第八十五話 光り輝く冒険者ギルド
「あっ!! あああっアルさんっ夜中にエルヘイブへと向かってから一度も冒険者ギルドに顔を見せないからっ何かあったんじゃないかって……毎日毎日入り口を、私っとっても……とっても……しんばいじてたんですよ~」
陛下への報告が終わり、自分たちが置かれている状況を理解したのか魔法貴族たちが改心したのか分からないがアスハブ陛下への忠誠をと俺の後には長い行列が出来たのを視界に収め。そっと頭を下げながら謁見の間から退出をさせてもらっていた。
そして、パーティーハウスに帰るとアリアちゃんはエルランダ教国から帰ってきており。興奮したように全ての教国民の基礎魔法の習得がすでに終わって、しかもほとんどの者達が回復魔法を覚えてしまったとの事だった。
「えっ? アリアちゃんもう全ての人が基礎魔法を習得しちゃったの?」
「うんっ!! アルお兄ちゃんっ。皆に広場に集まってもらって私が魔法の風の声で基礎魔法を教えたら皆覚えちゃって。しかもそれだけじゃないんだよっ!! ほとんどの人が回復魔法が使えたのっ!!」
「それはすごいねえ、グリナダスでは回復魔法士は貴重だ。本当に沢山の回復魔法士が?」
信じられないという表情で固まるカルマータさんに。
「んっんっ!」首を縦にウンウンするルーチェさん。
「そうですわね、わたくしが知っている回復魔法士は……剣聖部隊に一人だけマルチナですわね。他にも使える方はいらっしゃると思いますが魔法貴族が囲ってるのだと思われます」
ん~、これも神像だけじゃない世界のゆがみの一つだったのかな……今後はエルランダ教国の冒険者志望の人たちを迎えることが出来れば回復魔法士がパーティーに、劇的に冒険のリスクが減るんじゃないかな。
そんな、話をしながら冒険者ギルドに入っていったのだが……やっぱり顔を見せなかった俺に入ってきたとたんアシェルさんが見つけ、呼びかけられた後には泣き出してしまっていた。
「アシェルさん、ご心配をおかけしました。色々と問題が矢継ぎ早に起こってアシェルさんに報告に伺うことが出来なかったんです」
「いえ、いきなり泣いたりして。アルさんの姿が見えたらホッとして涙があふれちゃって……」
ぐすぐすと鼻をすするアシェルさんは、涙を拭き取りいつもの優しい顔のアシェルさんに戻る。
「さっ! アルさんっなかなか来れなかったって事はとんでもない冒険を終わらして来たんですよね? 冒険者カードをさっさと出してくだいねっ更新しますよっ!!」
復活したアシェルさんに首から下げた冒険者カードを渡す。最後の更新は何時だったんだっけ? Fランクダンジョンを解放した時のゼレインの報告が最後?
そんな事を考えながらセラフィム全員が冒険者カードを渡していく。俺は自分のとパーティーハウスで夕方まで寝ているヴァル様の分もアシェルさんに。
そして冒険者カードを渡して暇になったとたんカルマータさんとルーチェさんのコンビの所に高ランク冒険者が声をかけに輪になっていた。
「それじゃあ、アリアちゃん? 貴方は冒険者カードの発行からね。さっこの黒い魔道具の上に手を乗せて軽く魔力を流してね」
「はいっアシェルさんっ!!」
元気なアリアちゃんの声の後には、魔道具がアリアちゃんを直ぐにスキャンして冒険者カードを排出をする。
「アリアちゃんは、冒険者カードを作らずにアルさんたちセラフィムと冒険にいってたのかな?」
「うん……アルお兄ちゃんと。もしかして冒険者カードが無いとダメだったんですか?」
「あっ、そうじゃないのよっ! 確認だけさせてもらったの一緒に誰かと行動してたなら皆の冒険者カードを更新すれば、アリアちゃんの記録も取り出せるからきっと大丈夫よっ」
「アリアちゃんの冒険者カードを作りに行く暇がなかったもんね……ごめんねっ」
「いえっいいんです、それに私は皆とずーと一緒が良かったですからっ!」
「ふふっそうですわねっアシェルさんが言った通りに皆様の冒険者カードからアリア様の貢献度の記録もきっと取り出すことが出来ますわ」
「うん、カトラお姉ちゃんカトリナお姉ちゃんっ!!」
アリアちゃんは元気いっぱい花丸笑顔をすると、たまらなくなったのか鏡を見るかのようにそっくりな二人の姉が左右からギュッと抱きしめる。
「それじゃあ、アリアちゃんの更新は一番最後ねっ。えーと、次は~カトリナさんね……えっ? えっ? 本当に? カトリナさんAランク……」
「わたくしが……Aランクですの?なにかの間違いではありませんの?」
「あっえっ間違いではないと思います……討伐記録をさっと流してみていますが……すごい、すごい……Aランクをこんなに沢山……」
「あっカトリナ、城壁からテネルトーナでアーティファクトを飲み込んでいないモンスターを片っ端から燃やし尽くしてたからじゃない?」
「ええ、確かに……力の限り……氷結の魔女様の広範囲殲滅魔法フロストでほとんど動けなくなったモンスター達を」
「ふう、良かったそれなら間違えではないですねっ。記録ではAランクモンスターが2894体の討伐となっています。これはやっぱり……皆さんはオリアに……?」
