第八十話 辺境都市オリア あなたたち二人は離しませんわよ
アルタス・アーク・オリアのエルフィン族と共にとの宣言の後は、モンスター侵攻の完全終息を確認後には宴を催す宣言をし、緊張と戦闘で疲れ切った全ての民たちがそれぞれの家路へと帰っていったのだった。
「皆の者、ご苦労であった……。特にアルスロット殿、そなたの助けが無ければオリアはまた違った未来を迎えていただろうな……」
アルタス様は演説用のバルコニーから皆を謁見の間に一度集合させていた。
「オリアとエルフィンが共に手を取り、大森林とエルフィン王国の奪還を宣言したが……。SSSランクのモンスターが本当に逃げ込んでいるとしたら、剣聖ラングよその力で討伐は可能か?」
「…………それは、不可能でございます。私の冒険者ランクはSランク……まず太刀打ちできないかと思われます」
「アルスロット殿は、どうやってそのSSSランクのモンスターの事を知ったのだ?」
「それは僕は知ることが出来ると答えるしかできません……。そうですね少しお待ちください」
俺はすぐにニュースサイトのアンサーでエルフィン族の管理する大森林へと逃げ込んだSSSランクのモンスターの詳細を聞いてみる。
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SSSモンスター
このランクは冒険者ギルドのランクに沿った脅威度順で表したものである。
Sランク、SSランク、SSSランクその先のランクもある。
Sランクを超える者達は単純に強いだけではない特殊能力や知性を持つものである。
Sランクから先のランクは一段上がるごとに、脅威度は飛躍的に上昇。
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あーなんか嫌なアンサーが出ちゃったな……。
「そうですね、Sランクを超えたモンスターは特殊能力と知性を持ちかなり厄介なようです。そしてSランクから先の脅威度は1段上がるごとに飛躍的に上昇します。残念ながら具体的な強さは分かりませんが飛躍的と言う言葉から……Sランクの剣聖一人では討伐は不可能かと思われます」
「何という事だ…………」
「父上……できる事をいたしましょう、西を中心とした平原と城壁の警戒を冒険者ギルドと協力し民たちを守りましょう……」
「そうだな……後は大森林の問題があるが……これは女王テネシアよ抑えることが出来るのか?」
「森の大精霊エントと交信できるので問題はありません。そしてSSSランクのモンスターですがやはり大森林に居座っていると……それぞれの王国を作り出そうとしているそうですわ……」
「くっ!! 西の大森林はモンスターの王国と化すのを見ているだけしかできないのか……」
「残念ですが、エントの力をもってしても退けないと。迷宮化し外にモンスター達をできるだけ出さないよう働きかけてはくださるそうですわ」
「なんと、大精霊様がっ!! それでは先ほどギルヴァルトが言ったように警戒の強化で脅威は退けそうだな」
「そうですわね、ですがエントでもSSSランクのモンスターの力は退けないと言っていますわ。それと森の大精霊エントはエルフィン族以外には牙をむきこの世界を森で覆いつくす大精霊なのもくれぐれも……」
「ああ、もちろんだこの世界は始まりの種族エルフィン族がコントロールしていることは理解しておるよ」
んっ!! エルフィン族が始まりの種族? そんな重要な種族なのか?
