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第七十五話 辺境都市オリア 二人とも、めっでしゅよっ!!

吹き飛ばされた俺は頭の中でいくつも攻撃のパターンを考えるが……どれも思った瞬間にフェリンの攻撃がトレースされ目の前は真っ赤に色づき……攻撃する事も出来ずにその場で硬直してしまっていた。


「主よ……手を出さんのか?」


「くそっ攻撃のパターンをいくら考えても、フェリンに殴り飛ばされるしかないんだ……」


「ふむ、それも一興だと思うがな……そのチャトラアーマーは我が見た限り神の鎧となんら遜色が無い物なんだがな」

カーンはいくら殴り飛ばされようがチャトラアーマーだから大丈夫、あえて攻撃を受けろと……。


「攻撃を受けろ……その先を見ればいいのかっ!!! <ラインスラッシュ>っ!!!!!」


俺はラインスラッシュで真っ赤に染まるフェリンの攻撃のなかに突撃していく……目の前はフェリンの巨大な前足が降りぬかれるためか真っ赤だ……そこに俺のラインスラッシュが青い剣閃を出しながらフェリンの前足とが接触していた。


「<ブレイク>っ!!」ラインスラッシュの魔力をその場で解放させるスキル技が頭に浮かぶ……。フェリンは俺のラインスラッシュからのブレイクに力負けをし巨大な体の体勢を崩すと頭を少し下げてしまうが……。


「ガウッっ!!!!」ブレイクの魔力の爆発を終えた後の俺の右側が真っ赤になる……。


又も巨大なフェリンの左足が降りぬかれるが……「<加速>っ!!!」脳を加速させた俺はゆっくりと流れる時の中で右足を大きく引き腰を深く落としチャトラアーマーの盾を前面に突き出し魔力を強烈に収束させ衝撃に備えるが……加速中にふと……神の鎧……カーンの言葉が脳裏に響き、強烈な頭の痛みの中に光り輝くスキル技が浮かんでくる。


「神の盾となり絶対の防御を<イージス>……」俺の手を離れた盾は俺の魔力を糧に神の盾、絶対の防御を誇る無敵の盾となり自動防御を始めたのだった……。





「ぎゃああああああっ、頭が……ぐぎぎぎぎ……」俺は加速後の強烈な頭の痛みに耐える……ほんとセンワルス様のユニークスキル……こんなに使いにくいんだ……。

俺が頭の痛みに転げまわっているが新しいスキル技のイージスは俺から魔力供給を受けフェリンの攻撃を先ほどからすべて受け止めていた……。


「フム……身を危険にさらさなければ技は身に付かない物だが上手く行ったようだな……。だが、あそこでセンワルス神様より賜った加速を使うとはな……どう見ても特殊なスキル技のイージスとやらを覚えただけ正解だったのか?」


「はあっはあっはあっ、あぐぐぐう。センワルス様のスキルは……はああああっ……使った後にペナルティが大きすぎてきついけど……助かったよ……」


俺は何とか喋れるまでに回復し、立ち上がるがそこには必死に俺に攻撃しては全てスキル技<イージス>に受け止められるフェリンの姿があった。


「はあっ、すごいな……フェリンの攻撃が全部防がれてる……」どう攻撃しようと思考してもフェリンの攻撃が俺に通る赤いトレースされた攻撃は表示されることは無くなっていた……。


だが神の盾を構築(・・)したイージスは巨大なフェリンの前足攻撃を受けるごとに大量の魔力を消費し……。

「うっああ……このスキル技、魔力消費が普通じゃない……」


「フム、我のサポートも無しで其れはきついだろうな。手早く次の手を出す事だ、まごまごしているうちにいくら膨大な魔力容量を持つ主と言えども魔力が枯渇するぞ」


「魔力枯渇だけはダメだっ!!」今はこのフェリンを残して気絶するわけにはいかなかった。


「<ラインスラッシュ>っ!!!」俺は絶対防御の中を又もラインスラッシュで攻撃を、身体強化にも更に魔力をつぎこんだ足が地面を離れる瞬間に俺の目には……カトラお姉さまのマジックドアと……。



「あっ!!! 二人ともけんかはめっでしゅよっ!! かちぇのせいれいおう、わがみにやどりてげんかいちぇよっ!! <シフェラザード>」


「なっ、マジックドア? カトラお姉さま?」

だが、ドアから飛び出てきたのは知らない幼女?


