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第七十三話 辺境都市オリア 強いという罠

ぐぐぐぐっ……ラングがモンスターの真っただ中に突っ込み圧力が下がってきてるはずなのに……なんだ、こいつらモンスター1体1体の強さは……。


赤く色づくモンスターは密度こそ減ってはいたが徐々に強く早く重く、ガンダーが魔力を振り絞りガード系のスキル技を駆使するが……。


「うおおおおおおおっっ<シールドバリアント>!!!!!!」


アルスロットにアスハブ陛下より贈られたチャトラアーマーに比べたら性能は劣るが……正式配備されたマジックレイヤーアーマーも通常のBランクモンスター程度では衝撃をほぼ吸収する性能なのにっ!!


最初はキャリキャリと高い音がしていただけのガンダーの巨大な盾も1激を受けるごとに高い音共に低い重い打撃の力が盾を通り抜け体全体へと伝わってきていたのだった。


「ガンダーっ!!! この赤い奴らっくっ! どんどん強くなって、くそっ攻撃が入らねえっくそがあああああああっ!!!!」


「ジェナスどけっ!! 俺の魔力の刃を食らえっくそ野郎っ! <バイロケーション>」 

ロンドの任意の位置にもう一つの刃を作り出し左右からハサミのように切り取るスキル技だが……4人の目に映ったのは不快な音共に折れ飛んだロンドの剣がゆっくりと地面に落ちる様子だった……そして。


「ロンドっ避けてーーーーっ!!」


次の瞬間には、ロンドの剣の代わりに赤いモンスターの爪が無情にも振り下ろされていた。




「あっ……俺……いっづうう、右腕の感覚がねえ…………」


「ふうっ……ロンド生きてるわねっ!! チャトラ様が作ってくださったアーマーじゃなかったら死んでたわよっ!!!」


「お前の怒鳴り声だけでいてえから勘弁してくれ……回復が出来るマルチナはいねえな、他の所もケガ人多数かよ……ついてねえ」


「でしょうね、正直いつまでもつか……最初は大したことが無いモンスターだったのにほんの少しの間に手に負えない強さになるなんて……」


「全くっどうなってやがる……」



「それは赤いモンスターを倒した後に取り込まれていたアーティファクトを回収しなかったからですね……倒しただけ敵はどんどん強くなってやがて本当の化け物が生まれるでしょう」


「お前は……ラング様の……」


「はい、僕は剣聖ラングの息子アルスロット・カイラスです。えーとロングさん?」


「ロンドだっ!」


「失礼しました。残念ですがこちらにも今は回復魔法が使える者がいません……重症ですが少しの間、我慢できますか?」


「ああ、くそいてえが……チャトラ様のアーマーのおかげで大丈夫そうだ」


「安心しました、たぶん後で僕の仲間がこちらに来ると思うのでその時には回復が出来ると思います」


「ああ、情けないが俺は後ろで寝っ転がってるよ……後はすまない…………」

そう言い終わると起こしていた首をコテッと地面につけ動かなくなってしまった。


「あーあ、ロンドが気絶するなんて……これはもうダメかな~幸せな家庭……私の夢だったのに。ふうっあなたたち、応援に来てくれたのは助かるけど……あのモンスターたちに対峙できる? こう見えても私たちは冒険者としてはAランクなんだけど。君は……」


「えっ?僕ですか、えーと冒険者ランクは……」胸元から久しぶりに冒険者カードを取り出し見てみる……。

「あっFランクですね僕は、でも僕の横にいる二人は……カルマータさんがCランク? ルーチェさんがBランクでしたっけ?」


「ああ、それで合ってるよ」


「んっ!」


「えっ? 冗談よね? あそこにいるモンスター達はそっちのBランクの子でも危険なほどの強さなのよ?」


「おいっ!!! お前ら何時までだべってやがるんだっ!!! こっちはっぐぎぎぎっもうとっくに限界を超えてるんだぞっ!!!!!!!」


「あっ! ガンダーさんが限界みたいだ。皆行こうっ!!」


「ああ、いこうかね」「んっ!!!」


破壊された城門の方を喋りながらもチラ見していたけど……ガンダーさんともう一人の剣士が必死に対峙して敵を何とか押しとどめていた……限界みたいで魔力の出力がかなり不安定になってスキル技を気力で無理やり発動させて抑えている感じだった。


「思ったより……まずいみたいだねえ。あの二人の魔力の流れが……もう限界を超えてるねっ!!!」走りながらカルマータさんのグレートソード・タイタンは背後をスッと地上から数センチ浮き上がった状態でついて行き、カルマータさんが右手を上げると手に合わせ水平にフワッと浮き上がり、まるで重さなどないように柄から手に収まる。


「タイタンっ!!! 私に力を貸しなっ!!! <グラビティボルカノ>っ!!!」


カルマータさんの呼び声に応えるグレートソード・タイタンは主人から魔力を提供され超超超超重量となり重力を歪めならがロンドに重傷を負わせた赤いモンスターに炸裂し重力が爆散した後には、地面には不気味なこぶし大の穴が大量に空いていた。


「うそ……1激で……粉々??? どうなってるの?」

パナスさん? っていったっけ……カルマータさんの強烈なタイタンとの一撃に目を丸くして驚いていた。


「んっ!!」それを見たルーチェさんはハイと手を上げ今度は私の番と……ガンダーさんが抑えているモンスター達へとスキップをしながら駆けていくが……。


「おっおい、嬢ちゃんっ俺を巻き込むんじゃねえぜっ!!!!」


調子がいいのか魔力を巨大ハンマー・トールにつぎ込みつぎ込みスキップしてはつぎ込みと……ガンダーさんが恐怖を感じるほどの巨大なハンマーとなり……グチャっ!!! と嫌な音をさせガンダーさんを苦しめていたモンスターはぺっちゃんこになっていた……。


