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第六十話 気難しい魔剣

「お前名前があるのか?」俺は数百メートルもの長さの謁見の間へと続く通路に立ちこの不遜な態度の魔剣へと話しかける。


「フム、主よ我が名を知りたいか?」


「まあな・・・主なのにお前の名前を教えてもらえないっていうのは。結局俺はお前に所有者として認められてないという事になるよな?」


「フム、そうであるな・・・我が名は魔剣カーンだ。センワルス神の剣でもある」


「ああ、そういう事か・・・センワルス様のね・・・お前が今まで誰にも扱えなかったていうのと姿を消した理由が分かったよ。そうか、カーンか・・・いい名前だセンワルス様からその名を?」


「ああそうだ、我も我が名を気に入っている。我が許可した者以外は我が名を声に出す事は許さん」


あーなんか気難しい奴なんだな・・・さすがセンワルス様が使っていた剣だよ・・・。


「あのさ・・・カーンは俺に本当に力を貸してくれるのか?さっき試されたときに分かったと思うけど、俺自身の力は半人前以下なんだけど・・・」


「フム、力を貸すも何も我はお前の力そのものだ。主が使うと思えば我は力を開放し、使わないと思えば大人しく眠るだろう」


ふ~んそういう存在なんだな・・・セラフィムの皆もすごい武器を所有しているけどそんな感じなのかな?








そんなやり取りをしていると、通路いっぱいにフル装備の私設軍と思われる者たちが整然と並び押し寄せてきていた・・・。


「フム・・・敵は軍隊か、遠距離広範囲攻撃を主体に戦いを組み立てるしかないな。もしそれを乗り越えてきた者には各個、剣を交えるしかあるまい」


「カーン・・・俺に力を貸してくれ・・・」

カーンの的確な戦略にカルマータさんのような存在感が・・・そして俺は祈るようにカーンの力を解放した。


 






「おっおい・・・あれなんだとおもう?・・・・」


「子供?がいるな・・・それになんだあれ?」


「おいっ!!作戦行動中に私語をするなっ!!!列が乱れればそこが隙になる何があっても動じるなっ!!!」


「やべっ・・・、お前のせいだぞ・・・」


「しるか・・・隊長から怒鳴られようが俺たちが進む先に子供が、しかも通路のど真ん中にいるんだぞ?不気味で仕方ねえよ・・・しかも、何か浮いてるしな・・・ハハハ・・・浮いてるんだぞ?」


それを見た俺達、最前列の歩兵部隊の連中は前方に見えるあり得ない?光景に徐々になんだ?と混乱が起き始める・・・。


「敵を視認っ!!歩兵部隊はそのまま列を形成し突撃せよっ!!!」


列が少しずつ乱れ始める前に隊長が蹂躙突撃命令を出す・・・しかしその突撃は、俺達の地獄の始まりだった・・・。







「主よ・・・あ奴らは殺していいのか?」


「えっ?それはダメだよ?無力化したいんだけど・・・できない?」


「フム・・・無力化なら色々と手段はある」そう答えるカーンは俺の周りに浮く神像のコアから黄色?のコアを選び。


「剣が・・・」刀身は金色に輝き魔力が爆発するような感覚が俺の体に伝わってくる・・・。


「主よ、剣を軽くあの者たちに向けて振るのだ」


「えっ?振るだけ?」魔剣カーンののんきな感じの声の指示通りに俺は爆発しそうな圧力を放つ刀身を列を形成して突撃してくる私設軍へと振っていた・・・。







「んっ?なんだ?子供の・・・魔力?あっ・・・・」

俺のこの後の言葉は地獄の苦しみの絶叫で埋め尽くされ・・・この苦しみから逃げようと後ろへと逆に突撃を無茶苦茶にするだけだった・・・。






「うわっ・・・」魔剣カーンを振った後には激しい閃光が列を形成していた者達に容赦なく降り注いで地獄と化していた・・・。


「フム・・・多少は効き目があるようだな」


「今のは閃光?」俺の目は先ほどの神の目でほとんど見えないため何か光っている程度しか分からなかったけど・・・前方から絶叫と目が~と言う苦しみの声がいくつも聞こえていた・・・。


