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第八話 ×の魔法

「本当に魔法学校をやめるのかね?それはなぜ・・・」


「詳しい理由はお答えできませんが、私にはもう両親もいませんしこのまま魔法学校に留まるのもお金がなく厳しいのです・・・それに、私は自分の魔法を見つけました」


「自分の魔法・・・そうか、君は・・・うむそうであるならここに留まる理由は無いな。君のこれからの魔法人生が大成することを祈っているよ」


「はい、ありがとうございます」


こうして私は、あっさりと魔法学校をやめた・・・。





「さてと、今日も魔法を練習しなきゃ」私は背伸びをしながらいつもの公園へ、私の魔法を開花させてくれたアルスロットと出会った運命の場所へと足を運ぶ。


芝生の上に立ち私はあの時の事を思い出す・・・あの小さな赤ん坊が私の魔法を教えてくれた。とっても可愛いっ見た目は普通の赤ん坊だ、昨日はついほっぺにくっ付いちゃったな~暖かった・・・。


はっ・・・私・・・。


兎に角、魔法の練習をしよう・・・魔力を流しながら〇で対象を囲うと怪我が一瞬で直った。アルちゃんを一瞬で救うことが出来た魔法だ。


私は自分の左指を針で刺し少し血を出すと、〇魔法の練習を始めた。


魔力を均一に体中に流す。身体強化の時と同じように乱れなく、今まで必死になって練習してきた成果もあり私の魔力は戦闘レベルにまで安定することが出来ていた。


「これだけは、だれにも負けなかった」うん、これは自分の大きな宝物だ。そして今は〇魔法という今まで見たことが無い魔法がこの下地によりスムーズに発現していく。


「ふうっ、毎日の私の努力は裏切らなかったね・・・」

だけど、〇魔法だけでは・・・強力な回復だけど、他に同じような感じで魔法は発動しないかと思案し始めた私は、思いつく限り〇魔法の原則に沿って他の魔法を探し始めた。


何度か試すうちに△と□に×がすぐに手ごたえのある魔法として私の指から発動することが出来ていた。まずは△は頂点から物体を囲うことが出来た範囲の動きを止めることが出来ていた。

これは風で揺れる下草がピタッと囲われた範囲だけ止まったので気づくことが出来た。


もう一つは□で囲った範囲に壁を作る魔法だった。壁の見た目はとっても薄く横から見ると線のようで見つけるのは困難な感じだ。


ただ、どの魔法も囲われた線が魔力の密度の度合いによって薄かったり濃かったりしながら青白く発光していた。


そして、もう一つは×の魔法だが魔力が積極的に動き発動したけど意味が分からなかった・・・。ただ私の指に魔力で書かれたバツ印が移動していったのだから・・・。


この×魔法だけは、適当な空間に×を切ると発動し何度やっても私の指の先へと・・・重なって消えていった。


とりあえず、こんな所かな~魔法のレパートリーは少ないけど・・・どれも強力そうだし。だけど私一人じゃ・・・攻撃の手段が今のところなさそう。







私はこの後も、何度も自分の魔法を練習していく最初は目をつぶって瞑想しながら地面に魔法を発動させていたが最後の方はいつの間にかアルちゃんを思って私は魔法を発動してしまった。

そして、発動したのは×魔法で瞑想していた私の目の前の空間に映像が浮かんでくる・・・。


「えっ!!!なにっ?」


私は一瞬でアルちゃん瞑想が解けてしまい目を見開く。


「今のは、なに?目を閉じて何も見えないはずの目の前に誰かが見えた・・・」


×魔法・・・遠視魔法?


私は自分の考えを答えにするためにもう一度アルちゃん瞑想を始めると魔力を戦闘レベルまで高め×魔法を発動させる・・・。


「見えるっ!!!えっうそっアルちゃんっ!!!!!!」

私の目の前に見えたのは・・・私の魔法を覚醒させてくれたアルスロットが宝石のようなものの中に閉じ込められ、そして・・・醜く肥え太った男が光にかざし眺めている光景だった。









「ラングっあうっうう・・・アルちゃんが・・・誰かにさらわれちゃったっ!!!」

チャトラが急いで知らせてくれたんだろう・・・30分ほどでラングは私の前に現れ抱きしめてくれた。


「ライラっ大丈夫だっアルは俺たちの息子は大丈夫なはずだっ。時間が惜しい、つらいだろうがまずはアルスロットの部屋を調べる何か痕跡があるかもしれない」


ラングはすぐにアルスロットの部屋に入り、まずは床を調べ始め・・・すぐにアルちゃんの小さなベットを見ると。


「何者か侵入した後があるな、床に靴の後がしっかりと残っている。それとベットには特に荒らされた形跡がない・・・と言うことはアルは生きて連れ去られたと言える」


アルちゃんの部屋は特にしっかりと掃除をしていたためちょっと見ただけで窓からベットまで床に靴の跡が残ってるのがすぐに分かった・・・。


「う゛んアルちゃんは大丈夫っ」私はラングが来たこともあってようやく落ち着きを取り戻していた。



「はあっはっはっはっ、ラング~早すぎっ」


少し落ち着いた私の前には、チャトラが荒い呼吸で文句を言っていたけど・・・カトラちゃん?


