は北の貴族街ださすがにこの集まってしまった冒険者達では入れねえんじゃないか?」
「この人数をすべては連れていけないね、そうだね北の貴族街を囲うように包囲しようかね。もしもがあった場合はすぐに対処が出来て貴族と言えども逃げようがないからね」
「カルマータ様そうですわね、馬車で王城などに逃げられると手が出せなくなりますわ。その先は貴族の者達が対処するしかなくなりますわね」
「うえ~そんな事になったら、もう私達にはどうにもできないわっ。迷子のラヴィちゃんを見つけた私達冒険者で解決するのよっ!!!」
ティタのその声に流れる川のように大通りに集まったグリナダスの冒険者達は心を一つにして答えると、北の貴族街をすべて取り囲むように一列になり西城門から北城門の大通りすべて取り囲みにかかったのだった。
「アルお兄ちゃんっ。合流した冒険者たちみんなで北の貴族街の西側をすべて取り囲んだよ、今からセラフィム、ガンブルグ、ヴァルキリエとでラヴィちゃんを連れてマユス・ガーランの屋敷へゆっくりと進んでいくよ」
「アリアちゃんご苦労様、俺の方は今やっとマユス・ガーラン本人に対峙した所だよ。たぶん逃げたりしないからゆっくりと来てくれると助かるかな」
「うん、貴族街を取り囲むしゆっくりと行くけど。さっきのオーチャコ神様の声は聞こえた?」
「ああ~うん、聞こえた……マユスなんてびくっと震えながらオーチャコ神礼拝堂に祈りを捧げていたよ。まあ、こんなやつでもオーチャコ神の子なんだろうね」
「ふふっ、そうだったんだ。それとオーチャコ神様が最初にアルお兄ちゃんの声が男性神みたいで怒ってたよ、今度からは私がオーチャコ神様の代わりをするようにって」
「あちゃ~、それもそうだね。アリアちゃんでもオーチャコ神の声を届けれるんだったしエルランダ教国ではオーチャコ神から神の声を届ける使徒に選ばれたんだったね」
「うんっ、オーチャコ神様の使徒に……今でもほわほわ~とあの時の光景が浮かんでくるよ。私が神の台座に魔力を流し込むと大聖堂に美しいオーチャコ神様の神像が……」
「あっうん、俺もその光景を見てみたかったよ。思いっきり寝ちゃってたからね」
「アルお兄ちゃん頑張ったんだもんしょうがないよ。それに今もラヴィちゃんの両親を助け出すために頑張ってるしねっ」
「じゃあ、もうひと頑張りするよ。じゃあまた後で」
そうアルお兄ちゃんの言葉が聞こえた後には魔法を解除し、集まってくれた冒険者たちに「ありがとうでちゅ」と嬉しそうに挨拶をするラヴィちゃんを連れマユス・ガーランの屋敷へと貴族街の通りを歩き始めるのだった。
「ほう……むっ失礼した。今、大貴族である私の耳にオーチャコ神の声が聞こえたのでね礼拝堂に向かい祈りを捧げていたのだよ」
「それは、素晴らしいですね。俺もオーチャコ神様のお声を聞いてみたかったですよ」
「はははっ、それは無理だろうななんせ私は健国王時代より続く大魔法貴族ガーランだ下級貴族のカイラスとは王国とオーチャコ神へ貢献と、下世話だがギルダのお布施の額がな」
自分のご先祖様の功績と、今までのオーチャコ神へのお布施額がお前のような下級貴族とは話にならにと顔に醜く出ていた。
まあ、商業ギルドに圧力をかけてヴァンプ族の香辛料などに中間マージンをかけてぼろ儲けしていたんだし多額のお布施が出来ていても当たり前だと言いたいがそれはぐっとこらえて口をつぐむ、それよりもラヴィちゃんのご両親の事だ何でガーラン家の屋敷に囚われているのか聞き出さなければならない。ニュースサイトにアンサーを渡したが残念ながらなぜ囚われているかまでは分からなかったのだ。それにしても何で俺がここに来たのか気にならないのかこいつは?聞いてくれると助かるんだが、さてどうするかな……悪事なら神の目で一発で吐かせることもできるが乱暴をされていないこととカトラお姉さまの□×複合魔法・遠見鏡では豪華な部屋に二人は縛られたりすることなくいることが分かっていた。
「そっそれにしても、アルスロット・カイラスよとんでもないことをしてくれたな。我が屋敷に押し入り警備兵たちに危害を加えるとは……大魔法貴族ガーラン家だと知っての狼藉だろうな?」
「あっやっと、聞いてくれましたか。俺は手を出してはいませんよ先に手を出したのはそちらの警備兵たちです、それと俺はこの警備兵たちが起こした破壊行為からこのグリナダス王国を守ったにすぎません」
「なにをっ言っているのだっ!!!無理やり侵入してきたアルスロット・カイラス、貴様を抑える為に攻撃したのだっ。何が破壊行為だっ!!!」