「そうだ、ただの閃光だ・・・。しばらく目はまともに見えないだろうな」


「目つぶしか・・・あとでカトラお姉さまに〇魔法で目の治療が必要なんだろうな・・・」


「なんだ?主よ敵を治療するのか?」


「敵と言っても・・・ゾンガとウングに雇われたグリナダス王国民だしね。殲滅後には解散してもらって王国民として生きていってもらわないといけないからね」


「フム、主は慈悲深いのだな・・・」


「この人たちはたまたまゾンガやウングに雇われてしまった人たちだよ。もちろん中心人物はアスハブ陛下から厳しい処分が言い渡されるだろうけどね」







なんだ・・・何がおこった?俺の歩兵部隊は前方に見える子供がチカッと光ったとたん強烈な閃光が俺達を襲い・・・前方を真っすぐ見ていた歩兵たちが・・・目が見えないと涙をボロボロと流しながら地面をはいつくばっていた・・・。


「ぐあああああっ目がっあああああっ!!何も見えねええっ!!!」


「ひいいいいっなんなんだあああひいっひいいっ」


「うああああああ、隊長おおおおおおあああああ」


「くそっ!!!目が見えない者たちはその場にしゃがみ左右どちらかの壁へと貼り付けっ!!!このままでは進軍が出来ないっ!!!」


「あううう・・・ぐうあああ目を回復魔法を早く・・・」


「ええいっうるさいっ、壁際によけろっさもないとそのままお前たちを後続が押し潰すことになるぞっ!!!」









「あ~なんか、かなり悲惨な状況が隊長らしき男のおかげで筒抜けだね・・・」


「フム・・・かなり効果があった様だな。次は・・・」


緑のコアが黄色のコアに代わり刀身にセットされ同じように爆発的な魔力が俺にビリビリと伝わってくる。

「また振ればいいのか?」俺はカーンから返事を待たずに刀身を振りぬくと物凄い勢いで緑色の煙が激しく噴き出していた。







また、前方に突っ立ている子供が何かを・・・。緑色の煙?それはさらなる地獄と苦しみを私たちに届けていた。


「げほっげほっ、なんだこればあああ・・・喉がやげる・・・・・・ゲヒュゲヒュゲヒュ・・・・アガアアアアアア」


「喉がいてええ・・・・ああああああああああああああっ!!」


「げへっごへっ、息が・・・でき・・・な・・」


目が見えない者たちはもちろん最初の閃光を何とか回避できていた者達から、そして更に後ろから進軍してきた第二歩兵隊まで巻き込み、さらなる地獄と苦しみの空間を作り出し歩兵部隊は全滅した。







「カーン・・・もしかして毒?あの人たち大丈夫?」


「主よ心配する必要はない、苦しみは一時的で死ぬことは無い・・・まあ地獄の苦しみだろうがなこのぐらいではないと進軍は止まらぬだろう?」


「あっうんそうだね・・・」


俺は只突っ立って進軍してくる者たちの地獄の苦しみの声を聞きながら私設軍の次の動きを待っていた。







ゾンガ様・・・謁見の間に続く通路に子供が・・・その・・・子供からの攻撃と思われる閃光と緑の煙で歩兵部隊は全滅いたしました。そして未だに進軍する通路には緑色の煙が充満しており通るには・・・。


「進軍できないと?弓矢部隊を使えっ!!遠距離からなら問題が無かろうっ!!!そんな事も思いつかんのかっ!!!それに魔法部隊には風魔法で忌まわしいその緑色の煙を吹き飛ばすよう指示しろっ!!その後はありったけの魔法をその子供に撃てっ!!!!!」


くそっ!!子供との報告に頭には一人しか浮かんでこなかった・・・アルスロット・カイラス・・・剣聖ラング・カイラスの息子にしてグリナダス王国で起こった・・・有害物質流出事故を収束させてしまった子供だ・・・。

くそっ忌々しい・・・すべての私の企みを、なぜかあの子供が潰してくれる・・・アルスロット・カイラスさえいなければ・・・あの日和見切ったアスハブを追い落としグリナダス王国は私の物だったのだっ!!!








「フム・・・敵も遠距離攻撃をしてくるようだな。弓か風の結界で無力化するのが一般的だが・・・殺してはいけないというのは面倒だな」


カーンの声に目を凝らすと弓矢部隊が緑色の煙の範囲外の後方に整列していた。


「さらに後ろから魔力が強い者が待機しているようだ、主よチャトラアーマーで弓矢は防げるだろう?」


「うん、剣聖ラングの打ち込みを止めたから弓なんかは効かないと思うよ?」


俺は戦闘レベルの魔力で<身体強化>を立ち上げ、そして少しの魔力をチャトラアーマーに流し盾を顔が隠れるように前面にと持ってしっかりと構えて弓を受けきる準備を一瞬で終えていた。