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エルフィン族
世界をコントロールするために作られた始まりの種族。
精霊システムに干渉できる唯一の存在。
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うわ~~~今回、もしもだけどオリアが落ちてエルフィン族が滅びていたら制御を失った精霊システムが暴走していたのか……。
「あと一つ、大事な事をアルタス様とテネシア様と交わしたいと思います……」
もしもの時には、俺はヴァル様の虚栄の門で虚栄の都市へ避難できるようこのオリアに設置をしたいと申し出ていた……エルフィン族が滅びたら大変な事になるしね。
「ふむ、それは嬉しい申し出だが……いいのか? 兄上……アスハブ陛下からは秘密にせよとの事だが……」
「アルスロット殿、それはとてもうれしい申し出ですわ……この先、オリアは何時SSSランクのモンスターに襲われてもおかしくありません……その時には民には心休まる安全な場所が必要です」
おれは皆に聞こえないようにヴァル様にヒソヒソ声で相談を始める……。
「ヴァル様……虚栄の水晶はあれからレベルアップしているかな? 王国軍やすでに設置した門はひっきりなしに人の移動が始まってるからレベルアップしていると思うんだ」
「ん~~~見てみるのじゃ~…………あっ! すごいのじゃ~虚栄の都市が広く出来るようになってるのじゃ~、それと~門の開け閉めや……冒険者カードシステム連携? う~良く分からないのじゃ~……」
やっぱり、門を人が通るごとに経験値が入り虚栄の水晶は色々な機能がヴァル様が混乱するぐらい増えていたのだった。
「それで、門を普段は見え無くしておいて決められた人が開けて使えるようにできるかな?」
「ん~~、出来るのじゃ~!!! 普段は壁の姿で決められた人が門を開けることが出来るのじゃ~」
「それじゃあ、アルタス様、テネシア様に門を開けることが出来る認証をしてくれるかい? あっそうだ、指輪を持ってる人はどの門でも開けたり利用できる?」
「うんっ!! それも出来るのじゃ~設定で指輪を持っていても使えなくすることも出来るのじゃ~」
「じゃあ、問題ないかな……シエルナーザ様とマリアちゃんカレナちゃんには虚栄の水晶の指輪を渡しておこう……それも後でお願いできるかな?」
「分かったのじゃ~」
「お待たせいたしました。虚栄の門は姿を偽り普段は壁に、緊急時にはアルタス様かテネシア様が開けと念じながら壁に擬態した門に触れれば即座に開き虚栄の都市へと避難することが出来ます」
「おおっ、それなら普段は秘密にすることが出来るし緊急時には門を開き民を避難させることが出来るのだな?」
「はい、門が設置されている各都市を繋ぐ虚栄の都市へと繋がっています」
「虚栄の都市? 各都市……へ繋がる門。もし、悪用をされたら大変な事になりますわね……。アルスロット殿そこは大丈夫なのかしら?」
「悪用に関してですが全ての門は虚栄の水晶のマスターであるヴァル・フレイア様が管理しています。門は細かな設定をすることが出来、もしもの時はヴァル様が直接門を閉じたり開いたりなどもできます」
「もしですが、良からぬ者が虚栄の都市やらに侵入した場合はどうなのですか?」
「その場合は、ヴァル様が即座にその者を虚栄の都市より排除いたします」
「そのような事まで出来るのですね……安心しましたわ」
「ふむ、素晴らしいな……できればヴァンプ族の香辛料や調味料なども運んでほしいのだがな……いやすまぬ、いらぬことを申した……」
「アルタス様、僕も同じことを考えておりました。実はこの虚栄の門を設置する前はグリナダスでもヴァンプ族の香辛料や調味料、その他貴重な作物などは高価でした……そこで、僕はこの虚栄の都市を結びヴァンプ族と商業ギルドに協力を頂き適正価格での多くの民への提供が出来ないかと思っております。すでに虚栄の都市はヴァンプ族のダンジョン集落、グリナダスの台所のエルヘイブ、遥か遠く荷馬車での荷運びでは利益が出なくほとんど交易が今までなかったエルランダ教国と繋がっております」
「そっそれはっ!!! 是非オリアとも門を繋ぎ適正価格での香辛料などの提供をしてほしいっ!!!」