「ですが、最初の俺が手で握りつぶした魔法攻撃以外は……俺が1発でも避け、屋敷門の後ろにある先の貴族街の通りや行きかう人々に、上級・中級貴族屋敷に当たればグリナダス王国アスハブ陛下にあだ名すものとなりますが?いかがか?」
はっと顔を上げ、きょろきょろと遠くの貴族街の通りを行きかう先には貴族の馬車も王城へと向かうのかひっきりなしに通り過ぎ、その先にはまばらだが歩く王国民の姿に他の貴族の屋敷ももちろん見ることが出来ていた。
「あっう……ううううっ……そっそのとおりだ……何でこんな事に、私はもう少しでグリナダス王国に弓退くものとなっていたのか……」
意外と、俺の言葉をすぐに理解したマユスは晩餐用の豪華な衣装そのままで、その場にガックリと膝をついてしまう。
「早い理解で助かりました、これ以上ダラダラとしゃべってる時間はないんです。俺がここに来た目的はマユス様、どなたか夫婦をこの屋敷に軟禁していませんか?」
俺は、これからやって来るラヴィちゃんたちと膝をつく大魔法貴族ガーランを衝突させるわけにはいかないが……。
「なっ夫婦だと?私の屋敷に軟禁?そんな報告は受けていないが……いくら貴族と言え王国民にそんな事をするわけには、それこそアスハブ陛下にあだ名すものにわっ私はそんな事はいっいったいどうなっているのだ?」
ブルブルと震え始めるマユスの額からは大量の汗が吹き出し、混乱し始めたのか違う違うと口ずさむが……突然カクンと首が垂れた後には、違う人物が現れていたのだった。
「主よ気を付けろ、そやつは今変わった」
「俺がプレッシャーをかけすぎた?でもそんな大したことは……」
「はははははっはははははっはぁっ!!!<ガーラン>」目の前にはいつの間にか立ち上がり、でっぷりとしたお腹は見る影もなく引っ込み肩にかけていたマントに腕を通しボタンを掛け大空に向かって笑い始めた男は真っ赤な炎を全身に纏い狂気の目をこちらへと向ける。
そして緊急速報が立ち上がる……。
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緊急速報 纏う者
建国王時代を支えた初代ガーランの魔法のローブがマユスの状態からエマージェンシーモードとなり
主人の代わりに、マユスの最大の力を引き出してしまった。
これを引き起こしたアルスロット・カイラスの殲滅が終わるか、魔法ローブ・ガーランが破壊されるまでは止まらない。
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「カーン、また俺はしくじったみたいだね……」
「魔法ローブ・ガーランを破壊するしかあるまいな……。王都に被害を与えずと少しばかり難易度が高いがな。ダラダラと長い戦闘はそれだけ王都が破壊されるリスクが上がる分かっているな?」
俺は返事をし終わる前に、カーンを握りしめ全ての力を吸収し消し去る究極の魔剣へと姿を変えさせると目の前には灼熱の火炎剣を持つマユスが上段から切りかかってきていた。
「くっ直ぐに消し去れないぞっどうなってるカーンっ!!<スラッシュ>っ!!!」
なんとかマユスの火炎剣を消し去った後に魔法ローブ・ガーランを切り裂く様に表面だけを薙ぐようにスラッシュを入れるが、纏う炎の表面を火花を散らしながら滑ってしまう。
「むう、主よローブの炎は原始のモノだ手加減しては切れんぞ」
「だけど……力をそんなに出したら周りに被害が」
そんな事を言ってる間に直ぐにマユスは火炎剣を今度は両手に出し切りかかって来る。
「ははははっ!!!」
「なんなんだっ<ラインスラッシュ>」笑いながら二本の火炎剣を振り下ろしてくるマユスに俺はラインスラッシュで向かい討ちなんとか切り返し切り返し受け止めるが。
受け止めるごとにマユスの灼熱の火炎剣は弾け、俺の周りを火の粉で灼熱の空間へと変化させる。
「カーンっ!!!消せてないぞっどうなってる」
「奴の炎は原始の炎だ、我には吸収できん切り結ぶほど周りは弾けた炎で灼熱の地獄と化すぞ」
「どうすればいいっ」俺はニュースサイトにアンサーを渡す。
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原始の炎には
カーンの刀身に原始の氷雪を呼び出す名を伝え氷の魔剣を
名はクリュスタッロス
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「カーンっ!氷の名を与えるその名は<クリュスタッロス>っ!!!」
カーンから全ての神像のコアが弾け浮遊した後、名を与えられたカーンは青色の神像のコアを取り込み凶悪な冷気をまとう剣先からノコギリの様な細かな刃が飛び出す氷の魔刃を作り出したのであった。