「撃てええええええええっあの子供は化け物だっ。すでに歩兵部隊は全滅している、ありったけの弓を撃ち込むんだっ!!!」


俺達の後ろから隊長は前方にかすかに見える子供?に弓を撃ち込むように指示をしていた・・・。そして少し前方では緑色の煙がうっすらと漂い、歩兵部隊の数百人が苦しいうめき声を上げており。そこが地獄だと俺たちに伝えていた・・・。


「何をしておるっ!!!すぐに絶え間なく弓を撃ち込めっ!!!ゾンガ様の命令だっ!!早くしろっ!!」


ふう・・・俺たちはこれでも毎日厳しい訓練をして弓矢部隊に配属されたんだ・・・子供と言えども・・・すまん・・・。息を吸い込み弓を番え・・・吐き出すときには矢は俺から目標となる子供へと放たれていた。








「わっ!!!」パチンと魔力を纏ったチャトラアーマーに弾かれて四方八方に矢がバラバラと落ちていく光景をチャトラシールドの左右からのぞく・・・。


「下らん攻撃だ、主よ後ろの魔法部隊が風魔法を使い我が作り出した毒の煙を吹き散らしているようだ。この後に魔法攻撃が来る、コアの切り替え後に我を縦に掲げよ」


その声の後には最大の大きさの銀色の神像のコアが長大の白金に輝く刀身を作り出していた。






「撃てええ、あそこに立っている化け物を消し炭にするんだっ!!!魔法部隊っ全力で攻撃魔法を撃ちまくるのだっ!!!」


弓矢部隊が矢を絶え間なく打ち込んでいるが・・・どうやらあの化け物には一切ささっていない・・・。最近王国軍に採用されたマジックアーマーか?しかし、魔法部隊の火球魔法を受けきれるわけがない・・・なんせ、炸裂したとたんに大爆発で辺り一面は炎と爆風で消し飛ぶからな・・・恨むならゾンガ様に立ち向かった自分を恨むんだな・・・。






「フム・・・どうやら脆弱な攻撃魔法が飛んでくるな・・・フン、主の魔力と比べたら残りカスのような密度だ」


ははは・・・そうなの?カーンの容赦ない敵の攻撃力の分析には俺は笑うしかなかったが、飛んでくる攻撃魔法の火球は・・・。


「おいっ!!カーン大丈夫なのかアレっ!!!火球が通路を埋め尽くすぐらいの密度で飛んできてるぞっ!!!」


「何を慌てている主よ・・・。あんなカス魔力で打ち出された攻撃魔法は全て我が食らいつくすぞ」


その言葉の通り白金にチラチラと輝く掲げた魔剣カーンの刀身に全ての攻撃魔法の火球が吸い込まれて消えて行く・・・。







お・・・おかしい・・・さっきからあれほど火球魔法を撃ち込んでいるのに一切爆発が起こっていない・・・。


「おいっ魔法部隊にもっと魔力を乗せて攻撃しろと伝えよっ!!爆発音もしていないぞ?どうなっているっ!!」


「そっそれが・・・魔法がかき消されているように見えます・・・現に火球魔法は演習時に見たことがあると思いますが大爆発を起こし炎と爆風をまき散らし辺り一面は吹き飛びます・・・ので」


汗をダラダラと垂らしながらそう説明する魔法部隊長は、あの化け物に大爆発を起こす攻撃魔法が効いていないことを報告していた。


「ゾンガ様・・・あの子供は化け物です・・・ただいま全力で魔法部隊の火球魔法を撃ち込んでいますが・・・一切効果が無いそうです」


「なんだと?相手が子供だと手を抜いているのではないだろうな?それに火球魔法が効かないわけが無いだろうっがっ!!!本当に全力で撃ち込んでいるのかっ!!?」


「もっもちろんです・・・全力で魔力を乗せているそうですが・・・魔法部隊長が言うには攻撃魔法をかき消されているようなのです・・・」


「化け物めっ!!!あの子供はグリナダス王国を乗っ取ろうとする化け物だっ!!!今ここであの化け物を倒さなければ、倒さなければっ・・・・・・・」


「ゾンガ様っ!!」







「フム・・・攻撃が終わったな。主よこの後はどうする?」


「うーん、カーンが凄すぎて・・・この後どうしたらいいんだろうね?」


「軍であれば軍を動かした中心人物を捕まえる必要があるが?」


「あっそうだったね、でも今から行っても捕まえることが出来るかな?どう思う?」


「主よそれを我に聞くか?ほぼ無力化している軍だこの後の行動は撤退か自暴自棄になった者が・・・」


カーンが言い終わる前には、自暴自棄になった?モンスターが軍隊を押しのけ俺の方へと迫ってきていた。









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