第八十一話 辺境都市オリア マリアとカレナ
「アル様……今の私があるのは、魔族に変わってしまう所をアル様が私を助けてくれたからですわ……。私は王族の一人としてこのオリアを違った力で良くしていきますわ……」
「あの時、シエルナーザ様の運命の時間が動き始めたんだと思います。これから先、オリアにはいくつもの困難が待っていると思いますが……グリナダスの王宮で培った力を発揮すればきっと」
「ふふっ、アル様っ私の運命の時を進めてくださってありがとう……あのままグリナダスの王宮から出てこなかったら一生独り者でしたわっ!」
シエルナーザ様はとても幸せそうな顔で俺をギュッと抱きしめてくれていた……。
「アルスロット殿……私からも感謝を、君がいなければ私もシエルナーザと同じように王宮で燻っていたことだろう……」
シエルナーザ様の感謝の抱擁の後にはギルヴァルト様からも感謝の抱擁を受けた後には、後の事はカトリナ様のお父さまでグリナダス王国軍将軍のギンド・ファイス様がこれからの事を話し合うとの事で俺たちはオリアの謁見の場から退出をしていた。
「アルちゃんお疲れ様っ!オリアを守ってくれて!ママとっても嬉しいわっ!!!」外見は8歳になってはいたが両親から見ればまだ俺は可愛い赤ん坊のようだ……。
「うっ、お母さま皆の前なので恥ずかしいですよっ」
「あら?そんなのは大丈夫よ?ここに居る子たちは皆……じゃなかったわね~マリアちゃんとカレナちゃんは知らないものね~」
「えっ、私達は気にしません……逆に羨ましいです。本当のお母さんがいるなんて……あっ!でもカトラお姉ちゃんがいるしっシエルハーナ院長……あれ?シエルナーザ様と一字違い?」
「カレナっ、シエルハーナ院長は王族なんだよっわたし知ってるもんっ!!」
「えーーーーーっそうなの?あっ!!!だから私が困って町の中をさまよってる時に見つけられたんだった……」
そうか、貴族であるバラス家のカトラお姉さまの顔なんて誰も知らない魔法学校には行ってたが魔法貴族は人造魔族になって朽ち果てたゾンガのようにアスハブ陛下に協力的ではない、そしてグリナダスの大通りから小道に至るまで子供なんて沢山いる中で、カトラお姉さまを見つけ出し保護をしていた……。アスハブ陛下は見た目は温厚な爺さんだが……なかなか、必要な所には必ず自分の娘たちや親族を使っているようだ。
「たぶんそれは、アスハブ陛下の言で秘密裏に動かれたりしてるはずだから……シエルハーナ院長が王族だと言うのは口に出さないようにね」
「むっ!!!そんなのわかってるもんっ!!!シエルハーナ院長は私のお母さんだしっ!!!そんなの殺されそうになったって言わないんだからっ!!!」
「あっ!もうっアル君ダメだよっ」
あっなんかマリアちゃんを怒らせてしまったようだ……この後、マリアちゃんは本当に怒ってしまったらしく姉であるカトラお姉さまになだめてもらうも……。
「マリアちゃん、ごめんね……」俺は腰を90度に折り曲げマリアちゃんの目線の下まで頭を下げる。
「むっ分かればいいのよっアルは今日から私の弟ねっ!!!わかった?」
「はっえっ?!弟っ?」
「ぷっ、アル君こうなったらマリアの弟になるしかないかも……」
なんとか俺はマリアちゃんの弟になる事でさっきの事は許してくれるみたいだったが……。
「そうだ、マリアちゃんにカレナちゃんに虚栄の水晶の指輪を。ヴァル様、今のうちにお願いできるかな?」
「えっ?指輪?なんですか?」カレナちゃんは指輪という事だけに反応しきょろきょろとどういうことかと分からず皆を見回し……マリアちゃんは……。
「むっ、指輪……はっ!!!もしかして私たちもあんたのお嫁さんになれって事?」
「えーーーーーーーーーーー……なんでそうなるの……」
「ちょっとっ!!!私達は役不足だとでも?弟の癖に生意気っ!!!全ての悪を吹き飛ばせっ!!<てっけん>」ちょっと恥ずかしかった私は孤児院の弟たちに拳骨をするうちに覚えた、悪さをする心を目から火花のように吹き飛ばすスキルを発動させてしまっていた。
「ぎゃっ!」
「マリアっああ、もう手がすぐ出ちゃうんだから……」
「アル君っだいじょうぶ?」
俺はアーマーの無い頭を思いっきりマリアちゃんに殴られていた……魔力が乗った拳は俺の目からチカッと火花を散らさせるほどの威力だった。
「ふっふんっ悪かったわねっ!!アルも最初にちゃんと説明しないから悪いのよっ!!」
「そうですわ……アル様、指輪を贈るのはその……ちゃんと御説明しませんと女の子は誤解してしますわ」
「うぐ……ごめんなさい……ヴァル様が管理する神の宝物の一つだから、指輪の形をしているけどそういうたぐいのものではないんだ。マリアちゃんにカレナちゃん、これからポルンさんと面会をして色々と自分で決めると思うんだけどそれには、今から渡す虚栄の水晶の指輪という物が必要になるんだ」
「虚栄の水晶の指輪ですか?」
「ふ~ん、それでアルどんな指輪なの?」
「あっそうだね、これだよ」