「うわ~あっちの子は……見た目は滅茶苦茶可愛いけど、残酷ね……うぐっさすがに気持ち悪くなっちゃったわ……あなたたち凄いのね……」




「カトリナ様、この状況をなんとかしたいですが魔法で何とかできませんか?」


「えっ? そうですわね……テネルトーナの力を借りればある程度の時間は炎の壁で凌ぐことが出来るかもしれませんわ……ただ、その後の城壁が炎で破損して崩れてしまうかもしれません……」


「んー、たぶんこのままじゃ城壁側も総崩れになるからそれは気にしなくていいと思うよ」


「そうですわね……後続の王国軍もまだ到着いたしませんし赤いモンスターはどんどん強くなる……分かりましたわ、アル様、ヴァル様、テネルトーネを城門から振るう時間を稼いでくださいませね」


「カトリナ~分かったのじゃ~アルテミス~」

髪の毛が羽へと瞬時に変化しビュンと上空に飛び上がった後にヴァル様がゴソゴソと可愛らしいポシェットから何やら取り出したのは小さな短剣の柄……普段は刃を出したり引っ込めたりできる便利な短剣の柄が……ヴァル様が元気よく柄を持った左手を上げると闇が集まり収束した後には魔弓・アルテミスが生まれる……。

「アルテミス……全てを射貫く漆黒の闇を降らせるのじゃ~<ダークナイトレイン>っ!!!」


城門前にいた全てのモンスターに上空から避けることが出来ない闇の矢が降り注ぐ……。



「あれがエルヘイブに行くときに、へました俺を助けてくれたスキル技か……」正直、地上からは何をやってるのか全く分からなかった。というかスキル技を出したのが分からなかった。隠密性が高いみたいで矢も視認できず城門前に集まったモンスターが次々と砂になって崩れ落ちるのが分かるのみだった……。



「じゃあ俺の後に、カトリナ様お願いしますね……カーンっ!!!」

俺は腰から何の変哲もない折れた剣を抜き放つ……。


「なんだ、主よ……」


名を呼び目を覚ました魔剣カーンは不機嫌だった……。


「なんかお前不機嫌だな……」


「主よ先ほどまで我は仕事をしていたのだぞ? ルーチェとシエルナーザの魔族化の力の吸収だ。特にシエルナーザは体がもろい人族だ、安定させるまで我は精密な肉体の浄化作業を終え休んで……」


「わ……悪かったよ……だけど今はお前の力が必要なんだ。見てよほら……辺り一面、赤いモンスターだらけなんだけど……」


「フム……そうだな。だがこの程度のモンスターなら主だけでも倒せるだろうに」


「えっ? 前にも教えたけど俺はまだ半人前なんだけど……セラフィムの仲間とカーンに頼らないと……俺が解決するなんて言うのは16年ぐらい早いかな……」


「16年?主よそれは成人の儀を受けねば半人前だとか抜かすのではないだろうな?」


「えっと、違うの?」


「フム、主よ我はセンワルス神よりお前という存在に託されたのだ……分かるか? 主は神に認められる存在なのだよ」


「そりゃあ色々とセンワルス様にはお世話になってるし、信頼されてるのかな? とは思うよ? 貴重なスキルを授けてくれるしね」


「フム、まあいい。そんな主だからこそセンワルス神も選んだのだろうな……。我も力を貸すが正直に言うと今後の為にルーチェ嬢ちゃんの戦闘状態を見ていたい、半人前だと思うのなら主の力で乗り越えようと行動してはどうだ?」


「うぐっ確かにその通りだ……」

カーンの突っ込みで俺は自分の中で出来る事を思い出す……スキル技ではスラッシュにラインスラッシュ……考えてみたら新しいスキル技が全然増えてないな……正直どんなスキル技があるのかも分からないし。

魔法だと基礎魔法との区別が出来なくてライトぐらいしか試してないや……。なんせ、明かりの種火魔法が強烈に明るいLEDの光魔法になっちゃったしね……あっ種火を思い浮かべれば大丈夫なのか?

こんな事なら、もっと魔法を……いやそんな事をしている暇も時間もなかったよな……。


「あの……アル様…………アル様っ!!」


「あっえっ、わっ!!」カーンに自分でどうにかしろと言われた俺はしっかり考え込んでしまったようで……ヴァル様が殲滅したモンスターたちのアーティファクトをしっかりと食べられ……はは、俺の目の前には巨大な赤色に輝く(・・)六足歩行の狼のようなモンスターが生まれてしまっていた。


「アルっ!!! 何やってるんだいっ!!! まずいね……あれはSランクモンスターのフェリンに似ているよ……」


「フェリン? Sランクのモンスターなんですか?」


「ああそうだよ、足と目の数に……後は毛の色が白銀なのが赤く輝いているのが違うね……」


「フム、確かにフェリンに似ているな。主よ丁度いいこやつを城門で抑えれば後続は近寄れまいて……」


「また、俺は……」エルヘイブの時といい、また俺は大事な時に失敗をしてしまった。


「んっ……」俺の前に来たルーチェさんはグイッと腕を引っ張り強引に俺の頭を自分の手の届く位置にしてナデナデと撫でてくれる……。


「ルーチェさん……」


「失敗は恐れちゃダメ……いいこいいこ」

殆ど聞くことが叶わないルーチェさんのとても奇麗な声……落ち着く……。


「あーヴァルもアルにいいこしたいのじゃ~」上空から俺達を見ていたヴァル様がずるいとばかりに元気いっぱいに急降下して俺の首に抱き着き……ナデナデし始めていた。



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