「おしおきのちくっでしゅよっ!! けんかする悪い子はめっでしゅっ!!! そらよりきたりぇ、あまかけるほしのひとちゅよ<こめっとにーどる>っ!!!」

シフェラザードと叫んだあと幼女の体からは緑の風が吹き出し俺とフェリンの動きを止め、あまりの突然の事に幼女の一つ一つの言葉と動作に見入ってしまう……。


「ピノからでしゅよっ。ちくっでしゅよ覚悟してくだしゃいっ!!」ドンッと空気が割れる音がした後には……。


「ギャワンッ!!!!!!!! キャウキャウン~~~~」俺が切り付けたときとは比べ物にならないぐらいの声を出しながら一瞬でお尻辺りをスキル技でチクリと刺され……泣き叫びながら壊れた門の前で尻尾を丸めてブルブルと震える巨大なフェリン……。


「あの……君は……」その光景を唖然としながら見た後、幼女に声をかけて見るが……。


「けんかりょうせいばいでしゅっ!!! ふたごほしゅのひかりよっ天より穿ちぇっ<ちゅいんとわいらいとしゅーてぃんぐすたー>」


次の瞬間には俺のスキル技……イージスに止められるが……うわ……なんだこの強大な圧力は……俺は慌ててイージスに流す魔力供給量を跳ね上げるが。


……………………。


「なかなか、かたいでしゅねっ!! <フルドライブ>でしゅっ!!!」

その瞬間、俺のイージスは魔力供給が不足し……スキル技が解除されたチャトラアーマーの盾は強大な力に俺の横をはじかれるように何処かへと飛んで行く……。


「ハッ!? <加速>っ!!! ああああああああああああああっぐぐうううっ」強烈な痛みから何とか目を開けるとイージスを突破した幼女は目の前からは消えており……俺のお尻へとフェリンと同じようにスキル技を放ち終わっていた……そう、加速(・・)を使っても間に合わなかった(・・・・・・・・)


俺は加速中の思考で何がいけなかったのか考えるが……すでに攻撃が通ってしまった時間は経過しゆっくりと増す強烈な尻の圧力に我慢できず……。

「はあ…………解除」ドンッと底から突き上げる衝撃に俺の体は空中に舞い上がり……ユニークスキルの加速の強烈な頭の痛み、そして何が何だか分からない浮遊感と圧力に意識はぷっつりと途切れて目覚めた時にはカトラお姉さまの膝枕の上だった。


「ぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろ」


「うっあっ、なんだ……」


「ぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろ」


「やめろ……」俺はカトラお姉さまの膝枕をされながら……子犬に執拗にペロペロとなめられていた……。


「アル君っ!! 目が覚めたんだねっ良かった~マジックドアを皆が通り抜けた後、アル君を見たら……空を飛んでて……びっくりしちゃったよ」


「ヴァルがお空に飛んできたアルを受け止めたのじゃ~」


「俺……空を飛んでたのか……ヴァル様ありがとう」


「アルちゃん、大丈夫? ママもびっくりしちゃったわっ何処も痛くない?」


「ライラさん、〇魔法で回復したのでもう大丈夫だと思いますっ」


「ふふっ、そうねっ! 聖女様の回復はどんな怪我でも直すものねっ」

周りには……マジックドアを通ってきたのか。謎の幼女に、その幼女を抱っこする美女……カトラお姉さまにライラお母さまと、オーチャコ孤児院のマリアちゃんとカレナちゃん……ああ、メリダさんに頼んでおいた二人にライラお母さまがくっ付いてきたのか……。


それにしても……フェリンは? 幼女の攻撃で壊れた城門の隅で震えていたはずだが……まさか……。


「フム、主よ我の力でこやつのアーティファクトの暴走は抑え込んだ。今は無害な子犬だ」


「ちっっさっ!!!! それに、こいつモンスターじゃないの?えっえっどうなっているんだ?」


「ふふっ、アルちゃん皆に騙されたのね。この子犬はフェリンと言う幻獣族の子供よ?この通り可愛くて無害な存在なのよ、ママも久しぶりに可愛らしい幻獣族の子を見たわ~」


未だに俺の顔をぺろぺろぺろとなめまくるフェリンに、女性陣は可愛いと俺の周りに押し寄せていた。


「ほら、オフェリア……お兄ちゃんにごめんなさいをしなければね」


「はいでしゅ……お母しゃま……おにいしゃまごめんなしゃいでしゅ。でも、おかあしゃまはピノと喧嘩するとめっするでしゅ……」


「はは……君もあんなふうに怒られるの?」


「ふふふっ、アルスロット殿と言いましたか? まさか私があのような事は致しませんよ……ただ、お尻をひっぱたきはしますが」


「めっしゅるおかあしゃまは、とってもこわいでしゅよっ!!」


「そうだったんだね……それにしてもあの巨大なフェリンが……幻獣族というのか初めて見たよ。ははっそれにしても本当に可愛いね」


「うんっ!! ピノはとってもかわいいんでしゅよっ!!!」俺がピノを可愛いと褒めるとオフェリアは自分の事のように顔を紅潮させた後には……大きなあくびが出る。


「あらあら……眠くなっちゃったかしらね……」


「あふっ……ねみゅいでしゅ……ピノもいっしょにねましゅよ……ピノ……」

俺の顔をビタビタになるまで嘗め尽くした幻獣族のピノはキャンと吠えるとオフェリアの腕の中へと飛び込む……。


「聖女殿、申し訳ないですが先ほどのドアを出していただけますか? この西城門から王城までゆっくりと歩くのは遠すぎる距離ですので」


「あっ、すぐにお出しします」


カトラお姉さまが、複合魔法のマジックドアを作り出し謎の幼女とフェリンそれを抱っこする謎の美女はドアの向こう……オリアの王城へと帰っていったのだった。












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