「うん……それは、皆には秘密で……」
「はい、分かっています……アスハブ陛下が発表するまでは無用な混乱を起こさないようにとのイオスギルドマスターから職員全員に」
「それじゃあ、気を取り直して……カトラさんの更新をっをををっ? カトラさんSランクですっうわっこれは……198349人の回復……回復にカウントされているってことは通常生活が送れるレベルの回復がされたって事……」
回復のカウントがされた魔道具に映し出されるデーターを見ながらカトラお姉さを目を丸くして見上げるアシェルさんの思考は何処かに行ってしまっていた。
「あっ、回復とかの貢献度もカウントされちゃうの? アシェルさんそれは特に秘密にしてね、たぶんアリアちゃんも物凄い貢献度が入ってるかもっ」
「えっはい、もちろんです回復のカウントは1つ付くだけでも珍しいんです……えっと次はヴァルさんを、ふふっふふふっ初心者なのに……Cランクモンスター16体……Aランクモンスター1073体……Sランクモンスター194体の討伐記録が……合計で1283体。ヴァルさんもSランクになっちゃってます」
「わ~ヴァルお姉ちゃんすごいっ!!」
「ヴァル様にも冒険者ランクを抜かれてしまいましたわ……」
「カトリナっそんなに落ち込まないで、貴方はあの場で城壁を民たちをモンスター達から守ったのよっ」
「カトリナ様、そうですよ。それに、あの場ではアーティファクトを飲み込んだモンスターを倒すには俺が神の宝箱で回収する事が絶対でしたから」
カトリナ様と俺は全く別の所で戦っていたからね。
「えっ? えっっなにっどうしたのっ」
アシェルさんが突然焦りだすと……。
『虚栄の都市入場自動判定アプリケーションがインストールされました。これより冒険者カードの更新後に入場可否の自動審査が行われます』
「わっわっ、私っなんかやっちゃった? どっどうしよう……」
俺は頭の中でニュースサイトにアンサーを渡す……。
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虚栄の都市入場自動判定アプリケーション
虚栄の水晶のレベルが上がると他システムとの連携が出来るようになる。
今の動作は虚栄の都市に入場するための可否を決めるアプリケーションがヴァル・フレイアの権限により自動インストールされた。
今後の冒険者カードの更新時に、虚栄の都市の入場可否が自動で厳しい審査がされ資格のあるものだけに冒険者カードに3つの水晶球の透かしが表示される。
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ん~どの位、厳しい審査なのかな? かなり不安だけどこれは後で問題にならないといいけど……。
「アシェルさん、それは秘密でお願いします。徐々にそこの入場を許された者だけが知ることになるでしょう」
「アルさん? はい、秘密ですね? あとで私にはコッソリと教えてくださいね?」
「ええ、もちろんです。アシェルさんは俺のパーティーの担当ですからね、イオスギルドマスターにも報告が必要ですからその時にでも」
「それじゃ、気を取り直してっと……えーと、ルーチェさんはBランクモンスター1体……Aランクモンスター2600体……Sランクモンスター6300体……合計で8901体で、Sランク昇格……カルマータさんはBランクモンスター1体……Aランクモンスター2944体……Sランクモンスター5963体……合計で8908体で、Sランク昇格です」
「なんかSランクもありがたみは無いですね。それにしてもそれだけSランクを大量に倒してもヴァル様のSランク194体と同じランク判定なんでしょうね? もしかしてSランクより上は無いのですか?」
「そうですね……普通はこんなにSランクを倒すことは無いと思うので……。正直この上のランクがあるのか不明で、残っている記録ではSランク以上に冒険者カードが判定を下した方はいらっしゃらないです。年間に1体だけ討伐でもSランクは認定されるはずなので……Sランクの冒険者は1年に1体~数体程度を倒すだけの方が普通だと思います」
ふ~ん、Sランクを沢山倒すと冒険者には損……俺のニュースサイトでSランク以降は一段上がるごとに脅威度は飛躍的に上昇だっけ……。
という事は、カルマータさんとルーチェさんは魔族の力を使わずに戦っていたせいでSランク以上の強さと冒険者カードに判定されなかったってことか……?
そんな考えに深く深く考え込んでいるといつの間にか目の前は虹色の光があふれだし、冒険者ギルドは眩しい光に包まれ居合わせた冒険者たちはざわつくと……セラフィムの皆も異変に俺の冒険者カードが挿されている魔道具の前に集まって来る……。
『SSSランクの雷氷の魔神が判定されました』
「えっちょっとっ!!!どうなってるの?イオスギルドマスターを呼んで……」
眩しく光った後には、俺の冒険者カードは雪の結晶をバックに雷を表す稲妻が落ちる透かしが入り真っ黒い魔道具から排出されていたのだった。