がしっと俺の両肩はアルタス様につかまれ耳が痛いほどの興奮した声が謁見の間にこだまする……。
「アルスロット殿、先ほどマヨネーズという調味料を頂き野菜スティックに付けて食べてみたのですが、それは素晴らしい美味しさでした。今までつける味付けと言ったら高価な黒塩を少々ととても味気ない物でしたが……ああ、思い出したら口の中にあの時の味がよみがえってきてしまいましたわ……アルスロット殿分かっていますね? オリアに虚栄の門を必ず設置するのですよ」
上品に口元を抑えるテネシア様は、ふふっと笑いながら目は鋭く……俺を睨み付けていた……。
「はいっ、お許しが出るのならもちろんです。このオリアの門は秘密としますので……どの門も行き来可能なヴァンプ族に定期的に荷を運んでもらえるように手配しますね」
「うむっ、アルスロット殿たのんだぞっ!! これは喜ばしい事だ……民の暮らしが食卓がきっと楽しい物になるぞっ!!」
「そうですわね、アルスロット殿には特にマヨネーズをエルフィン族は野菜を食べる比率が多い故、頼みましたよ」
「はい、マヨネーズもお任せくださいっ!」SSSランクのモンスターモンスターの脅威は平原と城壁の監視、もしもの時は壁に擬態した虚栄の門を通り虚栄の都市へと避難するという事で話がまとまった。そして嬉しいことにマリアとカレナの料理で出たたっぷりの香辛料とマヨネーズにオリアとエルフィンの両代表が食いついて離さなかった。
「アルスロット殿、ヴァンプ族の貴重な食材にマヨネーズが手に入るのは嬉しいのだが……いままでこの辺境のオリアでは黒塩だけの味付けがほとんどの民たちの家庭の味なのだ……これから安定的に提供できる香辛料やマヨネーズの使い方と味を民全体に知ってもらわねば行かぬと思うのだが……」チラッとマリアとカレナに視線を向けながら、俺に分かっているなと無言の圧力が……。
「そうですわね……せっかくのマヨネーズも食べ方を知らねば……野菜スティクにつけて食べる以外にも美味しい食べ方や料理があるのでしょう?」
「じつは、マヨネーズはアスハブ陛下により保護されており。作るには商業ギルドを通し厳しい審査を受ける必要があります」
「ふむ……そうであったか、そうなるとマヨネーズのレシピの使用権を持つものがこのオリアへと来て食堂を持ってもらうのがよさそうだな……」
「マリアとカレナと言いましたね。あなたたちがここの調理場でマヨネーズを作りだしたと聞いておりますが……どうでしょう? このオリアへと来る気はないかしら? エルフィン族はあなたたち二人をエルフィンの料理人として迎えたいですわ」
「んっ、女王テネシアっ!! それはっ……そうだっ我が王城の料理人にならぬか? 料理長がポルンと言うのだが、このオリアの食と宿を任している人物でな」
「それでございましたら、私がポルンをこの子たちに紹介いたしましょう」
マリアとカレナに熱心に勧誘しはじめたアルタス様とテネシア様にラングお父さまが口を挟んでいた……。
「おおっ、そうだなポルンはたしか剣聖ラングを支援した人物でもあったな」
「はいっ、その通りでございます。私はカイラス家のライラ様と結ばれる前の……駆け出しの貧しい冒険者時代もございました。その時分の私をポルンは宿と食事を支援してくれた人物です」
「ふむ、駆け出しの冒険者は装備品や怪我、ランクによる制限などで毎日の生活が苦しいと聞く。たしかポルンは宿の部屋をベットだけの狭いものとし部屋数を増やし、1階には食堂を併設し食事は別料金に出来るなど冒険者を意識した低価格宿と食堂改革をしてこの辺境のオリアの冒険者を育てる一助を担った人物でもあったな」
「この後、ポルンと面会しこの子たち二人がどうしたいかそれぞれ希望を聞くのがよろしいかと思いますが」
テネシア様は二人の前に膝まづきそっと手を握った後には、二人が作り出した美味しいマヨネーズを思い出しながら微笑みながら話しかける……。
「そうですわね、マリアにカレナ……まだ小さなあなたたちに無理を一方的に話してしまいましたね。あなたたちの作り出すマヨネーズはそれはそれは美味しくて今も初めて口にした時の味がよみがえる程ですよ……」
はは、女王テネシア様のあまりに美しい微笑みに呆けた顔でガッチガッチに硬直して頭はウンウンうなずいている二人の進む先は決まったようなものだったのであった。




