第九十一話 あせるもの
「なっなんで、わっ我が屋敷にっアルスロット・カイラスが来ているのだっ!!!」
今日はこの後、グリナダスの王城にて晩餐会が開かれる事となり下級貴族を除き王城へと登城するこになっているのだが……。
大魔法貴族として恥ずかしくない健国王時代から代々受け継がれる魔法のローブを厳重なロックが駆けられた隠し部屋から取り出した時に、私にとって悪魔のような子供が我が屋敷の門に居るのが見えたのだった。
「マユス様っ!!!失礼いたしますっ屋敷門前にて侵入者でございますっ!!」
「入るなっ!!今は魔法のローブを出しているところだ何があろうと今は入ることは許さんっ!!!」
「しっ失礼いたしましたっ」
俺が怒鳴った後に直ぐに大きな返事があるとドアの前から去ってゆく気配がする。
「それにしても、こんな忙しい時にっ何をしに我が屋敷へと?」
そんな愚痴を出しながら目の前に出した魔法のローブは数千年の時が経っているはずなのに一切の生地の痛みはなく赤黒い前でボタン止めをするタイプのローブで魔力を流すと表面を炎が躍り炎から氷の魔法、また剣戟は全てこの炎が受け止め逆に剣に炎のダメージを与えると言われている。
そんな魔法のローブだが……でっぷりと突き出した腹の私には正式にボタン止めをすることが叶わずに今言った魔法のローブの能力は一切使う事はかなわなかった。
「ふんっ、こればかりは仕方があるまい……」
幾ら腹をへこましても、健国王を助けた初代ガーラン当主が着ていた魔法のローブは入らず仕方なく両肩に掛けてマントの代わりにするしか無かった。
それよりも、アルスロット・カイラスだ……なぜあいつが我が屋敷に……分からん。その後も考え込むが……。
外ではすでに戦闘が我が屋敷の警備兵の者達から切られていたのだった。
「んっ、出てきた結構な人数……。大貴族の屋敷ともなるとこんなに警備の兵がいるんだ」
「フンッ、どれも大したことは無いがな。主よまた殲滅はしないのだろう?」
「あっうん、別にあの人たちが悪いわけじゃないし。王国民だしね基本的に怪我はさせないよ」
「おまえ、何をいって……すぐに、てっそれ宝剣なのか?」
「俺の相棒です、未熟者なのでまだ力を引き出せませんけどね。さっこれ以上は怪しまれますからライド様もあちらの警備兵の方たちと合流をして下さい」
「あっああ……しぬなよっ」
そんな、心配事を言いながら屋敷の左右から現れた警備兵たちの中へとライドさんは消えていく。
「まったく、この国の貴族は良く分からぬな。我にこんな事をしても無駄だ」
「まあまあ、大貴族はこの地がモンスターと戦争を繰り返して頃にグリナダスの健国王を助けた人たちだからね。ちょっと残念な事になっちゃってるけどね」
俺は、ご先祖様が知ったら激怒するだろうなと思われる今のグリナダス王国の大貴族の姿を思い出す……マユス・ガーランはかなりお腹が出てかなり肉付きが良くて俺が献上した新しい調味料のしょう油とマヨネーズをたっぷりとつけてコケッコ鶏の肉を頬張ってたな。
「それでも、油断はしないようにしないとね。目の前に立ちはだかる者達の攻撃をすべてトレース表示」ニュースサイトのワイルドカードを使い指示した内容が目の前にVR表示される。
そしてカーンを抜き放つと半ばから折れた刀身に、駆けつけた警備兵から笑いが起きていた。
「おいおい、どこの子供だ?冒険者ごっこをしているのならすぐに立ち去れっ!」
「ぎゃはははっ、あのガキの剣見てみろよ折れてるぜっ。ぷっぶふっカッコつけて上にかかげ……はあっあああああっ?」
「おい……あれはなんだ?浮いてるぞ?」
半ばで折れているカーンの刀身をバカにしていた者が目を上げると鞘が空中に浮かび上がりそれぞれの神像のコアへと分解し俺の周りを漂い始めたのだった。
「ちっ!!気味の悪いガキだっ!!!勝手に大貴族の屋敷に入ってきたことを後悔するんだな。少し脅かしてやれっ」
するとさっき折れた刀身のカーンを笑った男が魔法を唱え小さな火の玉をこちらに向かって発射していた。
かなり遅い……ひょろひょろと言った感じ、ボールを軽く投げてキャッチボールをするかの様な弱々しい火の玉がこちらへと向かってきて、俺は思わず左手でキャッチをしてしまうとチャトラアーマーに包まれた手の中で煙を出しながらすぐに消えてしまっていた。
「なっ!!今何をしたっ!!!」
「えっ?すいませんキャッチボールみたいに受け取ってしまいました」
「キャッチボール?なんだよそれっ!!手で受け止めるなんて……そんなバカな……」
「貴様っ何者だっ!!!今のは当たれば手足などは無くなるほどの威力なんだぞっ!はっ!こいつは子供の姿だが化け物だっ!きっとそうだっ!!!」