俺は精密で見事な細工が施された虚栄の水晶の指輪を見せる……ヴァル様の指輪がマスターリング、俺やセラフィムの皆が付けているのがセカンドリング、ラングお父さまにライラお母さまが付けているのがサードリングと細かい細工は変わらないが指輪の太さが順に細くなっていた。
「うわ~~~~~とってもきれい……アルちゃんこれを私たちにくれるんですか?」
「むっ!!ちょっとみせてっ!!」
左右から俺の指にはめられている虚栄の水晶の指輪を覗き込み、アルちゃん……弟だからか?は~まあいいか……。
「これはヴァル・フレイア様が管理している神の宝物の一つ虚栄の水晶の門を使うのに必要な指輪なんだよ」
「へ~~~こんな奇麗な指輪だったら貰ってあげるわっ!」
「アルちゃん私もほしいですっ」
「ヴァル様、今度こそお願いします……」
「分かったのじゃ~、ん~~~~~~むむむむっ」
ヴァル様はマリアとカレナの手を取ると……マスターリングから光があふれ、二人の指に絡みつくとだれにも作り出すことが不可能な精密な細工がされた虚栄の水晶の指輪が二人にはめられる。
「二人の指輪はサードリングなのじゃ~虚栄の門は全て通れるのじゃ~」
「私達もこの指輪があれば虚栄の門を使うことが出来るんですねっ!!」
「ん~、サードリングは一つのドアの大きさの門に虚栄の水晶の指輪を所有している人しか通れないのじゃ~」
「えっ?じゃあグリナダスの孤児院の弟妹たちは……連れてこれないのか……」
「それはダメなのじゃ~、あと虚栄の門は虚栄の都市へ繋がる門なのじゃ~」
「え~と、それでは……虚栄の都市へしか行けないんですね?」
「各都市へとつながるヴァルが設置した虚栄の門は虚栄の都市中央へとつながるのじゃ~、マリアとカレナが設置した門も特に設定をしなければ虚栄の都市中央へと繋がってしまうのじゃ~」
「もうっ!!それじゃこれって虚栄の都市しか行けないって事じゃないっ!!」
「二人とも、ヴァルちゃんが設置した巨大な各都市へとつながる虚栄の門は虚栄の都市中央に必ずあるのよ?そして指輪を持ってるあなたたちは全ての門を開けて通ることが出来るのよ?」
「「あっ!!!」」
カトラお姉さまの言葉にマリアちゃんとカレナちゃんは目を見開きお互いを見合わせると……。
「「すごいっ!!!この指輪ってすごいっ!!!これがあればっ私達どこでも行けるのねっ!!!」」
「うん、そうなるね……ただし、ヴァル様の虚栄の門が設置されていない国や都市には行けないし。行って設置したとしてもサードリングの虚栄の水晶の指輪ではドアタイプの門が1門だけしか設置が出来ない……ヴァル様の虚栄の門が繋がっていない所から帰ってきて孤児院の自分の部屋から虚栄の都市へと繋いだ時にはその時点で門はリセットされ、またその都市へは歩いて行かなければならなくなるから不便な面もあるんだよね」
「ふ~ん、でもアルは全ての国や都市を繋ぐんでしょ?じゃあ、そんなの平気だし歩けばグリナダスとオリア間の短い間でもモンスターに襲われたりして命がけよ?それに比べたらとっても便利だしっ!!」
「あれっ?でもマリアっ私達みたいな孤児が……そんな大事な虚栄の門を通った先で怒られたりしないかな?」
「それは大丈夫なのだ~グリナダスの大貴族フレイア家がこの指輪を持ってる人物を保証するから王城に設置された門を通っても平気なのじゃ~」えっへんと何故か胸を張るヴァル様だが……もちろんぺったんこだ。
「すごいっ!!!フレイヤ家がっ!!!マリアすごいわっ!!!」
「そっそうねっ!!ちょっと不便な所もあるけど、指輪を持つ私たちは大貴族フレイヤ家に認められた人物になれたのねっ」
「二人とも、浮かれるのは良いけど間違っても虚栄の水晶の指輪と虚栄の門を出すところを人に見せびらかすんじゃないよ?」
カルマータさんが少し厳しい顔をして二人に忠告を入れる。
「カルマータ姉さんなんで……?」
「それは悪人に狙われるからだ、何かあっても私たちはすぐに助けてはやれないからね気を付けるんだよ。そして、使うのは良いが必ず秘密にするんだ」
「でもっどうにもならない時や……たまたま見られちゃった場合は?」
「見られてしまった時には仕方がないが、更に使う時に注意を怠らないことと。もしも、お前たちがピンチになった時にはそんな時にこそ人目は気にしないで有効に使うんだ……いいね?」
「うんっ!!カルマータ姉さんありがとうっ!!!それに、ヴァル姉さんもっ!!!」
「マリアっこれでオリアで料理や色んなことをしながらグリナダスにも帰れるねっ!!」
「んっ?それじゃあマリアとカレナはアルタス様とテネシア様の要請はお受けするのね?」
「うんっ!!!カトラお姉ちゃんもちろんだよっ!!!」
「でも私……宿屋がやってみたいな……お部屋の片づけとか得意だし」
「え~カレナは宿屋なの?私は食堂がいいな~町一番の味自慢の食堂にするんだっ!!」
「もうっ、それなら丁度いいじゃないっ?宿屋と食堂は切り離せない関係じゃないの?」
二人はポルンに会い話し合う前にすでにオリアでそれぞれ宿屋と食堂で頑張ることを決めてしまっていたのだった。