「ライラさんっアルちゃんがっ私の魔法で宝石みたいなのに閉じ込められているのが見えたんですっ!」



突然来たカトラちゃんはアルスロットの誘拐の事を知らないはずなのに、たまたま魔法の練習中に見えた映像から何かあったんだと駆けつけてきてくれていた。




「カトラじゃ~ん、アルじゃんがっっ!!」駆けつけてくれたカトラちゃんに私は抱き着いていた。

そして・・・また奇跡が起きた。



「きゃっ、なっなに?」私の目の前には四角い枠にバツ印が浮き上がり・・・そして・・・その中には私の可愛い息子、アルスロットが宝石の中にとらわれているのが見えた。



「カトラちゃんこれは・・・」「わかりません勝手に魔法が発動しました・・・」


私の魔法が初めて勝手に発動した・・・なぜ?それよりも□と×を合わせるとこんなことも・・・。


目の前には壁魔法だと思い込んでいた□魔法のなかに×魔法が入り込み、アルちゃんのとらわれた姿が映し出されていた。



「アルスロット・・・そこはどこだ?豪華な部屋・・・貴族か・・・。俺を邪魔だと思ってるやつらの仕業か・・・俺のせいでアルスロットは・・・」


「カトラさん?この魔法は周りをもっと見れないのかしら?ラングならもう少し情報が見えれば特定も出来るんじゃないかしら?」


「そうだな・・・カトラちゃん出来るだろうか?」




皆の視線が一斉に集まる・・・が、私は・・・。

「わかりません、がやってみます・・・」


私は私に魔法を覚醒させてくれたアルちゃんをこの魔法で助けたい、赤ん坊で愛らしくて、笑顔が飛び切り可愛くて、ほっぺがプニプニで・・・あっ、皆の視線を受けながら私はアルちゃんの事を考えて真っ赤かに赤くなっていた。


「とっとにかく、やってみますね」


私は自分の魔力で形成された□の枠を横にずらしてみる・・・これは壁を作ったときに移動させることが出来るのが分かってるので、そのまま同じようにやってみるが・・・。


「あっ消えちゃった・・・」


私が横に□を移動させると映像は消えてしまい、そして□の中にあった×魔法も同時に消えていた。ということは・・・。


私は移動した□に指で×魔法を重ねて見た・・・そして。


「やったっ!!!映りましたっ!!!」


そこには、アルスロットの宝石を椅子に座りながら眺めてニヤニヤする小太りの醜い男の姿が映し出されていた。


「あっ、こいつですっ!私が最初にアルスロット君の異変を見た時に映っていた男」



「こいつは・・・グース・ブヒク・・・王都の魔道具関連の事業を一手に管理している貴族だ・・・。なるほど剣聖の俺を邪魔者扱いしている魔法貴族がらみか・・・」


「だが・・・まずい。俺は剣聖だが市民あがりの・・・騎士爵だ、奴は魔法関連の貴族たちの裏方仕事を一手に引き受けている男爵・・・正直、地位の方向からこいつを何とかするのはほぼ無理だ・・・」


「ラングっ・・・アルちゃんを助けれないの?」


「正直、俺が出来ることは剣でアルスロットを助け出すぐらいしか思い浮かばない・・・それに助けることが出来ても剣を向ければ・・・俺は剣聖の地位は失い、ライラのカイラス家の騎士爵にも泥をかけることになってしまうだろう・・・」


「あのっ人を誘拐した奴を切って剣聖であるラングさんにお咎めがあるんですか?」


「剣聖とはね・・・力を振るってはいけないのだよ、それが悪にだろうとね。剣聖とはこの地に巣食うモンスターを倒すための称号であり人を守る剣聖であるんだよ・・・」


「じゃあ、そのこの男を捕まえれば・・・だめなんですか?」


「ああ、それが出来ればなんだが・・・証拠がまずない。今は魔法で見る?ことが出来ているがこれはカトラちゃんの能力を信じる人にしか効果が無い・・・例えばこんなのは魔法作ったでたらめだと言い始めたら発言力の強いアイツには勝てないだろうね・・・」


「そんな、じゃあどうしたら・・・アルスロット君を私も助けたいですっ。私の魔法はアルスロット君の・・・役に立てたいんです・・・」


「うん、ありがとうカトラちゃん・・・私たち夫婦は、覚悟を決めないといけないだろうな。アルスロットを助け貴族を捨てることを・・・」


「ラング・・・私は貴族には未練はないわっ正直、質素な生活でもアルスロットとラングと一緒に笑顔で暮らせたら・・・」


「ラングっ、あなたは昔から剣一筋っそしてその剣は地位のためだったのかしら?違うわよね?小さい時に前聖剣のジャストラン様を見て、俺もあんなふうに正義のために剣を振るうんだとよく言ってたじゃないっ」



「・・・・・・ああ、そうだ俺は正義のために剣を振るうその為に汚名を貰おうが・・・剣聖の地位を無くそうが構わない・・・それに自分の息子を助けに行かない親はいないからなっ!!!」









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