なんだか、俺の火の玉キャッチに恐怖を感じたらしく隊長格の最初に立ち去れと言っていた人物はすでに狂気の顔で俺を化け物だと言い放つ……おっライドさんが何とか落ち着かせようと話しているが突然殴られその場で膝をつく始末だった。
「主よ、先ほどの若造が思いっきり殴られて気絶したようだな。どうするのだ?」
「うん……もう、混乱の極みみたいだ」ライドさんを殴った男は怒鳴り散らしながら、意外と的確に俺への攻撃をするため指示を終えていた。
「撃てーっ!!!あれは子供の姿をした化け物だっ見た目に騙されるんじゃないぞっ全力で魔力を撃ち込めっ!!!!」
目はすでに血走り、魔力を乱暴に体中に流しながら俺に向かって先ほどとは比べ物にならないほど巨大で早い火の玉を打ち出していた。
「カーン……全ての魔力を食らいつくせ」
口に出す必要はないが、俺の要望に合わせカーンは浮かび銀色にチラチラと輝く全ての魔力を食らい吸い尽くす神像のコアから銀色の刀身を作り出してくれる。
目線を作られていく銀色の刀身から、目の前に向けると赤い点で番号が振られたドットが浮かぶと俺はその指示通りに。
普通なら身体強化の足で走りぬけるのだが、俺はゆっくりと歩きニュースサイトが表示してくれる番号が振られる警備兵たちの魔法攻撃をすべて切り付けていく。
「いち、にい、さん、しい、ごお、ろく、ひち、はち、きゅう、じゅう……」
最初は、散発的だった火球はどんどん数が増えスピードが上がってゆき……。俺はそれに合わせて身体強化に流す魔力を上げ、小型で連射され始めると……<ラインスラッシュ>のスキル技で切り返し全てを順番通りに切り消してゆく。
「なっなんだ、あれは……」
私は、魔法のローブをマントのように纏った後には戦闘が始まっている屋敷の門を見ているのだが……順序良く打ち出されている火球は全て消えているのか?あれは剣で切り付ければ爆発するはずなのだがさっきから剣に切られると火球は消えていたのだった。
そして、我が屋敷の警備兵たちも分かっているのか、どんどん火球の発射間隔は短くなり最後には威力は低くなるが連射が出来る炎の矢を打ち出しているのだが……それ以上に早く剣を振り切り返しあり得ないことだが全てを切り消されていたのだった。
「だっだめだっ!!これ以上アルスロット・カイラスに攻撃をするなっ!!!!」怒鳴りつけるがここは大貴族の屋敷、声が漏れないよう作られているため外で戦っている者達に聞こえるはずもなく戦闘は続くのであった。
「動けるっ!!カーン動けるよっ!!」俺はいつもよりリラックスしてから体中に魔力を流し身体強化をコントロールしラインスラッシュの鋭い切り返しの剣閃により全てを切り消し。
その二つの力だけでは間に合わない瞬間には魔力をさらにピンポイントに筋肉に流し込み更なる体さばきの速さを手に入れることが出来るようになっていた。
身体強化は基礎魔法、その上の体さばきのをするにはラングお父さまが使っているスキル技<神鋭>だが。俺が今、習得することが出来たのはスキル技<リインフォース>一定の間、思考した任意の部分を強固に、強化する身体強化の上位版みたいなスキル技を覚えることが出来ていた。
「主よ、良いスキル技を習得したな。うまく使えば巨人族や魔人族のような強固な体を一時的だが手に入れることが出来るはずだ」
「うん、すごいよ身体強化に魔力をつぎ込んでも漏れ出て雑な動きになるだけだったのに。この通り物凄い制度と魔力をピンポイントに流すと思い通りに体が動く」
「あああっ、時間がたつごとに化け物に……」屋敷の2階から見下ろす視点からはアルスロット・カイラスの化け物……いやあれはラング・カイラスの息子だったな」
新鋭を使い1対1での戦闘では最強と言われているラング・カイラスとは違いアルスロット・カイラスの動きは1体多数……それも普通ならば乗り越えることのできない数の優位もなんでもないかのように地に足を付けゆっくりと屋敷の入口へと進んできていた。
身体強化の上位版であるリーンフォースで体のさらなる強化をした後は口で数えるのも途中で無理になるほどの炎の魔法を打ち落としていたがニュースサイトのワイルドカードが反応したのか代わりにVR表示でカウントをしてくれていて最終的には5963発の魔法を打ち消していたようだった。
警備兵たちも魔力が底をついたのか全ての者達はその場で膝をつき、中には顔が真っ青で魔力枯渇で気絶寸前の者さえいた。
「ふうっ、何とか屋敷の入り口までたどり着けたな」
ライドさんの緊急事態を知らせる打ち上げられた魔法の後から6分ほどが経過していた。
「主よ、かなり強力なアーティファクトがその扉の向こうに」
そう言い終わる前には大魔法貴族ガーランの屋敷の扉は執事と思われる男により内側より開かれ、奥の暗闇より現れたのは今日の朝、王城にて自慢の魔法障壁を俺に砕かれたマユス・ガーラン本人であった。




